その一言が…
夜中に突然支援先から長文のメールやLINEが来ることがごくたまにですが、あります。
経営のことで至急相談に乗ってほしいと言う内容で、例えば「現在の事業は手を広げすぎた感がある。このままでは…なので、このあたりで事業を一旦集約し…社員にも何人か辞めてもらう」というようにわりと切迫感のある内容が多いです。
僕は本業があるのですが、こういうときは、基本当日にお会いするようにしています。それで実際にお会いしたら、とにかく先方が納得して頂くまでひたすら話を聞き続け、意見を求められれば答えますが、聞かれない限り基本は黙っています。
というのも「相談」と言いながら、こういうとき大抵社長の頭の中で方針は決まっていて、最後に誰かに背中を押してもらいたいことがほとんどだったので。
もちろん、違法性等の最低限のリスクだけは伝えるようにしており、この例であれば、社員の解雇は簡単にはできないこと、退職勧奨も一定程度のバッファが必要で、出来れば退職金の支払いをセットとした方が良い等。
中小企業診断士登録のための実務補習の際に当時の指導員の方から、中小企業診断士の支援のスタンスとして「常に社長は正しい」と言うことを言われたことがあります。「どんなに優れた経営理論も緻密な経済性工学も、社長の想いに勝るものはない、我々のやるべきことは、社長は常に正しいという立場で、その実現を支援すること」
そのときは、まあそういうものか程度にしか思いませんでしたが、実際にこのような機会に巡り会うと、自分の支援先に対する想いとしてそれを確かにリアルに感じます。
「何とか力になりたい」
多分自分もそうなのですが、中小企業診断士として企業を支援される方はおせっかいな人柄の方が多いんじゃないかなって思っています。
このときも事業縮小は決定しましたが、辞めて頂くのは社員でなく、委託契約をいくつか終了し、内製化することになりました。
最後に「今回はいつになく急でしたね。それも夜中の連絡で。何がきっかけだったんですか」とお聞きしたら「あなたの一言だよ」と言われました。なんのことかと思ったら、少し前に訪問した際に、僕が会社の人件費について質問し、その額について「(この規模の企業としては)ちょっと高過ぎますね」と言ったのが、ずっと引っ掛かっていて、翌日に行った家族旅行中もずっと気になっていて家族サービスもここにあらずだったとのことでした。
そうだったんですね…そんなつもりではなく…でも、結果的に家族サービスのお邪魔をしてしまい大変失礼しました、、
何気ない(と本人が思っている)一言が、実は相手に思わぬ影響を及ぼすことがあるので、気を付けましょう、と改めて思っています。