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サロンケアからホームケアまで。「技術力」と「商品知識」を兼ね備えたハイブリッドな美容人材が、今求められる理由

「Ha-ha」代表・坂本直宏(スタイリスト名・Ryoma)は、美容師としてサロンワークに勤しむ傍ら、サロンなどのプライベートコスメブランドの製造におけるコンサルやプロデュース業もにも携わっています。

化粧品業界に参入した経験から、「“美容師”と“美容部員”の間に立てる存在が必要」だと強く認識しているという坂本。一体どのような存在を指すのでしょうか。

早速、坂本にインタビューしてきました!

「“美容師”と“美容部員”の間に立てる存在」とは?

——早速ですが、なぜ“美容師”と“美容部員”の間に立てる存在が必要なのでしょうか?

坂本 そもそも、「美容師」と「美容部員」では、お客様の悩みに対する解決方法が異なるんです。「美容師」は「技術力」、「美容部員」は「商品(知識)」をもってアプローチします。僕が言う間に立てる存在とは、この両方を使いこなせるハイブリッドな人材のことです。

——そんな人材がいることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

坂本 例えば、「髪の傷みが気になるけれど、ヘアカラーがしたい」というリクエストがあったとします。これに対して美容師の技術力だけで解決しようとすると、低刺激性のカラー剤によるヘアカラーと一番良質なサロントリートメントをする、といったような方法になります。

しかし、サロントリートメントで綺麗にした髪は、長くても2週間程度しか持続しません。

——短いですね…。

坂本 しかし、ここに「商品(知識)」が加わったらどうでしょう。

サロントリートメントの他に、髪の悩みに合わせたシャンプーやトリートメント、ヘアパックなどといったホームケアで役立つ商品を勧められるようになります。商品も組み合わせることで、サロントリートメントよりも髪の美しさが長続きする、持続可能な提案ができるようになるんです。

——おお!

坂本 ただ、この場合サロンでのトリートメント率は少し下がる傾向になってはしまいます。でもその代わりに、商品の購入率が上がります。すると、サロントリートメントがお客様にとって1〜2カ月に1度の「スペシャルケア」になっていくんです。そうなれば、サロンへ足を運んでもらった時に、サロントリートメントと商品の購入を同時にされる方が増えていきます。

——持続性や再現性の高い方に気持ちや行動が傾くのは、自然な流れですね…!

坂本 サロンでのケアで完結してしまうのではなく、ホームケアまでコーディネートしてあげるほうが、結果として親切だと僕は思っています。

ハイブリッドな人材が少ないのはなぜ?

——最近は、物販の用意もあるヘアサロンも増えてきていると感じているのですが、それでも、そういった提案はあまり浸透していないのでしょうか?

坂本 スキルに対する意識の高い技術者だからこそかもしれませんが、僕としては、商品の話をすること自体に苦手意識がある美容師さんが多いように感じています。

——それは、なぜですか?

坂本 美容師と美容部員とのどちらも経験した僕だからこそ思うことがあります。

確かに、ヘアサロンに行くお客様は、そこに商品を買いに行っているわけではありませんよね。サロンにいる美容師というプロの方の技術を受けに行っている。そこでいきなり商品の話をされたら、確かに「髪を綺麗にするための技術を買いに来ているのに」と違和感を覚えることになると思います。

——確かに、「え?」と戸惑ってしまいそう…。

坂本 しかし、お客様の髪悩みをきちんとヒアリングして汲み取った上で、技術と商品を組み合わせた解決方法を提示できれば、それは「商品を売りつけられた」ではなく、髪悩みを改善するための「有益な情報をもらった」という認識になるんです。

そもそも、美容部員がすることはあくまで情報提供。そしてその情報提供における要点は、「お客様が欲しい情報かどうか」です。

お客様の髪悩みの内容や技術を受けに来ているという姿勢を尊重した上で商品を勧めることができれば、お客様に対してよりポジティブな提案をすることができます。そして、これができている美容師って、実は意外と少ないんですよ。

——それは、どうしてですか?

