障害があってもなくても共に学び、働き、暮らせる社会をつくること
【百万人の夢宣言 お母さんが夢を語るルーム40】
娘が障害を持って生まれてきてくれたから
古谷さつきさんの夢は、
「障害があってもなくても共に学び、働き、暮らせる社会をつくる」こと、そして「平和で愛が循環する国際社会を築くこと」です。
重度障害の娘さん、まりなさんを含む3人のお母さん、古谷さつきさん。まりなさんが障害を持って生まれてきたおかげで広がった世界がある。「障害があってもなくても共に学び、働き、暮らせる社会をつくりたい」と次のように話をしてくれました。
母から背中を押されて
1歳半の頃、実家の母と統合保育を経験した親友に背中を押され、地元の病院に検査に行きました。その後障害を持った子どもたちを育てているお母さんたちのサークルがあることを知り、藁にもすがる思いでサークルに月に1度通いながら、先輩お母さんに療育手帳のことや、障害児の教育、これからどうしていくといいのかなど、いろいろ教わりました。「障害児を普通学校へ、全国連絡会」にも長年関わっていますが、この出会いがあったからこそです。
自分自身の変化
長男が小学一年生の頃の私は、いわゆる教育ママでした。100点を取ることが当たり前、1学年×10分の勉強をルールとし、必ず自宅学習をさせていました。漫画の本は歴史本だけはOKで原則禁止にしていました。でも、まりなが入学する時は名前を書くだけで「まーちゃんよくかけたね~」と花丸をするくらいに。“ねばならない”という私を変えてくれました。できないことがあって不便だったけれど、不幸だと思うことはありません。失敗談も数多くありますが、まりながいることで家庭内の結束も高まりました。
重度障害を持つ娘も働くことができる
今、まりなは34歳。多くの自治体は重度障害者は働けないと思っていますが、千葉に住んでいた時には、JOBマッチングとJOBサポーターをつけることによって仕事ができることを実践しました。最初のころは突発的なことがあったらパニックを起こすこともありましたが、JOBサポーターのおかげで職場内でも職場の方たちがサポートして働けるようになりました。神戸に引っ越すまで11年間勤務できました。
今、住んでいる神戸では、高齢者のカフェを運営しています。そこに、まりなはスタッフとして参加しています。まりなの社交術はほめちぎること。その人の良いところを言葉にします。お客様にも必ず1回は褒めるので、まりなは大人気。おかげで寄付をいただいたり、「ミモザのリースをまーちゃんに」と持ってきてくださったりする方もいらっしゃいます。
まりながいたからこそ、自分の知らなかった世界を知ること、出会えなかった人たちに出会うことができました。また、いろんな会に所属してからこそ、全国にまりなのことを知ってくださっている方がいます。
みんなが豊かな社会を世界中に広げるために
世界中にそんな輪を広げたくて、2009年からはホストファミリーもしています。韓国、台湾、上海、ミャンマーの子どもたちが来ましたが、ホストマザーをした子はみんな私を「お母さん」と呼びます。人間みんな一緒。ロシアとウクライナの戦争が起こっていますが、絶対に戦争はいけない。戦時中お国のためにならないと、障害者には配給がもらえなかったという歴史もあります。人類みな兄弟。一部のためだけではなく、みんなが豊かになる社会に。平和で愛が循環する国際社会にしたいです。
湯番 池田彩
あなたのサポートは、お母さんを笑顔にします。 どうか、やさしいお湯を提供くださいませ。