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小樽百鬼夜想曲 陸

第6章 観光 ~ひとなみ編~

2024年8月23日~25日
人生初、北海道•小樽へ
音楽と魂の旅路の記録である



日銀通りから

13:19
バスは市街地へ入っていく アナウンスが流れる
「…小樽駅方面はこちらで降りるのが近くて便利です」
どうやらバスは港湾方面をぐるりと回ってから駅へ向かうようで
商店街のアーケードを歩いて横切った方が、駅までは早いらしい

マップを見ると行きたい店の名前も近くにある
「産業会館前」で下車する

海の方面へ歩みを進める 沿道には観光客が多い 

この先には「日本銀行旧小樽支店金融資料館」がある
大通りの名前は「日銀通り」という

写真を撮っていると右手奥に
見覚えあるアーケードが…


おや?あれは「サンモール」ではないか
ということは 朝いた場所へ戻ってきたんだな

土地勘がないので「振り出しに戻された」という感じより
「知らずにワープしたら元の場所だった」みたいな感じ
結果は同じですが…悪い気はしないです

何と言ったらいいんでしょうかね
「無理やり戻されちゃった」のか
「自分で進んでやってきたか」の違いって
立ってる位置は同じでも、心象的には割と大きく違う話
断然後者の感覚に身をゆだねるのは至極自然なことで
なぜなら、前向きに進んでる感じするし その方が気楽だから


行きたい店の名前は「プリン専門店 アンデリス」
これも、金谷好益さんからの情報である(超感謝)


「サンモール」出口交差点を左へ曲がり少し行く
右手にど派手な、ピンクの外観の不動産屋さん
その1角に小さな小さな店舗がある
狭い店舗に、品の良さそうな、おばさまとおじさまの店員さんが見える

「アンデリス 小樽稲穂店」
どうやらここは出張販売所とのこと

情報を元に「プリン大福」なるものを1個お願いする 

おばさまがお会計を担当、おじさまも隣で手際よく商品を包む

旅の後で分かったことで 全く気が付かなかったのだが
本店はなんと あの「神仏湯温泉」の隣にあったらしい

お礼を言って店を出る

小さい白い紙袋を片手に
さて、どこで食べようかと「日銀通り」まで戻る
海方面へ行ってみる 道は緩い下り坂

フランス語で「一番」"un"と「美味しい」の"délice"
あわせて「アンデリス "Un délice"」良い名前

通りを進むと廃線跡が史跡として綺麗に残っている
小樽は運河が有名だが、陸運の要所としても発展した

近代日本の経済は、海運・陸運・金融が発展の礎であった
人が語らずとも、その名残りから感じ取ることができる
風景が守られ愛される理由はそんな所にもあるのかもしれない

廃線跡は街の緑地干渉帯になる
美しい道を人々が歩いてゆく

未来に希望を抱くからこそ
史跡や遺構を大切に維持管理し守る人々がいる
前にも書いたが それは素晴らしいことだと思う

やはり小樽はいい街だ 歴史を大切にする意思や心意気に好感を抱く

小樽は金融街だったこともあり
日銀の旧小樽支店の他
第一銀行、三菱銀行、北海道柘植銀行など
旧来の銀行建屋群が残っている
そのどれもが立派な建造物ばかりだ

リサーチ不足で今回の旅では立ち寄れなかったが
「小樽芸術村」として5つもの建物が美術館などとして活用されている
旧柘植銀行小樽支店もその中のひとつで
現在は、似鳥美術館として運用されている
なんでも、ステンドグラスが素晴らしいとか
再訪の際は美術館巡りをしてみるのも楽しいだろう

小樽芸術村のHPhttps://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/about/  


大通りに行きつく手前、素敵な細道の入口がある
入ってみれば 狭い路地 提灯と飲食店があるだけだが
一気に異世界感が湧いてくるのが不思議だ 

木造の電柱が時を越えさせる
見覚えのある建物
同じ場所へ立てる感慨

短い路地を抜けて大通りを渡ると
交差点から目を引く「小樽出抜小路」であった
ここしばらく前からPC のバックスクリーンにしていた場所だ


ネットにあった画像だけど、バックスクリーンにしていた風景
雪のある夜はこんな感じなのかぁ…綺麗


ごはんどき

さて、昼食はどうしたものか
いまだに手には白い紙袋がある
先にデザートを買ったのは無計画の極みといえよう 
地図を見れば、近くに回転ずしの「味楽」がある
これも金谷さん情報である。とりあえず向かってみよう

