3月自選短歌 12首 『大江戸線よりも深い傷なんて』
こんにちは。萩原アオイです。
3月は短歌を詠むことが増えたことと、センシティブな内容のものは苦手な方がいらっしゃるかもと思い分けることにしました。
毎日が過ぎゆくのが早く、少し置いてきぼりな気持ち、です。
マイナンバーカードに恋の遍歴の 紐付けがなくてホントに良かった
マイナポイント10万円分って言われても紐付けしない。
「かわいいね」 言われても まあ35 市場価値ってことばが嫌い
でも人妻、って言葉がセットだと途端にモテ始める35
赤信号みんなで渡ったつもりでも 轢かれる時はひとりだったり
だってみんな悪いことしてるじゃない。なんで私だけ。なんで私だけ。
日常と言ふのは乾いた焼きそばが テヱブルの下に落ちてることだ
そしてごきぶりをころした時に感情が動くのに安心することだ。
ボールギャグ嚙まされている大衆は 声をあげても発言できない
そして聞き入れられない。
大江戸線よりも深い傷なんて ないと思っていた若いころ
迷子になる程深いんだもの。あれがこの世でいちばん深いところと思っていた。
曖昧さだけでできてる関係で息ができない 私乙女座
白黒つけたい人間にとってこの世界の曖昧さは我慢がなりません。
分割で払えませんかこの罪を 利息高くて終わりませんか
死ぬまで背負う。
エニグマのように解読できたらな 君の横顔ヴォイニッチ手稿
わかりそうでわからない。もう少しな気がするのに。
すきということを確信したよるに きみのまえからいなくなりたい
私なんかといたら、だめだから。
「なぜ夜は暗いのママ」と訊く坊や 「おひさまも家に帰りたいのよ」
その代わりおひさまより優しい光で見守られるの。
散るときがいちばんきれいと思うからわたしも春に身投げをしたい