見出し画像

マルタで野生のカメレオンに出会った|ヨーロッパ旅行記(2024年3月マルタ#1)

「カメレオン」という動物の名前はみんな知っていて、ペットショップや動物園で見たことがあるかもしれないけれど、野生で見たことがある人はどれだけいるだろう。

今回ヨーロッパの島国マルタに滞在中、たまたま野生のカメレオンを見ることができたので紹介したい。


ガディラ自然保護区にて

話の舞台はマルタ島の北部にあるGħadira Nature Reserve(ガディラ自然保護区)だ。市街地からは少し離れた場所で、バスで目的をもって来ないと降りないような所にある。

ただ、観光地であるコミノ島やゴゾ島に行ったことがある人は横を通り過ぎているはずだ。

自然保護区の入り口 意外と開く時間が遅いので訪れる人は注意

なぜここに来たかというと私の趣味の一つが自然観察だからだ。特に海外旅行では普通の観光のついでに自然がある場所に行くことが多い。(それがメインのことも多い)そして主なターゲットは野鳥だ。

今回訪れたのは3月後半だったが、島に滞在する野鳥が多くなる渡りのシーズンには少し早かったようで、鳥はいるにはいるのだがあまり種類や数を確認することはできなかった。その辺りの話はまた別の記事で。

雰囲気はとてもよい しかし鳥はあまりいない
よく見るとセイタカシギ 日本でも出会える野鳥

きっかけはイギリス人のご夫婦

自然保護区内にはビジターセンターがあって、常駐のスタッフに色々聞くことができる。また、保護区の奥には鳥を隠れて見る小屋があり、そこに至るまでの1本道の遊歩道は自由に歩くことができる。

自然保護区内の遊歩道

双眼鏡とカメラをぶら下げて遊歩道を歩いていると5,60代ぐらいの欧米人のご夫婦に話しかけられた。

「君はカメレオンを見たかい?」

いや見てないです、と答えると、

「そこにいるよ」

と指をさしたところをじっくり見ると本当にいた。カメレオンだ!

カメレオンはいつも眠そうに見えるのは私だけだろうか

写真は望遠レンズで撮っているので大きく見えるが、実際はけっこう小さい。手のひらでつかんで収まりそうなぐらいだ。(後で調べたところメスは大きいらしい。多分オスか子供だったのだろう)

ご夫婦とお話をしてみるとイギリスから来られたようで、私と同じく野鳥を見に来たようだが、「ちょっと時期が早かったね」とこれも同じような所感だったようだ。

カメレオンについて知ったこと

なんとなくだけど、カメレオンはアマゾンとかの熱帯雨林の奥地にいるようなイメージだった。

だがマルタという国はどう見ても乾燥している。樹木は低いし、まばらな場所が多い。今回観察した場所は貴重な湿地だから保護区になっているわけだ。

ということで調べてみると、カメレオンは熱帯にはもちろんいるが、サバンナや砂漠などの乾燥したところに適した種もいるらしい。そしていわゆるアマゾン(南米)には生息しておらず、アフリカやアラビア半島、パキスタン、インド、スリランカ辺りまでが生息域だそうだ。

と、ここまで書いて、そういえば茶色に変色するカメレオンを昔テレビ番組の「どうぶつ奇想天外」で観た気がしてきた。あれは砂地に隠れるカメレオンだったかもしれない。

マルタのカメレオンについて

ちょっとだけ今回観察したカメレオンの種類について話をしよう。

マルタで見ることができるカメレオンの種名(和名)は「チチュウカイカメレオン」。ヨーロッパに自然分布する唯一のカメレオンだ。

チチュウカイカメレオンの生息地は、地中海沿岸の諸国と紅海周辺。ヨーロッパ南部沿岸からトルコやイスラエル、アフリカ北部と地中海をぐるっと取り囲むように生息している。

だがマルタに関して言えば、実は1880年ごろに人為的に持ち込まれたものが定着したらしい。マルタは大陸から少し離れた島だから自然には入ってこれなかったが、生息環境としては近かったので自然でも生きていくことができたのだろう。

強引に日本で例えると、九州には熊は生息していないが(くまモンしかいない)、環境は本州と同じようなものなので、ツキノワグマを放ったら野生で生きていけた、というようなことか。

まとめ

今日はカメレオンを目的に来たわけではなかったのが、思いがけない出会いでカメレオンについてちょっとだけ詳しくなった。

また、もしあの場にあのイギリス人のご夫婦がいなかったら自分だけではおそらく見つけられていなかっただろう。感謝しきりだ。

あの時は大きめのカメラをぶら下げて歩いていたおかげで、私がいかにも「生き物を見に来ました!」という人に見えたのかもしれない。

やはり旅は色んな偶然が楽しい。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集