大通りは日を遮るものがないため 道を渡り倉庫群の影を進んでいく
それでも交差点へ行けば そこは大通り 夏の日差しがきつい

「プリン大福」を自分の影にしつつ 回転ずし店の暖簾をくぐる


予約はしていない …果たして



店員「1時間以上予約待ちで…そうなると一旦オーダーストップですね」 


まぁ そうですよね


考えても見れば 人で溢れる要素がありすぎる
「観光地」「お昼時」「いい天気」「土曜日」「夏休み」…
予約待ちが1時間以上になることは容易に想像できる

後続の家族一団も、店の入口でバツの悪そうな顔をしている
店員さんとのやり取りを見て 食事処を変更するようだ 私も店を出る

あわよくば 空調のきいた店内で こっそりと
「プリン大福」を食べようなどと画策していた煩悩だが
「それ、絶対ダメだからね?」と、脳内健康管理官に注意されている

 さて、日差しを避けて少し日陰を歩こう
「味楽」から山寄りに路地を入ると
水天宮のある丘に沿って、土産物屋の並ぶ通りがある
立ち飲み屋やイカ焼きなど どれも美味しそうである

しかし、あけ広げてスイーツを食べられそうにない

何故ならその通りも観光客であふれているから 

お土産物を見るふりをして落ち着いて食べられる場所を探してみる
このままでは冷たいのが醍醐味のスイーツが常温になってしまう

しかし、やはり何処かの店舗の中で「商品」を広げて食うのは御法度
「そこの店の商品を食えよ」というのは 至極まっとうな理屈なわけで
「持ち込みはダメだ」というバイアスからは逃れられない

守「プリン四面楚歌」
監「そんな言葉はない」

路地には人がたくさんいる

和傘の通りがあって、すごく綺麗
電球も見えるから 夜はまた違った色合いになるだろうな

そんなこんなしているうちに「日銀通り」までまた戻ってしまう

どうしたものか


路線図

13:45
旧日銀の建物に程近い「本局前」のバス停にて 便を待つ
これ以上スイーツを夏の空気に触れさせてはならない

食べるためにゆきついた答えは
「移動中のバスの車内で食べる」であった

もう安心できるのはクーラーのきいたバスの中ぐらいしか思いつかない

バスの車内が混雑していたら到底無理だが
満員電車並みに混雑した状況には ここまで遭遇していない
バスは空いてる たぶん きっと おそらく…

あと5分ほどでバスは来る

ただ、次なる目的地の銭湯
「奥沢中央湯温泉」の最寄りまで、直通では行けない
これは「天狗山」から下山するバスを待つ間に判明した
だから「小樽駅」まで戻る必要もなくなり、先ほど途中下車した訳である

ルート選定は早急に行った たぶん大丈夫なはず

市内を走る路線は「中央バス」という会社の運航しているそれである
当然、発着場所の起点は「小樽駅」に限定されているわけではない

札幌方面に2駅進むと「小樽築港駅」があり、そちらからも発着便がある
当然「小樽駅」側からの路線と被ることはない

ざっくり地図上で、どういうことかというと

こういうこと
北西側は「小樽駅」から、南東側が「小樽築港駅」からの路線

「南小樽駅」より南東部ではバスの路線が違う
銭湯「中央湯」のある奥沢方面は「小樽築港駅」側からの路線である

一先ず「南小樽駅」を目指してみる
「小樽築港駅」からの路線上最寄り停留所まで行けば、乗り継げるはず
ただ、スムーズにいくかは未知数である


まぁ、ここまで路線図の話を長々としてきたが
後々 思い込みと早とちりで だいぶ間違っていると判明する


さて、懸念すべきことは他にもあって
スマホのバッテリーが尽きそうである 既に25%を切っている
バッテリー代わりのライトはないし モバイルバッテリー残量も少ない

どこかで充電しなければならない…

いつだって綱渡りみたいな感じがしている
ドキドキする

守「楽しいねぇ」
監「ハラハラする状況好きなのなんとかなりませんか」
守「生きてる感じするねぇ」
監「ややこしいこと言わないでください」

13:53
バスが来る


あまいもの


乗り込む乗客は少ない
乗っていた乗客も少ない
これ幸いと運転席側に落ち着く

ガサゴソと紙袋をまさぐる

拳大の求肥 やらかい

白い紙袋の中からやっと解放された、個別包装のそれを取り出す
包みを解くと 現れるのは少しだけ黄色がかった求肥
包装紙ごしに「まだスイーツですよ」と、ちゃんと ひんやりしている


