小樽百鬼夜想曲 伍
第5章 観光 ~やまつみ編~
2024年8月23日~25日
人生初、北海道•小樽へ
音楽と魂の旅路の記録である
DM 乗り継ぎ
11:24
バスはロータリーではなく「小樽都通り」アーケード出口あたりに着く
バスを降りて駅方面 目の前のターミナルに向かっているとDMが来る
うんうん、ありがとう 行ってきましたぞ
風光明媚してました さすがは小樽っていう風景に大満足です
海の次は山だなと言うことで 投げられた球には即返球
すると、こんな返しが
昨晩 電話でちょっと話をした時に
「小形さんち 分かるかもしれない」
と言ったのだが
あれは「かもしれない」、じゃなくて
あの時点で おおかた分かってたんですよね…
誰かから教えてもらったわけではないし
無論、小形さん本人から聞いたわけでもない だが
分かってるんですよ もう既に
話が唐突にホラーすぎるけれども
本当に怖いのは これが自分の力でないということ
7月も終盤
Googleマップのストリートビューで小樽を仮想散歩していた時のこと
いろいろと道を散策していると 守護霊さんが声を出す
守「この辺り、小形氏のおうちら辺じゃのぉー」
私「??…行ったことはないでしょう?小樽」
守「たぶんな『この体では』ないかのぅ」
私「他の体ならあるっていうんですか」
何を言い出すのかと思うと
ピンポイントで とある建物を指し示す
守「ホレ、多分…ここじゃの。小形氏の家は」
私「えぇ…(困惑)」
戸惑いながらも聞いてみる
私「…根拠とかあるんですか?」
守「Instagramでこの周りの写真見たことあるし、角度とか」
私「(…角度?)えーと、それは、勘みたいな?」
守「月から見えてたってのもあるのぉ」
私「それで本当なら、かなり気持ち悪いですよ」
守「照れるから、そうハッキリ褒めてくれるな」
私「褒めてないです」
眉を潜めつつ一応、建物を記憶する
これ…実際どうなんだ?また会った時に聞いてみようかな
しかし、冷静に考えてみれば、かなりの異常行動ではある
だって、教えてもいないのに住んでる場所を言い当てるんだよ…?
普通に怖いだろ。
…これ、通報されちゃわない?
11:37
小樽駅前バスターミナル
「天狗山行」のバスの出発場所は「おたる水族館行」のすぐ隣だった
最前席に座ると、時間通りに発車する
市内を山の方へ進んでいく「小樽公園」を左手に坂道を上る
そういえば明日朝に行く予定の「朝日湯」もこの路線の経路上のはず
車窓を見るも既に湯処は後方に過ぎ去っていた
2度ほど曲がったが、ほぼ直進の上り坂
バスでも20分ほど ずっと上りなのは
目的地が「山」なので自然なことだ
むしろ、昨晩この道を選んでいたとしたら…うーん、ゾッとする
ロープウェイ
11:59
山頂まではロープウェイを使う
山麓駅の最寄りバス停へ降り立つ
目の前の山の斜面には木々が生えていない草原が広がる
夏草の緑は頂上へ向けて その範囲は広大だ
その傾斜や起伏を眺めるに ここがスキー場なのは容易に想像できた
冬にはまた別の景色なのだろう
バス停から道を挟んだ坂の上には、スキー貸出受付の大きなロッジ
そして奥のほうには、ロープウェイ山麓駅の建物がある
ロッジのほうは閉まっていて しんとしている
チケットを求めに まずはロープウェイ乗り場の受付へ
そういえば…と財布を確認してみる
「1日バス乗車券」の特典のおかげで 少しだけお得に購入できた
次の便を待つ間 山麓駅内の展示物 山で撮られた写真や資料などを見る
移動する高低差は271m 移動距離は735m フムフム…
私にとってロープウェイは意外と身近である
暮らしている街にも「御在所ロープウェイ」というのがある
印象的なのは白鉄塔
ロープウェイの鉄塔として高さは日本一
建設当時は世界一だったらしい
気になる人は是非とも来訪いただけると嬉しい
御在所ロープウェイHP 白鉄塔のページ↓
https://www.gozaisho.co.jp/highlight/white-iron-tower/
「御在所岳」は家からもよく見え 紅葉が綺麗な観光スポットでもある
