「働き方改革関連法案」の成立(18.08.28掲載記事)
「働き方改革法案」は、2018年6月20日の参議院本会議で可決、成立し、7月6日に交付された。骨子は次のようである。
1.時間外労働(残業時間)の法律による上限時間の規制。
①原則:月45時間迄かつ年360時間迄。(休日労働を含まない) ただし単月100時間未満迄(休日労働含む)かつ複数月(2~6ヶ月)平均80時間以下迄(休日労働含む)。
時間外労働労使協定書(36協定書)で上限時間内で時間外労働を定める。
②臨時的特別の事情のある場合:年720時間かつ年6ヶ月迄。
ただし単月100時間未満迄(休日労働含む)かつ複数月(2~6ヶ月)平均80時間以下迄(休日労働含む)。
時間外労働協定書の時別条項で臨時的特別の事情による上限時間内で時間外労働を定める。
④罰則:使用者(事業主)に対して6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。
⑤猶予措置:建設業・自動車運送業・医師は5年間適用猶予。
ただし研究開発職は規制対象外。
⑥施行日:
大企業は2019年4月
中小企業は2020年4月
2.割増率の猶予措置廃止
①原則:法定労働時間は1日8時間かつ週40時間
②法定労働時間を超えた場合(時間外労働時間):1時間に付、2割5分増以上(125%以上)の割増賃金。
③時間外労働時間が月60時間を超えた場合:
現行大企業は5割増以上(150%以上)の割増賃金。
中小企業は猶予措置中ただし2023年4月より5割増以上(150%以上)の割増賃金。
3.有給休暇の消化義務
年次有給休暇の付与日数が10日以上ある場合には、企業は本人の希望を踏まえて時季を指定して1年間に5日取得させる義務を負う。
本人の意思で自主的に年次有給休暇日数を取っている場合で、5日未満である時は、企業は5日に未達日数分を強制的に取得させる義務を負う。
就業規則等で既に年次有給休暇の計画的付与がある場合で、その日数が5日未満である時は、企業は5日に未達日数分を強制的に取得させる義務を負う。
年次有給休暇の取得義務の施行日は、2019年4月1日である。
4.高度プロフェッショナル度制
1.高度プロフェッショナル制度は次のように新設された。
①年収1075万円以上であること。
②本人が同意していること
③企業の労使委員会の決議があること(委員の5分の4以上の同意)
④年104日以上かつ4週で4日以上の休日の確保義務。
⑤想定される職種は研究開発、金融ディーラー、ファンドマネージャー等である。
⑥厳重な健康確保措置が講じられていること。
次の内、1つを企業に義務付ける
⑴勤務間インターバル制度
⑵働く時間の上限設定
⑶連続2週間の休日確保
⑷臨時の健康診断
⑦高度プロフェッショナル度制度の適用労働者は、時間外労働、深夜労働、休日労働が適用除外となる。
⑧高度プロフェッショナル度制度の施行日は、2019年4月1日。
5.勤務間インターバル制度(努力義務)
勤務間インターバル制度とは、労働者の過重労働の健康被害を予防するため、前日の就業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息時間を強制的に設けるものである。
勤務間インターバル制度の施行日は、2019年4月1日である。
6.同一労働同一賃金の推進
非正規労働者が正社員と仕事内容(及び配置転換制度)が同じである場合には、賃金、休暇、福利厚生等の待遇を均等均衡にすることを企業に義務付ける。
施行日:
①大企業と派遣会社:2020年4月
②派遣会社を除く中小企業:2021年4月1日である。
7.産業医の機能の強化
①企業は産業医に労働者の労働時間等の情報を提供しなければならない。
② 産業医から労働者の健康管理について勧告を受けた場合、企業は労使で構成する衛生委員会で、検討しなければならない。
産業医の機能の強化の施行日は、2019年4月1日である。
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