カルビーの単身赴任やめについて

カルビー単身赴任やめ家族と同居可能に

原則、在宅勤務という企業も多かった2020年度のスタート。「家じゃ仕事がはかどらない」という方も、「在宅の方が成果が出せるんじゃない?」と思った方もいらっしゃったことでしょう。

後者かつ単身赴任の方々は「どうして単身赴任しているんだろう?」と改めて疑問を持つことになったのではないでしょうか。
会議も、商談も、面接もオンラインでできる、仕事の成果もちゃんと出る。業務で赴任先にいる理由が消滅したからです。

在宅中は、雑談も減りがち。通勤消滅で時間はできたものの、人と会うのは憚られる。結果、孤独を感じる時間は長くなりがちです。在宅では二重に掛かる光熱費や通信費も嵩みます。となると、単身赴任をやめて家族と同居を考えるのは自然なことで、この願望を実現するカルビーの制度変更は価値あるものです。

結構強い会社の転勤命令権

転勤命令は、不当な動機・目的に基づくものは無効ですが、それ以外は会社側の権利として広範に認められてきました。当然、転勤の必要性がなければ無効とされますが、「必要性」にたいした理由は必要ありません。労働力の適正配置だとか、労働者の能力開発とか、なんなら、うちの会社はずっとローテーションしてきてますから、とかそんなレベルで十分です。

労働者に不利益がある場合にも無効と判断されることがありますが、こちらは、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益があるときだけです。「夫婦共働きのため」とか「子の教育のため」などは、これまで多くの場合、著しく超える不利益には当たらないとされています。

消滅する必要性と拡張する不利益

これからの時代、これまで認められてきた転勤の必要性が、必要性とは認められなくなるのではないかと思います。だって「それ、家からもできますよ。」って言われちゃいます。自動化・IT化が進む中でも、どうしても現地でないとできない仕事は、現地採用が良いでしょう。下手に給与の高い人をコストをかけて転勤させるよりもよほどメリットがあるはずです。食品のような古い業界でもお客様とのオンライン会議が当たり前になったことで、転勤の必要性は風前の灯火です。

一方で、転勤による不利益は拡張しています。少子高齢化が加速し、核家族化が進む中で家族というコミュニティを崩すことは、社会的なリスクやコストの増大にもつながります。出生率を上げつつ、育児・介護と両立して仕事をしていく社会を目指すのであれば、単身赴任につながる転勤は、個人だけでなく社会にも負担を強いるものとなるでしょう(会社がそのコストを負担するわけではないところも問題です)。

次に転勤になった際には、「新しい部署への異動は分かりましたが、本当に転居まで必要ですか?」と確認してみてもいいかもしれません。


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