小樽もあと2か月もすれば、紅葉が綺麗に色づくだろうか
かみさんは高いところが とても苦手である
私は高いところは好きでも嫌いでもない
平気なだけで、行くのに特には問題ないが…
問題なのは、さっきから挙動のおかしな この人である
写真の他にも いくつか展示物がある
ロープウェイのケーブルが短く裁断されアクリルのケースに並ぶ
そのケースに体をめり込ませて 口を大きく開けている この人
見ないふりをしつつ小声で聞いてみる
私「(一応聞きますが、なにしてるんです?)」
守「これ、このケーブル、口に入らないかなって」
私「(やめてください 子どもが見てますよ)」
ケースを不思議そうに幼い兄弟が見ている。2人の目に
このおかしなお姉さんが映っていないことを祈っていると
2人の後ろからお母さんが近づいてきて、明るく声をかける
「太いねぇ!すごいねぇ!」
私「(ッッ太いって)」
守「///うるさいなぁ!」
笑いを圧し殺して腹が痛くなる
すぐに次の便が到着する
12:12
ロープウェイのぼり
家族連れと共に乗り込んで頂上へ向かう
子どもたちは頂上方面に陣取る 進む側が気になるようだ
おかげで展望の良い海側がゆっくり見られる
守「見て見て!こうすると機関車トーマス!あはははは!」
誰がとは言わないが、進む側の車両の真ん中から 顔を出して爆笑している
高いところのいつものテンションなので放っておこう 楽しそうで何より
海側の視界が拓け始め 小樽の市街地が広く見え始める
賑やかな空中散歩は5分間 意外と長く感じられた
天狗山より
12:17
山頂駅に降り立つ
半屋外の乗降口には涼しい風が吹いている
下界よりも数℃は低い気温のようだ
駅に併設された建物には、お土産屋やカフェがある
北面、海側はガラス張りで見晴らしがいい
守護霊さんが、天井から逆さまになりながら声をかけてくる
守「おい!屋上からも展望できるぞ!外のほうがいいぞ!お祭りだ!」
私「いろいろゆっくり見たいんですけど…それにお祭りは夜ですよ」
展示物やお土産も見ずに外へ出ることにする 風が軽い
出入り口の正面には、でっかい願掛け天狗の顔がある
その裏手には森が広がっていて 日の光に爽やかに枝葉がそよいでいる
この山には天狗伝承があるようだ 「天狗山」とも名前ついている
守「おや、願掛けはせんのか?」
私「願いは叶ってますからねぇ」
森の中にフェンスがある 「リス公園」らしい
野生のリスが来るのだろうけれど フェンスの中にリスは見えない
リスの代わりに何組かの家族が
森の緑を手にとって何やら、はしゃいでいる
守「フフフ…かわいらしい。展示物かな?」
私「失礼なこと言わないで」
小道の先に幟が見え、その先に鳥居と祠がある お参りしていこう
小樽天狗山神社 & 天狗山赤沼龍神
鳥居に「昭和五十七年9月建立」と文字がある
おや、私と同い年で 1ヶ月ほど先輩ですか
賽銭箱が大きくて新しい
昨今は賽銭泥棒が多いからか造りがゴツイ
社の周りには、お祭りだからか紅白の旗が囲われている
天狗の伝承はさまざま ここでも祀られる由来は諸説あるらしい
神話に描かれる猿田彦の様相は天狗の原形のようでもあるが 別物らしい
民衆伝承とは混ざり合い 人づてで変質していく
答えが人の数だけ様々あるのも 面白いものだ
礼をして 社に手を合わせる
私「実際どうなんです?天狗っているんですか?」
守「おるよ。サンタクロースもおるからの」
回答が雑だ そして質問してから「しまった」と思った
少なくとも 今ここで投げる質問でないのは明白 だが時すでに遅し
「失礼なこと言わないで」と自分にブーメランが返ってくる 無礼千万だな
守「信じる人が救われるのなら、問題なかろうて
…それで、御主は何故に手を合わせたんじゃ?」
私「これはもう身に染みてしまったもので…先人への感謝でしょうか」
守「主に信仰がないのは知っておるがの
それよりも…あちらさんへは、きちんと挨拶せねばならん」
隣の鳥居の先には こちらよりもうひとつ小さな祠が祀られている
ここは…?
