激動のCEROレーティング2022
SFホラーゲームの『The Callisto Protocol』がCEROレーティングを取得できなかったことを理由に日本では発売中止になりました。その直後、リメイク版『Dead Space』のストアページが日本からはリージョンロック状態となりました。
さらには、Nintendo Switch版『Prodeus』がレーティングの都合で配信できないという自体が明るみに。これはIARC汎用レーティング(the International Age Rating Coalition)で18歳以上になってしまうと、プラットフォーマー(任天堂)の自主規制によりDL版が配信できないからだと思われています。
今後、CEROレーティングを取得できずに発売できないゲームが増えていくと思われます。このnoteでは発売中止になったゲーム、発売中止になりそうなゲームなどを随時更新でまとめていく予定です。
発売中止になったゲーム
追記:2022年12月14日。PCのSteam版『The Callisto Protocol』は一時、抜け穴が発見されて日本からも購入が可能になっていました。しかしながら、この抜け穴が潰されて日本からは明確に購入制限がかかったようです(Game*Sparkより)。また、XboxのDL版は返金対応になっているユーザーがいるようです。
追記:2022年11月10日、『The Callisto Protocol』のXboxダウンロード版が日本から買えなくなっているのが確認できました。その理由はわかっていません。公式サイトの予約欄では地域の選択画面で「日本(Japan)」が消えていることから、パブリッシャー側の判断で取り下げられたと考えられます。
以下、記事執筆時(11月5日)の原文。
現状、明確に発売中止になったゲームは『The Callisto Protocol』だけです。こちらはオリジナル版『Dead Space』のクリエイターによるゲームで、敵の部位破壊などの表現があります。また、主人公のやられっぷりも『Dead Space』から引き継いでいるようで、人間の主人公に関するゴア表現もあるようです。先のIGNの記事に書いてあるとおり、「レーティングを取得するためにゲームを変更しても、プレイヤーが期待する体験は得られないとの判断」とのことでした。
じゃあ、ぶっちゃけ買えるんですか? という情報もこのnoteでは書いていきましょう。『The Callisto Protocol』は海外版にも日本語吹き替えが入っているとされています。現状、DL版が買えるプラットフォームはXbox版のみです。SteamやEpic Gamesストアではリージョンロックがかかっています。Steamで購入した人もいるようですが、現状では返金はされていないようです。
では、なぜXbox版は買えるのか。これはIARCレーティングに関する自主規制をXbox側が設けていないからだと思われます。Xbox版のストアページを見ると、本作はIARCで18歳+のレーティングになっていることがわかります。SteamやEpic? よくわかりません。
PS/任天堂プラットフォームの場合、Automatonの記事(PS/任天堂)によるとプラットフォーマー側の自主規制があるようです。PSはIARCで18+の場合は「青少年保護の観点から、日本市場に特化したレーティング審査に長年実績のあるCEROの審査を経て配信することが望ましい」という判断があったとAutomatonの記事に書いてあります。つまり、IARC 18+のゲームはPS/任天堂は販売しないわけです。
『The Callisto Protocol』のパッケージ版は上記のようにAmazonでの売り上げも好調の模様です。これは2008年版『Dead Space』を彷彿とさせますが、その時代に戻ってしまったのでしょうか。
日本での発売が危ぶまれるゲーム
追記2022年12月18日:どうやらリメイク版『Dead Space』は国内向けのPC版は規制なしでリリースされるようです。EAの日本営業部長の野口ショーンさんにより明らかにされました。ツイートによると、どうやら国内家庭用ゲーム機版はレーティングが取得できなかった模様です。
以下、記事執筆時(11月5日)の原文。
先述したリメイク版『Dead Space』は日本での発売が危ぶまれています。『Dead Space』についてはIGNの記事によると、「日本国内ではCERO審査中」のようです。レーティングが取得できるかどうかの判断としては、やはりゾンビや怪物ではなく人のゴアがあるかどうかと、それがゲームに深く関わるかどうか(規制が可能か)が重要になるでしょう。『Dead Space』は『The Callisto Protocol』と似たようなゲームのはずですので、CEROレーティングを取得できるかどうかはかなり怪しいでしょう。
リメイク版『Dead Space』は現状、PC版はすべてのストアページでリージョンロック状態です。Xbox版はというと、ストアページに「CERO審査予定」のマークがあります。CEROの取得をしての販売を予定しているようで、もし取れなかったらIARCレーティング付きでの販売に移行する可能性はありそうです。それでも、PSプラットフォームでは自主規制のため日本では販売できないと思われます。
IARC18+で配信されているゲームたち
こちらはオマケコーナー。先述した『Prodeus』のXbox版はIARC 18+のレーティングで日本でも問題なく配信されています。Xboxはプラットフォーマーの自主規制がないからです。
ほかにもXboxではIARC 18+の『Scorn』などが普通に配信されています。なので、Xbox版『The Callisto Protocol』も問題なく配信されそうです。
もっとオマケ情報にいくと、IARCレーティングではヌード表現もCEROよりユルいようです。『イモータリティ』、『Metropolis: Lux Obscura』といったゲームは女性のバストトップが出るようです(ぼんくら犬さん、情報ありがとうございます)。IARCレーティングでは明らかにCEROを通らないゲームでも配信できる現状にあるようです。
また、IARCのレーティングはわりと変動する可能性があるようです(みおさん情報ありがとうございます)。『殺しの館』というゲームは配信途中でIARC 18+になったようで、それで日本では配信停止になったようです(任天堂プラットフォームは自主規制のため、IARC 18+タイトルを配信できない)。このゲームは『新殺しの館』としてIARC 16+レーティングで復活して配信再開したようです(電ファミニコゲーマーより)。
IARCレーティングの変更例としては、Nintendo Switch版のArcaeaもあります(Automatonより)。こちらは18+までいったわけではなく、すぐに配信再開されていました。もしレーティングが18+などにいくゲームがあれば、今後配信できなくなるといった可能性もあるでしょう。
今後なにが起こるのか
日本でも海外ゲームがさらに人気が出てきて、2008年の『Dead Space』の時代からは変わりました。それもあり、『The Callisto Protocol』やリメイク版『Dead Space』が最初から日本語対応で発売予定になっていたのでしょう。ですが、CEROレーティングに関しては昔の時代から変わっていないようです。
おそらく、人間のゴア表現が引っかかってると思われますが、CERO側はレーティングが取得できない理由を明確にする必要があると思います。もしレーティングを取得できないなら、メーカー側もゲームの購入手段をもうすこしはっきり示してほしいとゲーマーとしては思うところです。
さて、今後レーティングが取得できないならば、なにが起こるのか。それは日本語対応がそもそも最初から予定されないことです。日本で明らかに販売不可能なタイトルにコストはかけられないはずです。
Xboxは自主規制をしていませんが、そもそもの成り立ちを考えるとCERO自体が自主規制団体だと思われます。たとえばCEROレーティングが取得できない問題がもっと大事になり、外部からXboxが自主規制をおこなっていないなどと矛先が向けられる可能性も考えられます。
PCなら、Xboxなら販売できる。ある意味、これはバレていないだけとも言えるのではないでしょうか。対岸の火事ではなく、CEROレーティングの問題を真剣に考えていく時代になっていくのかもしれません。