バイト先が潰れた。

レンタルビデオショップ兼本屋みたいなところでアルバイトをしている。昨日レンタルビデオショップのほうが閉店し、最後の閉店セールをやっていた。今までレンタルとして貸し出していた商品を数百円で販売して在庫処理という形をとっていたので、ここ最近は人があふれかえりとても忙しそうにしていた。まるで灯滅せんとして光を増す。

僕は主に本屋のほうでアルバイトをしているので今後もアルバイトは続ける予定だ。

3年前ここにアルバイトの面接来た。大学に入ったばかりで家でのお小遣い制度がなくなり、自分で稼がなくてはいけないから仕方なくアルバイトを探すことにしたのを覚えている。
なぜここのアルバイトに決めたのかを実はあまり覚えていない。深夜までやっていたからなのか、行きたいと思う理由が何かあったのか、思い出せない。

ただ、アルバイトの面接のことはよく覚えている。

緊張しながら事務所に通され、部屋の中に入るともう一人僕のほかに面接に来た人がいた。その人は中学時代の部活の先輩だった。
僕はそのことに気が付き「僕のこと覚えてますか?」と彼に聞いたのを記憶している。彼は記憶からぴっぱり出すように少し困った顔をしながら僕のことを思い出していた。
特に何も考えずに応募したアルバイトに少しでも知っている人がいてやっていけるかも!!とその時は思った。

その後少しの間二人ともレンタルビデオショップのほうで研修を行った。その時初めてR18と書いてある暖簾をくぐり、僕はもう大人なのだと感じた。

その後先輩がレンタルビデオショップに配属され、僕は本屋に配属された。今思えばこの時が運命の分かれ道であったと思い返したらわかる。
僕がレンタルビデオショップに配属されていたら、今、次のバイトを探しながら、不安にかられながらこの記事を書いているだろう。

最初は一番の新人だった僕も今では最古参になってしまった。僕に仕事を教えてくれた人たちが次々と辞めていくあの悲しさ。今まで頼っていた人がいなくなり次からは自分でどうにかしなくてはいけないという不安。

レンタルビデオショップがなくなっても生活に支障をきたすほどの被害を被る人はいないだろう。ネットフリックス、アマゾンプライム、ディズニープラス、これらのサブスクリプションという形が現在は主流となっている。
何作品も観る人は月額一定の金を支払うほうがお得で、一切外に出なくても映像が見れる点でサブスクはレンタルビデオショップにないものを持っている。

しかしそこに出会いはあるのだろうか。見たい作品しか見ず、高評価の数に注目し、限りなく星5に近い作品を面白いとわかっていながら鑑賞し、鑑賞後に「面白かった」と言う。

そんなので良いのだろうか。

レンタルしにいったら目当てのビデオが貸りられていたので、仕方なくいつもは見ないジャンルの映画を貸りてみよう、今日は勇気を出してR18 の暖簾をくぐってみよう、同じDVDを偶然二人の若い男と女が貸りようとして手が触れ合い恋が始まりそうな予感の光景を見ていたら、「俺のほうが先に触っていたから」と言ってDVDをレジに持っていく男の背中を眺め、いや譲ってやれよと小言をつぶやいたり、失恋ソングをカゴいっぱいに入れている女性を見かけて失恋ってつらいのかな~と思ったり、サメVS人間みたいな映画ってどうやって2時間の尺を稼いでいるんだと思いながら店内を歩いたり、地べたに座りながら堂々とレンタルコミックを読んでいるおっさんがいて、こうなってはおしまいだと思ったり

サブスクにはないものがたーくさんあるもん!!こういうの含めてレンタルビデオショップなんだよ。これが良さなんだよ!!情報量の多さが段違いなんだよ!!

僕の好きなyoutuberのコウイチTVは過去に戻ったら何がしたいですかという質問に対し、2003~4年に戻って今じゃ旧作になっている映画を新作として店に並んでいる状態を見たいと言っていて、いいなーこれと思いました。ORANGE RANGEとかロードオブメジャーが店内で流れているのを聞きながら映画を選んでみたいです。













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