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【エジンバラ 大学留学:後期】スポーツとメディア②セレブとメディア
今週はスポーツと有名アスリートについてですね。
資本主義の中でのスポーツ、有名アスリートの位置付け
抑えるべKeywordは、新自由主義とビジネスマーケティング。
つまることろ、戦後以降の資本主義、消費社会の中で、スポーツアスリートも、1つの製品(広告塔)として消費されてきた経緯があります。
資本主義の拡大に伴い、スポーツのビジネス化(どうやってスポーツを消費者に消費させるか、スポーツをどう売るか)が進んできました。例えば、FCバルセロナは、フレンドリーマッチの権利を販売し始めました。権利の販売。近年になり、注目されるワードですよね。
どうでもいいですが、この概念は IFRS(国際会計基準)でも取り入れられています。 IFR16号(リース会計)は、まさに使用権資産の話ですし。
また1960年以降資本主義の中で、よりIndivisualize(個人主義)も進んで来ました。
こうした中で、選手個人のpersonal identityに着目した、個人のライフスタイルや好みに合わせたマーケティングが発展していきます。(マスコミを中心としたマーケティングは、どちらかというと望ましいアイコンを作って、消費者がそれに合わせる形)
有名な例として、サッカーのデビッドベッカム、バスケットのマイケルジョーダンが挙げられていました。
スポンサーや、会社は彼らを自分たちの商品のブランド、広告として使って来ました。
また、有名なアスリート(セレブ含む)は、重要な政治的事項から関心を背けられるということもできます。
日本も本当に議論すべき、環境問題、日本の将来の問題、貧困、格差などでなく、連日芸能人のスキャンダルで騒いでいることを見れば、納得です。
また、有名アスリートは、政治のメッセージとしても使われることがあります。
アスリートを利用する理由とアスリートの特徴
では、なぜ企業→国家は、有名アスリートを使うのでしょうか。有名なアスリートはどのような特徴を持つのでしょうか。
僕が思うに、有名アスリート選手には
①憧れといった敬意を持つ
②スポーツに対する関心どの高さ、知名度の大きさ
といった特徴があると思います。
つまり最強のインフルエンサーですと。ただ、このイメージは、あくまでもビジネス上、政治上創り出されたものであることには留意が必要です。
ブランド化の反動と自己表現の制約
一方で、作り出されたイメージと異なる行動をしたアスリートに対しては、消費者の反動も大きくなりますよね(裏切りに対する怒り)。例えば、Kobeのスキャンダルは、事実関係をよく知らないにもかかわらず、大きな批判が巻き起こりました。また、NFLでコリン・キャパニックの人種差別に抗議して、国歌を歌わなかったことも大きな物議を醸しました。
つまり、製品であるスポーツ選手にとって、自分の意見を発したり、イメージを壊す活動ということは、スポンサー離れ、チーム解雇の危機が常に伴っているんですね(Kobeの場合は、政治的意見ではなく、嵌められた要素もあるスキャンダルですが)
芸能人もそうだと思いますが、大衆のイメージに沿って行動しなけばいけないのはとても息苦しいですよね。
メディア変化によるアスリート像の変化(より社会的活動へ)
ただこの授業では、資本主義の中で、テレビを中心としたマスメディアとスポンサー、スポーツアスリートの関係が、ソーシャルメディアの台頭で、少しづつ変化してきていることを指摘しています。選手がより社会問題について、自分のメッセージを表現できるようになってきていると。
例えば、大坂なおみ選手のBlack lives matterに関する抗議など。
ソーシャルメディアが多様な社会、マイノリティーを認める方向にあることに加え、アスリート個人も多くのフォロワーを有していれば、スポンサーがいなくなっても収入が保証されることも影響しているかもしれませんね。(アスリートの収入獲得方法の変化)
一方で、企業はイメージを作ってくれないので、アスリートが、常に自分の立場を理解し、自分の意見を持たなければいけない時代になってきたともいえますよね。
日本のアスリートが社会問題を解決するという意識は持てるのでしょうか。
