米国の離婚事情
米国の離婚事情
「40年以上」と言う、長い年月を米国で生活して来たが、 知らない事がまだまだ沢山ある事に気がついた。
少数の若い方々と、週一回にせよお会いする事で学ぶ事が多い。
21世紀末まで生きて行く人々と、ほんのちょっとにせよ、「袖振り合うも他生の縁」と言う諺があるように、人生のほんの一瞬でも、目前に見せてくださるのは嬉しい。
同じ人生問題と言っても、 時代により、人により解決方法は違うし、違って当たり前だ。
「裁判件数が多すぎる」と言う事情もあるため、米国で離婚をする場合も、専門家である調停者を介して、当事者同士が話し合い、折衷案に導いて行く場合が多い。
両者が受け入れられる条件を、調停委員同席のもとで、 数回会合を開いて決めて行くのだ。
大概の場合は、 誰にとっても離婚は感情に走りやすい。
中立的立場の仲介者が中に入り、両者が納得できる結論に導く努力をする。
けれども、離婚裁判にならないよう、協議離婚の可能性を模索して行く作業は、至難の技だ。
調停委員は、長年家庭裁判所の元裁判官であったり、弁護士であった人が多い。
米国内の離婚事情並びに、離婚に関連する法律に精通している。
調停委員に支払う料金も、州により、 年により微妙に違うようだが、 わたしが見たユーチューブの事例では、1時間250ドルで一回2時間単位で調停が行われる。
それぞれの夫婦の事情により、必要な回数も違うようだ。
現代は便利な時代だ。 直接自分が経験した事がなくても、ユーチューブで幾つかの調停中の事例を見て学べる。
個人情報を 守りながらでも、実在の調停委員が離婚直前の夫婦と会合する様子を、最初から観ることが可能なのだ。
離婚調停とはどんな事象であるのかを観ておく事で、少しは心の準備ができる。
米国のように個人主義が発達している国では、調停委員が仲立ちすることで、つかみ合いの喧嘩になる事はない。
とは言え、上手に自分の要求点を説得する力が求められる。
調停委員の前で、夫あるいは妻の悪口を並べ立てても、何の解決にもならない。
時間だけ過ぎて、費用が嵩み解決の糸口も全然見つからない。
男性側は、当然、自己保全のため自分の利益を考えるのであるから、女性側は沈着冷静、しかも客観的に、妻であった年限等を考慮した上、 遠慮は棚上げして、しっかり自己主張する事が求めてられる。
離婚騒動前夜、もし女性側が病気になった場合も、その事情をはっきり調停委員に説明しておくことが肝心だ。
調停が始まる前に、自分の要望点をしっかり書き出しておくことも大切だ。
しかも、 そのメモに何度も日を置いて目を通し、欠落している点が無いかを、確認しておくことが大切だ。
夫婦が離婚するに至った原因などの客観的情報を、調停委員が知る事により、 調停委員は法律と照らして、両者の取り分などを決定するのだ。
最終的に、片方がその結論にどうしても納得できない場合、離婚裁判に進んでしまう場合もある。
その時は二人にとり、時間も費用も嵩む事を覚悟しなければならない。