予行演習
予行演習
自然は偉大だ。
実際に、死んだ経験の無い人間は、 考える動物である故、 死の恐怖に晒される可能性が無いとは言えない。
でも、自然は良く出来ている。 死の予行演習を何度もしてくれる。
最近まで、 死の予行演習があるなど、夢想だにしなかった。
何時もと違う、変な体調を感じる回数が、徐々に増えた。 「
「なんだろう」と思いながら、 無理な治療に頼らず、自然死を選択したので、 「自分の選択には、自分で責任を持とう。」と、心の中で囁いていた。
「ちょっとやそっとでは、医療機関のお世話にはなるまい。」と、自分勝手に決めたのだ。
「自分の最後は、出来るだけ自分で責任を取ろう。」と考えて、住む場所も選択したのだ。
医学に無知な自分ではあるが、 散歩中良く野鳥を見かける。
ホノルルに住む鳥は、人を恐れない傾向があり、すぐ近くまで近寄って来る場合さえある。
考えて見れば、野鳥用病院もスーパーマーケットも、学校も葬儀屋もない。
それでも生を謳歌し、寿命が来れば、大騒ぎせず、静かにこの地上から消える。
私も、動物であり、自然界で長年、生を謳歌させていただいたので、 誰にも来る死を、静かに受け入れたい。
勿論、もし私が20代、30代、40代などであったら、ガムシャラに病院に飛び込み、専門家のお医者様に、命乞いをするだろう。
でも、 もう76年( これは4年前に書いた。)も、基本的に健康に生きることができた。
仕事の関係で、 運良く世界中を飛び回らせて頂いた。
思いやりのある夫に恵まれ、約半世紀に及ぶ長い期間、家族生活を味わわせて頂いた上、才能のある優秀で優しい娘にも恵まれている。
幸運な事に、本当に、「自分の人生に納得し満足している」と、言える私は幸せ者だ
しかも自然は優しい。
死の予行演習まで予定に入れてくれている。
自然様の指示に従い、 何度でも、死の予行演習をしておきます。
そうすれば、本番で上がる事もなく、野鳥のように、死を静かに受け入れられるように希望している。
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