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銀座線を探して

2024年11月20日(水)、友部正人の新しいアルバム作品『銀座線を探して』がリリースされた。吉祥寺のスターパインズカフェで二日間に渡って行われたレコーディングライブ。ぼくは両日ともに足を運ぶことができた。そのときのことを書いているのがこちら。

曲名の表記が違ったり、曲名に誤りがあったりしていることが見直してわかったので、記事じたいは直さずに、記事の最後に国内盤のレコードに入っている訂正表よろしく追記した。どう間違っていたのかも記録として残しておきたかったから直すのはやめた。

レコーディングライブ初日はぼくの友だちも観に来ていて、ライブ後にみんなで飲みに行って友部正人のことや好きな音楽の話をして楽しかった。このアルバムを聴いて、みんなで吉祥寺の浜やんで泡盛を飲みながら話したあの日のことを思い出した。

このアルバムを聴くと思い出すあの日のこと、がいくつかある。アルバムのレビュー(批評)ではなく、ほんとにただの個人的な感想、というか思い出。


アルバムのタイトルにもなった表題曲「銀座線を探して」は、前作『あの橋を渡る』のレコ発ライブを観に行ったとき、曲間のMCでこう話していた。

「久しぶりに渋谷に来たら、だいぶ様変わりしていて、東急のあたりをぐるぐるしちゃったんですが、死後の世界を見ているようでした」

様変わりした街を歩いていることを、死後の世界を歩いているようだ、と話したことに凄く感動した。ライブを観たあとX(旧twitter)へのじぶんの書き込みからの引用。
その9ヶ月後くらいに秩父のライブに行ったとき、そのときのMCの内容が「銀座線を探して」として曲になっていたことが凄くうれしかった。

「明日になれば」は、その秩父のライブではじめて聴いた曲。当初5月に開催する予定だったのだが、友部正人が入院した為約1ヶ月ほど延期をして開催となったライブだった。そのライブで、入院していたときのことを歌ったのがこの「明日になれば」で、そのことももう歌にしてしまうのか、と驚いたし、何よりサビのメロディーが大好きな曲。ミュージシャンに、シンガーソングライターに対してこんなことを言うのは失礼かもしれないが、やっぱり友部正人はいいメロディーを作るよなあとこの曲を聴いて改めて思った。独特な声質や詩の評価に隠れてしまいがちだけども(とぼくが勝手に思っているだけか、わざわざ言わなくても…ということなのかあまり聞いたことがないので)、メロディーラインの才能がとても優れていると思う。

「小林ケンタロウのいえ中華」をはじめて聴いたのが、2018年の夏に鎌倉でのライブを観に行ったときだった。割とライブの最初の方に歌ったと思うんだけど、曲の前後になんの説明みたいなものもなかった。まあ、別にないのが普通なんだけども、この日のことはこの曲しか記憶に残っていないくらい衝撃的だった。

「ポテトサラダ」「クワガタ」は、2019年の冬に仙台のライブではじめて聴いた。前作『あの橋を渡る』に収録されている「空の鰯」もそうだったと思うのだけれども、最近作った曲として歌っていた。「ポテトサラダ」は衝撃的だった。

「一枚のレコード」は、今年1月に日ノ出町にあるドルフィーでのライブを観に行ったときに、ライブのいちばん最初に歌った曲で、聴いたことがない曲だった。ぼくはいってもそんなに足繁く友部正人のライブに足を運んでいるわけではないので(関東近郊で開催されるライブはできるだけ行きたいのだけれども、仕事が理由で平日のライブには基本的に行けない)、観に行っていない期間にできた新曲かなあという感じだったのだが、終演後に少しだけ友部正人本人とお話しできるチャンスがあったので、今日のライブの最初にやったブラッサンスのレコードの曲は新しい曲ですか?と訊ねたら、友部正人はニコっと笑いながら「今日はじめてライブでやりました」とこたえてくれた。はじめて卸す曲をライブのいちばん最初にやるかっこよさ。考え方によれば、できたばかりの曲を早く聴いてほしいからライブのいちばん最初にやる、というのは別におかしいことではない、というかミュージシャンとしてあるべき姿なのかもしれない。そのかっこよさにまた友部正人のことが好きになってしまった。その曲がもうCDとしていつでも聴ける状態にレコードされているのがうれしい。

「小鳥谷」は、去年2月の池袋でのライブではじめて聴いた。友部正人のお母さんが小鳥谷の出身だったのかな。その翌月に、吉祥寺のスターパインズカフェで【友部正人リクエスト大会(アルバム編)】という、ファンにとってはお祭りのようなライブがあった。そのときのことはこちら。

ライブ開始前に1曲だけ友部正人の聴きたい曲をぼくらが投票することができて、これまでに発表したオリジナル・アルバムをリリース順に1曲ずつ歌っていくというライブだった。アルバムのタイトルが書かれた紙袋からおみくじを引くように舞台上で友部正人が引いてその曲を歌っていく。1曲も投票がないアルバムはなかったとのことだった。このライブの最後に、今年できたばかりの新曲として「小鳥谷」を歌ってお祭りが終わった。できたばかりの曲をライブのいちばん最初に歌うことがあれば、新曲をライブの最後に歌って締めることもある。どちらもかっこいいな。

ということで超個人的なあの日のことを書いた。
好きなミュージシャンのアルバムをリリース日に聴くことができてよかった。たった一日しかない特別な日でとても贅沢なことだ。

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