日本という社会でメッセージを強く出すということはかなり勇気がいると思います。また、僕も含めこうした人権問題に意識が低いということもあると思います。事実、大坂選手のこうした活動に対して、各スポンサーの反応は皆さんはご存知でしょうか。
ハフポストの記事では以下のとおりです。huffp.st/0huKr4h
ハフポスト日本版では9月中旬、大坂選手の公式サイトに記載されている15企業のうち、現在もスポンサーやパートナー関係にある14社にコメントを求めた。
コメントがあった7社のうち、大坂選手の行動に対する明確な見解を示したのはヨネックスだけだった。「スポーツに国境や人種差別はあってはならず」と踏み込んで言及し、大坂選手の行動と同社の姿勢を重ねた。
その他の企業は、大坂選手の行動に対して「コメントする立場にない」「見解はない」など、人種差別などに関してコメントすることに躊躇する様子がうかがえた。
その中でも、シチズンは「彼女の勇気ある行動を尊重しています」という立場を示している。
またアメリカ企業のMastercardのように、BLM運動の高まりを受けて、人種差別に対して打ち出した姿勢を紹介する企業もあった。
僕たちはこうした企業の考えもきちんと評価していかなければいけませんよね。ただ、難しいのは流行りだから、それに合わせて意見をするのはやめましょうということ。人権ということに対して、企業が変わらない信念があるならそれを表明すればいいと思うんですよね。そして人権への意識が、日本は薄いのが特徴ですよね。
スポーツ選手が社会的活動をすることの是非について考える
スポーツ選手は、上記で述べたように最強のインフルエンサーです。つまり消費者や大衆の行動を左右する力があります。
個人的な意見としては、アスリートの社会運動は個人の自由という意見です。問題は、やはりその意見に無批判に従ってしまう我々ですよね。とはいえ、インフルエンサーの意見にどうしても影響されてはしましますが。ありきたりですが、自分の頭で考えるというのが1番大切なのでしょう。また、その人がなんで社会的な活動をしているかのコンテキストや背景を、相手の立場で理解することが重要だと思います。仮に賛同できなくでも、どこで意見が分かれているのかを見極めれば、違いはあれば分かり合えることはできると思うので。
今週の論文
『One David Beckham? Celebrity, Masculinity, and the Soccerati』(Cashmore and Parker ,2003)
<要約>
この時代のベッカムの個性が、男性らしさの象徴となり、文化を形作っていた(文化を変化させた)という論文。一方で彼らもまた商品であるという考察。
<感想>
スポーツを文化だとすれば、スポーツの一部であり、強力な影響を及ぼす有名選手が文化に影響を与えるのは、割と自然な考えかなと思います。商品という観点からは、スポーツ選手自身の価値観でなく、Nikeなどの企業が彼らを通して文化を作っているのでしょう。
文化を考えるときに、文化ができるプロセス(全体像)を想像して、最初にいる人は誰かというのをいつも考えることが大切ですよね。
一方で、SNSの登場で、スポーツアスリートは自身のメッセージを発信できるようになりました。そのためブランディングなども変わっていくのでしょう。ただ、SNSに自身の意見が100%反映されるわけでなく、裏でスポンサーが影響しているなんてこともあるので、SNS=アスリートの意見という考えは留意が必要ですよね。
社会の変化の構造のステップを逆算して考えると、
①社会変化←②多くの人の価値観が変わる←③多くの人に影響、行動変化を促すインフルエンサー、シンボルの存在←④シンボルの持つ意味の設計をする人、会社存在
ということですよね。まさにマーケティングと同じですよね。この流れは改めて大事だなあと思いました。④はロジックで追うと見えにくいですが、一番得をしている人、組織を考えるといいのではないでしょうか。
まとめ
さて、最後あまり纏まらなかったのですが、今週の授業では、メディアのテクロジーが変化すると、ビジネスモデルも変化し、社会が変わっていくことをスポーツの側面から理解することができました。
では
写真©️Getty Images