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浦島花子
浦島花子
10歳の頃、仙台市南小泉に住んでいた。 それから70年の時が流れ、文字通り浦島花子の気分で懐かしい故郷の繁華街を歩き回っている。
ご存じの通り、日本は黒髪の世界、見えない同調圧力を感じたのか、或いは日本で美容院の経験もしたかった故か、髪を黒ぽく染めてしまった。
別にそれで年が若くなるわけではないが、気分は良好。
住んでいるような気分を楽しみたかったので、二ヶ月弱、基本的に同じ地域に滞在した。 仙台海の杜水族館にも行った。
便利なインターネットで、行きたい所はホテルの室内で検索、徐々に電車の乗り方もわかり、迷うこともなく、電車とバスを乗り継いで到着した。お客様の85%は若い人々と言う印象だった。
心の中で、米国東海岸のバルティモアー (メリーランド州)にある水族館と比較してしまっていた。
メリーランド州のベセスダ(ワシントンD.C.の郊外)に35年ほど住んでいたので、車で約50分で行ける距離にあるその水族館を何度も訪れた。
仙台駅前にあるパルコ2の6階にある映画館に入り、日本で本当に久しぶりに映画鑑賞をした。 「雀の戸締まり」は、IMAXで漫画を楽しみ、翌日は「母性」と言う作家湊かなえ原作のミステリー映画を鑑賞した。
両作品は当然、日本の作家の作品であるが、出だしの映画画面でWB( Warner Brothers) と出てきて、不思議に思った。
両方とも、ほとんどの観客は20代、30代という印象だった。
初めは全自動である切符の買い方に手間取ったが、 側にいた若い女性に少し手伝ってもらって購入、コツを飲み込んだ。
仙台市からバスで、何度か秋保の日帰り温泉を楽しんだ。 毎回、違う旅館の温泉を巡る工夫をした。
秋保石の庭園温泉では、入浴後、割と大きな自然石が沢山ある庭園内を散策した。 そろそろ紅葉も終わりに近づいていた。
毎日、違うレストランに入り、違った種類の料理を楽しんでいる。 今日はたまたま生牡蠣をたらふく食べた。 新鮮で美味しかった。
福島原発の事故が頭をよぎったが、目の前の新鮮な牡蠣に引き寄せられ、完食した。
本屋さんへも通い詰めた。 今のところ十三冊ほど新書を買ったが、読み終わりそうなので、再度本屋に行く予定だ。
もう、日本滞在も二週間弱になってしまい、少し心は複雑ではあるが、十二分に満喫したと言う満足感もあるのは事実だ。
仙台市の沢山ある道をのんびり歩き回り、街の様子を観察した。 すっかり車社会に変身した仙台であるが、 歩行者天国的繁華街もあり、多くの歩行者がいるので、安心して毎日一万歩の散歩を楽しんだ。
さすが、10代20代30代と思しき若い人々は歩き方も元気が良い。友達数人とおしゃべりを楽しみながら歩いている。 見ている側まで明るい気持ちにしてくれる。
この人々がこれこれ80年ほどの21世紀の日本を支えて行く人々なのだ。
歩行者天国や普通の歩道に高齢者も歩いていた。最初の印象は日本の高齢者が醸し出す雰囲気は暗い。
歩き方も、トボトボと寂しさが滲み出ているように感じた。 特に顔付きは、無表情で寂しげで悲しげな印象を受けてしまった。 マスクをしていても、目が寂しそうで孤独そうな雰囲気であった。
私が小学中学高校時代を過ごした日本に比べ断然生活の質が向上した印象は受けた。 交通網のようなインフラは格段に整備されていて便利な社会になっていた。
米国の本土やハワイのように、歩き回っていても、ホームレス、浮浪者の姿は見かけなかった。
人生は短いといえば短くもある。 でも、何歳になっても、一秒一秒充実した時間を過ごすよう工夫さえすれば、一人旅行であっても、十二分に満足のゆく旅行も可能であると確信した。