いただきます


前かがみに口に入れる 意外と大きい
鼻の頭に大福の白い粉が付いて すこしむせる


運動会の競争でこんなのあったなぁ…
けどいまは 誰とも競争しない だから ゆっくり食べようね

求肥はフワッフワに柔らかく
中のプリンはとろけるような食感
甘さが上品だ とても美味しい
ちょっとだけ常温になっていても
まったく気にならない

求肥を伸ばしながら
こぼれないよう
丁寧に食べる

あぁ…
おいしいものって
なんですぐになくなるんだろう
そりゃあ、食べたらなくなりますけどね

求肥は思いの外しっかりとしていて
胃袋に優しく収まってくれた


バスは小樽公園を左手に天狗山方面、続いて左折、さらに左折と…
市内を時計逆回りするように「南小樽駅」へ向け進行していく


14:18
「南小樽駅前」で下車して駅から向かうは南東方面 坂を下る

南小樽駅前交差点から北東側の海を臨む

坂を下りきった十字路の左に「信香町」というバス停がある

時刻表を見る「奥沢」方面への出発時刻は14:31とある
時計を見るとあと5分 一息つこう
郵便局前にバス停はあり ベンチもあったので休憩

と思ったけど もう一度時刻表を見に戻る

あれ…?「小樽駅」って書いてある

守「気が付いたかね…」

おっ なんか始まったな

守「小樽までのバスはあったようだね」
監「名前が出てるってことは往復便があるんですね」
守「勘違いをした原因はなんだと思うかね?」
監「ネットで時刻表を調べてはいたけど…分かりにくくて」
守「他に気付いたことは?」
監「ターミナルに奥沢行の発着場がなかったから。てっきり」
守「祝津から戻った時、バスはどこに停車したか覚えているかね?」
監「ターミナルまで行かないで、アーケード前で降りましたね。…あっ!」
守「小樽駅からの発着便がないと判断したのは尚早でしたねぇ」
監「ひょっとして発着場って、他にも?」
守「終点があるなら、出発起点も大通り沿いにあるのは自然な話」
監「なるほど!」
守「それにネットの情報で答えのあるページへ行き着けなければ
  その情報が“ない”と考えるのは賢明とはいえませんよ」
監「それもそうですね!」
守「キミは、まだまだ甘いですねぇ」
監「それもそうですね!」
守「褒めて」
監「ヨッ!名探偵!」
守「フフン!」


もういいかな バス来た



奥沢温泉中央湯

14:40
「信香町」からバスで10分も走らず 道も1度も曲がらず直進して到着
目的地の「保育園前」で下車すると 「おぉ 近けぇ」と、思わず声がでる

歩かず目の前 この光景である

今まで様々な銭湯に行ったけれど 交通機関下車では最も近いと思う
なんだか今までの右往左往を帳消しにしてもらったようで 嬉しくなる

ありがたく入湯しよう

入口をくぐると背の高い番台に年配のお姉さんが座る 天井が高い
脱衣所は玄関からの壁もなくシームレス 開放的 別府のジモ泉みたいだ
古さがにじむ木造のロッカーだが、造りはしっかりしている

足元はイグサの敷物で、広がる薫りは夏らしい爽やかさ
空気も心地ひんやりしていて 気持ち良い

脱衣場と浴室の間仕切り 頭上のガラスには 鶴と松が描かれている
いや、北海道だからタンチョウか 2羽仲良さそう?
随分前に描かれたものだろう 綺麗に残されていて とても味わい深い