祠の台座には「天狗山赤沼龍神」と刻まれている
守護霊さんが一歩早く祠の前に立ち 手を合わせて礼をする
守「昨日は遠くで雨を止めおいてくれたの
感謝感謝じゃて。ありがとない」
龍神は水や雨を司ると言われている
昨晩の展望台からは遠雷も見えた、雨も近そうではあった
まさか、知らないうち恩恵に与かっていたとは
守「たまたまじゃろうけど」
私「たまたまかい!」
どこまでが冗談なのか分からない
けれども ここまで来れたのも何かの縁
素直に手を合わせる 感謝感謝じゃて
TENGUUテラスと屋上から それぞれの展望
祈りをささげた後 海の見える方へ向かう
今夜、この山頂駅周辺はお祭りだと聞いている
少しずつ出店の準備が始まっているようだ
出店と言っても 昔ながらの的屋のようなものは見当たらない
若者ウケしそうな小綺麗なテントが2、3並んでいるだけだ
まだ夜まで時間もあるし 各出店者たちは車で山頂まで来て
夕方からでも準備を始めるのだろう
(シュウィィィー!)
頭上から音がする
見やれば張られたワイヤーにつり下がった子どもが
ターザンの如く滑り出している ジップラインだ
カフェの入っている山頂駅の上にスタート地点がある
何人かがハーネスを付けて 次の順番を待っている
夏休みだな みんな子どもたちだ
視線を落とし 急勾配になる崖の際
ビュースポット兼フォトスポットがある
きれいなウッドデッキに またきれいな椅子が並んでいる
屋内か屋外かとか ガラスの有り無しだとか
ちょっとだけ見る角度が違うだけでも
変化は確実にあって 見えるもの見えなくなるものがある
次は屋上でも眺めてみよう
階段を上ると 屋根部分は展望スペースになっている
備え付けの望遠鏡もある 遮るものは何もないが
やはり一段高いからか より爽快な眺めだ
有料の望遠鏡を使わなくてもよいくらいには
視力は良いので、お得な身体で良かったと思う
つらつらと 辿った場所にフォーカスして倍率を上げて見てみる
ここまでで行ってみた、主な場所はこんな感じ
比較的平らに見えるんだけれども 実際は違うんだよなぁ
「旭展望台」は言わずもがな 「水天宮」だって小高い丘だし
「小樽公園」あたりの起伏もヤバかった
移動手段が歩きだけだったとしたら 到底実現しない行動範囲だな
改めてバスと言う公共交通機関の偉大さを思う
(と言っても「パノラマ展望台」以外は徒歩移動していると気づいていない)
このあとも しっかり使うのだが 落とし穴もある
だいたい穴が空いてたら 落ちますよね
人間だもの
守「それで、小形氏の家は見つけられたんかの」
私「前に言ってた場所は…あぁ、あそこですねぇ」
守「おーい!ヤッホー!(遠くの建物へ手を振る)」
私「いま小形さん、札幌ですよ」
まず聞こえないだろうし
その前に近くであっても
あなたは見えませんからね
下山2
12:43
大きくのびをした後に 展望台から階下へ
お土産スペースをざっくり見るも やはりまだ
これからの移動の荷物にしたくないと 二の足を踏む
ロープウェイを待つことにして 搭乗エリアへ
くだりの便は さほど待たずに来る
くだりは 1人で搭乗
静かなものだった
山麓駅を出てバス停へ行くも
バスが来るまでは、あと7~8分くらい
ロッジに自販機があったので、引き返す
喉の渇きに…と買ってみた。意外と甘すぎない炭酸が美味しい
バスを待つ間「次はどうしようかな」などと考え始める
無計画ではあるが、行きたい場所がないわけではないから
「目標を定めて行くだけ」ではある
出来るだけ遠くから攻めよう 午前中もそうだったし
となると次は銭湯かな
まずは小樽駅まで戻る必要があるだろうか
今回はここまで
いらっしゃいまし
お付き合いいただきありがとうございます
10月に入って雨降ってやっと涼しくなってきました
いつまで夏なのかと辟易していても
夕方が早く終わったり夜がすぐに始まるのを感じると
キンモクセイの開花もまもなくだろうなと思ったりしています
さて、今回は天狗山メインでした
次回は街の中を徘徊したり銭湯に行く予定です
じゃあ また