海外のアニメとゲーム、赴くままに。01
序文
2008年、Wakfu(Ankama Animation制作・キャラクターデザインXa氏)と言うフランスのアニメ作品が登場した。初めて視聴したとき、カートゥーンとも日本のアニメともつかない作風が、強く印象に残った。日本のサブカルチャーの影響を受けたであろう海外の作品に興味を持つに至った。
それぞれの国が持つ文化的風土とアニメスタイルとの、有機的なマーブル模様。そういったものを探求していく事に、深い意義を見出せるのではないかと思えた。
それから、10年以上が経過した現在。マンガ、アニメーション、ゲームは、世間からの関心が高まり、幅広い層から支持を得ている。多様な背景を持つ腕の良い若手クリエイターが成熟し、新たな表現を作り出している。サブカルチャーは新たな局面に突入したと言ってもいいだろう。
さて、前置きが長くなりましたが、個人的な嗜好に合った国外のアニメとゲームについて、素朴な所感を添えて紹介したいと思います(書き終えてから読み直したが、本当に大したことは書けなかった…おおむね、かわいいとかイイねとかばかりです)。
今回は文章量と外部リンクがマシマシになっているので、のんびりとどうぞ。順不同。
アニメーション
作品タイトル‐クリエイターです。
Bee and Puppycat-Natasha Allegri
ビーとパピーキャット公式(@beepuppycat_jp) • Instagram写真と動画
・キャラクターデザインのナターシャアレグリ氏は、メガヒット作であるAdventure Timeにも参加している。フィオナとケイクなどのデザイン周りなのかな?要検証。
・主人公のビーは年齢不詳、声は普通に成人女性なのに少女っぽい外見をしている。が、ちゃんと理由があります。珍妙な鳴き声のパピーキャットは犬の匂いがする…
・パイロット版がYoutubeで全編公開されてます。でもやっぱりNetflix版の方がカワイイな。本編見て気に入ったら、こちらも見てみるといい。
・高橋留美子からの影響を感じる。ビーはちょっとムチムチしててなんか妙にセクシー。ふわふわの髪がかわいさをブーストしてる。お仕事コスチュームが毎度変わるのもナイスだな。中にはあんまりかわいくないものもあるけど、それもまたかわいい。
・パピーキャットの過去回想シーンは影絵ライクで、ウテナっぽさ感じる。
・独特な間や、おかしなやり取りが各所に挿入されており、良い。1話の折り畳み傘を伸ばしたり縮めたりするシーンが好き、ふふってなる。
・ストーリーの回し方もオフビートで心地いい。でも、気を抜いて視聴しているとドキッとする展開も有ったりで、見ごたえあり。
・EDが毎回違うのがいい余韻を与えている。
・トーストちゃんとバイオレットちゃんかわいいな。
ENA-Joel G
・刺激を求めてYoutubeを徘徊中に見つけたアニメシリーズ。現在、3Dダンジョン風のアドベンチャーゲームが制作進行中なのだが、完成まではまだかかりそうである。作者はペルーのJoel Guerra氏。
・多様な文化が理想的に混ざり合った作風。主人公のENAちゃんがいろんなイベントに巻き込まれる。初めて見たのは断絶パーティーだったか。作品によっては吹き替えもあるが、字幕で見てもらいたい。海外作品で突然出会う日本語の面白みに困惑してほしい。
・Talking HeadsのOnce in a lifetimeのPVネタが有ったり、Temptation StairwayのEDがYMOのSimoonのカバーだったり、自分の好きなものが出てきて親近感がある。
・公式で販売されているドリームバーベキューのTシャツが欲しいが、手に入れる機会を逸した感じがある。
ケルト三部作-Cartoon Saloon
The Secret Of Kells
Song of the Sea
Wolfwalker
・Cartoon Saloonはアイルランドのアニメスタジオ。ポストジブリなどと評されることもあるが、それは、安心して子供に見せられる点についての言及なのではないかと思う。だが、実際はそれ以上だ。
・横向きの顔の、くちびるのツンとした描写がいじらしくてかわいい。
・人物のディフォルメは巧みに、背景はリッチという質実剛健スタイルである。目を皿のようにして見た。キャラクターの動作も魅力にあふれている。
・スタジオの所在地のキルケニーには一度足を運びたいものである。猫とビールの町!