坂本 先ほども言ったように「商品を売りつけているみたい」と感じるネガティブな意識と、そのネガティブな意識を解決するための勉強を怠っていることによるスキル不足との、2つが主な理由ですね。

「一生通いたい」と思える、美容のパートナーになるために

——ハイブリッドな人材になるには、どうしたらいいのでしょうか?

坂本 まずは、美容部員が持つ接客についての知識や、お客様に対する姿勢を学ぶことから始めるといいと思います。

例えば、購入への意思決定の変化を示した「AIDMA(アイドマ)の法則」。注目の「Attention」、興味関心の「Interest」、欲求の「Desire」、記憶の「Memory」、行動の「Action」といった5つのステップの頭文字を取ったモデルです。

多くの美容部員はこういった販売心理学を頭に入れていますが、これを知っている美容師は少ないんですよ。僕がセミナーで話をする時も、このような知識面の情報も用いながらお話ししています。

——そもそもとしての知識は大事ですよね。他にも、例えばカウンセリングのスキルなど、必要なものはありますか?

坂本 「聞く」というだけの印象が強いカウンセリングというよりは、より「聞き出す」という方向の「ヒアリング」の方が僕は適切かと思っています。もちろん、このスキルも必要です。

美容や健康に関するお客様との雑談の中で、お客様自身の言葉を適切に拾いながら、お客様の悩みに気づいて言い当てていく。これが。僕たちプロに求められることです。質問をするのは、まだこの段階に至っていないと僕は思います。

——このような「ヒアリング」を行うために、心掛けていることはありますか?

坂本 まずは、こちら側の心理状況を整えることかな。お客様の私語をしっかり受け止められる心構えが必要です。同じタイミングで何人ものお客さんを抱えると、余裕がなくなってしまいますよね。なるべくマンツーマンで施術ができる環境も、大事な要素です。スケジュールの組み方1つでも、そのヘアサロンや美容師がどの程度の質の仕事をしようとしているのかが見えてきますね。

——これは、施術を受ける側からしても安心感がありますね!

坂本 僕は美容師を続けるうえで、「お客様の“綺麗”に一生に寄り添う意識」でいます。そしてお客様にとっても、「一生通い続けたいと思える美容師」でありたいと思っています。

プロとしての高いスキルは前提に、「自分の変化に気づいてくれて、それに合わせた幅広い提案をしてくれる美容師」が求められていると思うんです。

いつも同じコンディションの人間なんていません。目の前のお客様から読み取れる背景まで汲み取った提案を継続的にするためには、サロンケアのみならずホームケアまでコーディネートすべきだと思います。美容師側も把握できることが増えるので、よりお客様の生活に寄り添った施術がしやすくなりますしね。

また商品によっては美容部員の立場だと、例えば洗い流す必要がある製品など、その場でお客様にお試しいただけないものもありますが、美容師という技術者の立場だと試していただける場合も多いんです。こういった面でも、「“美容師”と“美容部員”の間に立てる存在」が必要だと感じています。

——お客様の満足度やリピート率が、ぐんと上がりそうですね! ありがとうございました!

時代の変化に伴い、美容業界においても、技術の進歩やお客様の悩みの内容も変化しています。それに伴い、視野を広げ、従来の固定観念を超えて柔軟な対応ができる人材が、今求められているのかもしれません。



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コスメブランドプロジェクト「Ha-ha(ハーハ)」とは
「未来に残るブランドづくり」「世の中に必要なブランディングモデル」をテーマに、2022 年スタートしたコスメブランドプロジェクトです。このnoteでは、ブランド・製品への想いや開発秘話、肌や髪などの美容など関する情報を発信していきます。

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「Ha-ha」代表・坂本直宏(スタイリスト名・Ryoma)美容師についてはこちら(Instagramアカウントになります)。


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