ノンストップ 髄聴篇
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「やっほー」
女性はプラ製のコップ片手に。
男性は缶ビールを片手に。
私へ手を振っている。
…夢か?目をこするが、やはりいるな。
夢でも幻でもない。
そこにいたのは、先日大阪でお会いした
KAZさんと菅野創一朗さんだった。
驚きのあまり
「えー!なんでいるんですか!」
と、だいぶ失礼この上ないことを言う。
KAZさんは
「だって。わたしはほら、生活圏内だし」
まだ信じられないので聞く
「だって菅野さんは北海道に引っ越して…」
昨日、雪景色の小樽の風景をポストしてる
菅野さんの投稿を見ていたから余計だ。
ああ、それはね。と菅野さんは説明する。
「明日名古屋でライブなので帰ってきました。
その後大阪に荷物取りに戻るんですよ」
あー、そうでした。
明日ありましたね。
ハニバニでライブ。
私はしごt…
「あした、来るよね?」
KAZさんが語りかける。
「いや、お忙しいでしょ…」
菅野さんが続ける。
「だって。名古屋、最後だよ?」
畳みかけるKAZさん。
「最後じゃありません!
けど、しばらくは帰ってこれませんね~」
と、菅野さん。
なに…この…これは。
このやり取りは。
コントかなにかですか?
2秒くらい、バチンと脳に電流走る。
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瞬間的に脳内で起きたこと。
煩悩と監査役が中心となり決起。
労務担当と財務官を襲撃する。
財「やめろ!何をする!」
労「おい、気は確かか!」
監「少し大人しくしてもらいますよ。やれっ」
煩「よーし!任された!」
拘束
財・労「(んー!ん-!)」
監「これでよしッ(良くない)」
煩「ルートとして。今日は確実に帰るね」
ナ「明日の労務は行けませんと通知します」
煩「判断するの早っ…怖…」
守護妖精は一連の流れを見て爆笑している。
守「またブレーキ壊れたね!アハハ!」
監「いや…もうこれは…仕方ないやつでしょ?」
煩「利害一致すると一気にくるよね」
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2秒くらいののち。
「明日…ちょっと考えますね(脳内決定済)」
現実とのラグがあるので。
できることをちょいとする。
LINEでの労務出向不可連絡。
昼の要件から会場までのルート検索。
銭湯は寄っていけるかな…。
うん。もろもろできそうだ。
ま、なんとかなるでしょ。
バーカウンターで缶ビールを受け取り
皆とあたらめて乾杯する。
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ステージ上では藤山拓バンドが
準備を終えた様子だ。
すでに脳内はアドレナリン洪水なのだが
大丈夫だろうか。
見たことある面々がステージに上がる。
そのはず。
キーボード、ベース、ドラムスは
最後に登場する雰囲気バンドのメンバーだ。
ギターはアフターアワーズのタミハルさん。
ショーウエムラさんは何度か拝聴したが
タミハルさんとは初めて会う(と思う)。
なんとも贅沢なハイブリッドバンド。
藤山さんは“怪物”とも言われるが
バンドセットで見る機会はなかなかない。
音楽はどんな化学反応を起こすだろうか?
藤山拓バンド
「girl2」
「台風10号」
「刺青」など
アコースティックで夏草のよく似合う彼の、
いつもの音楽から一線を飛び越え
爆発的なダンスチューンに仕上がっている。
これもまた、彼の音楽なのだと思うと
”怪物”の名も『称号』足りえると思わせる。
各メンバーのエネルギーを最大限引き出す
歌声、パフォーマンスは素晴らしく。
舞台に収まりきらないその
彼のパッションは、店を飛び出すほど。
「破天荒を楽しむ男」そんな風にも感じた。
圧巻である。
特に「台風10号」では、
急に内側のトリガーが外れ
ボダボダ泣いてしまったのは内緒だ。
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藤山拓バンドは会場の熱を最高潮にしたまま
ステージを引き継ぎ、舞台転換となる。
着実に、右肩上がりだ。
会場のボルテージが漲っている。
すごい夜だ。止まらねぇ。
次は「大阪から初めて名古屋に来ました」
と語る、VANQULLWAR’S(バンクルワース)。
転換中の音出しの時点でかなり
ヤバいバンドなのがわかる。
すでに会場のオーディエンスが
音の波に乗っている。
え、これ、本番始まったらどうなるの?
VANQULLWAR’S
「大阪砂漠」
「にゅーわーるど」
「TANUKIDANCE IN KACHIKACHIYAMA」
「温泉へ行こう」など
まず、ボーカルのコブシのきいた
語り歌が異常に心地いい。
なんだこれは…
目下奴言水(もっかどごんすい)さん。
耳に心地よい声の持ち主。
熱く激しくもある楽曲の世界が
丁寧に顕現されていく。
それは上方落語の銘調子のような
味のある旨味。
なんだこれは…素晴らしいかよ…。
とんでもないコンポーザーだな…。
ギターのサウンドも馴染みやすい反復。
初めて聴く楽曲なのに体がのれてしまう。
ベース、ドラムスのノリも堪らなく好き。
ダンスチューンが続き、中でも「TANUKIDANCE IN KACHIKACHIYAMA」
これが超楽しい。
たぶんみんな好き。
会場中がピョンピョン跳ねている。
彼らのサウンドがそうさせる。
もうお祭りですわ。
私の知る限り
頻繁に来る面々が
今夜は沢山来ている。
全員を巻き込んでいる。
切れ味のいい刃物のような音楽で
それぞれハートを美しく切り捨てられていく
まいったな、これはとんでもない夜…。
絶頂絶賛のうちにステージを終える。
お見事としか言いようがない。
こんな爆音の連続を
心地よく聴けるものなのか
体の芯で聴くといえばいいのか
脊髄で音楽を聴いている感がある。
とんでもない夜だ…。
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好きすぎる…
ヤベェバンドだ…
なんで今まで知らなかったんだ…
興奮冷めやらぬ会場。
相当にざわついている。
転換の途中であるが
ギターを引っ提げ
ステージにゴウさんが現れる。
トリの演奏前に
ゴウさんからお話があるようだ。
つづく