TOUT EN HAUT DU MONDE/LONG WAY NORTH-Rémi Chayé
・レミシャイエ監督、フランスとデンマークの共同制作。前の項目で取り上げた、The Secret of Kellsで助監督兼ストーリーボードを担当した後に、本作監督を務めた、とパンフレットにあった。
・Twitter(現X)でトレイラーが流れてきて知った。
・主人公のサーシャがとにかくカワイイ。前髪が、風に遊ばれる様子が特に印象的だった。彼女の探求心の象徴なのだな。酒場でパタパタ働くシークエンス大好き。
・色使いとか陰影の表現が、もう完璧なんだから。
・歴史全般に疎いので、時代背景の知識があればもっと没入できたのかもと思った。
ゲーム
River city girls-Wayforward
・熱血硬派くにおくんのリブートorリメイク的作品。自分はオリジナルのくにおくんに触れた世代ではなかったので、本作のキャッチーでポップかつおたくなスタイルはすんなりと入り込めた。
・くにおくんが海外(主にアメリカ?)で愛されているとは、つゆとも知らずであった。
・サイコーにキュートなメインキャラのデザインと、マンガ演出を担当しているのは、DEVIL'S CANDYの作画担当のREM氏。
・Megan Mcduffee氏が手掛けたウタモノBGMが本当に良い!ゲーム内では、ステージの背景にあるラジカセから流れる演出で、芸が細かい。リンク貼っちゃおう。
・ドットキャラをぐりぐり動かすのは、懐かしさがあって良かった。
・キョーコちゃんがオラオララッシュを決めた時に発する、「ウーリウリウリウリウリャー!」って声が面白くてかわいいんだよなぁ。海外の声優さん、アニメやゲームの演技の習熟がかなり進んでいるようである。
Milk inside a bag of milk inside a bag of milk/Milk outside a bag of milk outside a bag of milk-Nikita Kryukov
Steam:Milk inside a bag of milk inside a bag of milk
・2024年現在、人気再燃気味であるserial experiments lainの延長上にあるような肌触り。作者のニキータクリュコフ氏は、現在日本で日本語を学びながら次回作を製作中のようである。本職は音楽制作だったらしい(インタビュー記事より)。
・シリーズ2作目のイントロアニメがとてもクール。初見時には繰り返し見たものだ。
・1作目と2作目では翻訳者が異なる。その関係か、話し方が少し変化しているがその揺れもどこか魅力的に感じた。1作目の翻訳が好みだったな。
・2作目の鏡の前で百面相するEDがよかった。これこれ!って思ったね。
無限大 ANANTA-NAKED RAIN
・NAKED RAINって会社はじめて聞いたが、荒野行動や第五人格などのNetEase Gamesの子会社(正確にはもう少し複雑な関係っぽい?)なのね。
・Zenlles Zone Zeroでも思ったが、中国企業に属するクリエーターの包括的な熟練度の高まりを感じてならない。若いセンスと技術力と巨大な資本力とが組み合わさり、パワフルな駆動力になっている。
・強大な訴求力を感じる。この大作感、このままでは競り負けてしまうのではないかと危惧してしまう。
・ムービーで流れている歌がエキゾチックでよい。会社の所在地のシンガポールらしく、その空気感を空想した。
余談
アニメとゲーム以外にも、今までに挙げたような「文化的マーブル模様」を見出せる。
Only You-Ginger Root
・今回の記事を書くまで名前しか知らなかったが、きいてみると超オシャレでナイスなサウンドですね。アルバムきかねばだ。
・細野晴臣のDaisy Holiday!にも出演していたんだなあ。
再見-ゲシュタルト乙女
・台湾の日本語で歌うバンド。リリックビデオのイラストレーション・アニメを担当している高妍氏は、はっぴいえんどを好んでいたようだ。
・原語でのバンド名もかっこいい。「格式塔少女」だって!
終わりに
だいぶ長くなってきたのでひとまず今回は終了とします。また書きたいタイトルが溜まったら記事にしたい。その時まで、自分の興味のアンテナを高く掲げています。それではまた。