3月自選性愛短歌10首 『ミトコンドリアがきみをほしがる』
性愛短歌の3月自選です。
私ね、すけべな短歌が詠みたい訳じゃないの。だってセックスって、ひととひとができる最も深い交渉じゃありませんか。
もっとして いった数だけ痕付けて あなたとじゃなきゃこんなに濡れない
私の太ももに吸い付いたあなたを忘れないわ。
「顔見せて」電気消さずにそう言って。 とてもいじめて、少し愛して?
少しでいいの。少しの確かな愛が欲しい。
セックスがしたいのでなくわたくしの ミトコンドリアがきみをほしがる
快楽が欲しいのでない。私は君の遺伝子が欲しい。本能的に君の種が欲しい。
君といる 濃すぎる酸素のようになる 爆ぜる私は水になってく
混ざって混ざって水素爆発
「おひとり」で するかおかずをもう一品 作っておくか16時半
主婦の自由時間は短い。残り30分をどう使うのか。
うつぶせで お尻を高く上げて鳴く なあに近所の猫のお話
初句「うつぶせで」 即詠縛り。
燃え尽きる星のようだと自分でも思うわあなたに抱かれてるとき
熱くて激しくてこのまま燃えかすになっても後悔はない。
傷を舐め合ってたような2時間に 君の唾液は少し沁みたわ
ベッドではいつも負けてるふりをする 組み敷かれたまま溶けていきたい
君と食む 円錐型の先端部 ことのあとでは甘さが過ぎる
充実感と体の疲れ。少し酸っぱいものが欲しいのに、あの苺は甘すぎたね。