壁にかかった木製プレートに「天然温泉」と刻まれている
こちらも古めかしくて 実にいい風合いをしている


浴室には先客が3人ほど 地元の方だろう
左右の壁沿いにはカランがありシンプルな内装
天井の明り取りからの午後の光が柔らかい

中央に特徴的な形の浴槽がある
胴の丸い部分と奥と手前に四角い浴槽がつながっている
つながった部分の間にはステンレスの手すりがあり
底の深さが違うようだ 中央がちょっと深いのかな
見るほどに 浴槽は提灯のような形をしている

カランのお湯は とっても熱くて 天然温泉の醍醐味がある
ただ体に当てるには熱すぎるので 水で薄めつつ 泡を流す

湯船に浸かる 泉質とまで呼べるかは分からないけれど
湯は透明で肌に浸透していく感じ しっとりする

全身の体の細胞がほぐれていくようだ

銭湯の心地よさは場所ごとに特徴がある
肝心なのは 感受する感覚を丁寧に汲み取ること
何を見て 何を感じているか その時 何を考えているか

銭湯を守ってきた歴史に思いを馳せてもいいし
訪れる時間や その日の天気を逡巡してもいい
お湯の心地よさに身をゆだねるのもいい
施設の設備の特徴に感心したり
来訪できたこと自体に喜びを感じるだけでもいい

肝心なのは気持ちの居場所なのだろう それさえ心に留めれば
他はどうでもよいとも感じてしまえる
なにせ裸なのだから 手放しでいられる
心地よさは 何にもかえられない
赦される感覚 銭湯はそんな場所だ

電光看板の趣とか
のれんの柔らかさとか
人に愛され 永く湯守されていってほしい



充填

15:15
身も心もホカホカ 早めに銭湯を上がる
湯は気持ちいいが長湯はしない 湯温が高ければ湯当たりしてしまう

それに、もう1つ銭湯へ行く予定なのだ
夜のライブの時間もある 
道を渡って反対車線にあるバス停へ 次の便を確認する

あと30分ほど間がある

スマホのバッテリーは あと残り15%くらいになっている
そして目の前にはローソン 補充だ補充

奥沢の通りはだいぶ先の方まで平坦
銭湯の斜め向かいにあったコンビニ
すごく助かる生命線

スマホの充電と自分の腹ごなしをしよう
幸いイートインにコンセントが見える ありがたく使わせてもらおう

店員さんに一声かけてから 充電器を取り出す
USBポートもある どれだけ充電できるかわからないが
ひとまず できることはする

思えば昼食を食べそびれている自身の体も空腹である
ここはしっかりと食べたい

昼を回っていたからか 豚丼が安くなっていた
店舗で作ったものらしく、あたためてもらうと
これがまた絶品だった やるなぁローソン

スマホを休ませていたため
豚丼の写真を取り忘れる

しっかり空腹は しかと満たされた


15:49
「小樽駅」行のバスが来る
スマホの充電は半分に届いていないが 全然ないよりはマシかな

今度のバスでは、終点「小樽駅」まで戻る 

自分で運転したり 延々と歩いたりしないの 本当に楽

ありがとう 1日乗車券
おかげで今のところ 最良の旅です




さて、お土産どうしよう…





今回はここまで

いらっしゃいませ
ご覧いただきありがとうございます

10月の2週目の今週、平日の5日間は
映画『冗談じゃないよ』を劇場で観覧しました

こんなに継続して同タイトルを継続して劇場で観るのは、初体験でした

当たり前ですが、同じ日は1日もなくて
嬉しいことに毎回発見がありました。いい経験ができてラッキーです

職場から劇場のシネマスコーレまで3キロくらい
地下鉄でも間に合うけれど なかなかの人ごみなのが嫌で 
サブスクの移動手段に手を出してみました
最近、街でよく見かけるようになった 電動キックボード
これがなかなかに快適 自転車もある
基本、体を動かさないキックボードは
汗もかかないので 移動先でも快適を維持できるので
これからも仕事のあとにライブ行く時とかで
使おうかなと思います
頼りすぎたら 体力減衰するので 適時利用で

「自分の機嫌を自分でとる」気楽な生き方だけれども
簡単かといわれれば まあまあ せわしなかったりもしていて

心は、なくさないほどに ほどほどに
日々を大切にしようかなと思っています


さて、次回は
お土産を買いに走りまわって
夜のライブにいく予定です

じゃ また



旅の着地点

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