Bonjour Macintosh
私の世代、マッキントッシュと言えばキットカット!! と思わず言いたくなるのだが、今となればチョコレートではなく言わずと知れたパーソナル・コンピューターを思い浮かべる人も多いことだろう。マッキントッシュ(Mac)を初めて触ったのは、取材先で見たMacintosh Classicだった。これまでPC-9801にMS-DOSを使っていた私は、マウスで操作するMacに魅了される。ファイル削除はゴミ箱へアイコンをドラッグ&ドロップ、トースターが飛んでくるスクリーンセーバー、今では当たり前のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)だが、初めて体験したそのわかりやすさに、パーソナル・コンピューターがこの先、多くの人たちにあたりまえに使われるようになる未来を予感した。
「キーボード・マガジン」でDTMの連載「M’s Gear」を始めるにあたり、自分もMacをどうしても手に入れなければと考えた。エプソンのPC-9801を購入して何年後だっただろうか、安月給に苦しい家計を切り詰めて、なんとかMacintosh IIciを購入する。モニターPC-9801互換機と秋葉原で切り替えスイッチで共用にした。だが、さまざまなアプリケーションを快適に使うためには、メモリーやハードディスクの増設が必要となり、さらに出費がかさんだ。そんなIIciも今ではルーター置き場になっており、電源を入れることはないが、今見てもそのシンプルなデザインは美しいと感じる。
購入後、連載内容の検証や画面写真をとるために、Opcode「VISION」というソフトをインストールした。MIDIで使いのが精一杯、当時のCPUパワーではハードディスク・レコーディングは到底無理だった。しかし、MIDI音源を組んだオケをカセットMTRに録音し、残り2トラックをボーカル、ギターに使えることで、ピンポン録音していた昔より音質は向上した。