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土佐見里奈子の日々のキビの備忘録4

性懲りも無くまたもピクニックへ。
代々木公園のドッグラン手前は穴場。
心地よい風が吹き、その日の空気は澄んでいた。

「寝取られ」というジャンルへ傾倒する人と以前話す機会があり、全くその魅力がわからなくて愕然としたのだけれど、履修と後学の為にと読み漁る中で出逢ったエグめの寝取られエロマンガのオチで何かが腑に落ちた気がしたことをその日のピクニック中に目が合った友人の1人に熱弁していたらその友人が寝取られ描写がとにかく地雷であることを会話の渦中に知る。何故私に説くのか、と潤んだその瞳のシグナルに気付けないままこんなところまで熱っぽく話し続けてしまったことに目の前が真っ暗になった。酷く渇く喉、しかし私は止まることができなかった。腑に落ちたオチの箇所まで話したい。でも、けれど。
気付くと私は大きな木に向かって寝取られについて熱弁していた。木はさざめいていた。風の音は木の葉の擦れる音なのだ、と思った。
自虐皆無で言うと私は本当にモテない人間なので、目を合わせて話を聞いてくれる人に夢を見てしまう。この人は私のことが好きで私のする話を聞いていて楽しいと思ってくれているから目を合わせてくれているのだ、と。
木に熱弁を振い切ったのち猛省しながら缶ビールを無言で喉に何本も流し込んでいたら尿意に襲われトイレに駆け込んだ。志半ばで爆ぜた。端的に言って漏らした。ずぶ濡れのショーツにさよならをして何食わぬ顔で宴に戻った。スカートだったことがせめてもの救いだった。
夕暮れとともにピクニックはお開きになったが帰路を共にしてノーパンであることや小便を漏らしたことがバレたくなくてもうしばらく風に吹かれていたい的なことを言って1人残った。
やっぱり木はさざめいていたし風の音は木の葉の擦れる音なのだ、と思った。


後日友人からのLINEに
寝取られの話に取り乱したけど笑ったから良しとする、と赦しの言葉があった。
私も彼女のように優しい人間でありたい。

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