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発達科学の論文紹介 #3
発達科学者の萩原です。Twitterで不定期につぶやいている論文紹介,アーカイブ第3弾です。ゆるゆる過ぎる更新ですみません…!
第1弾と第2弾はこちら。
発達科学の論文紹介 No.31~35
LangLearnDev誌|対乳児発話では発話速度が遅くなることが知られていますが,この特徴はオランダ語では見られても,中国語では見られなかったそうです。馴染みのない語が出てきたときに発話速度を落とすかどうかも言語間で違うと。#論文紹介#乳幼児期#言語発達https://t.co/kFq0Aj3RLU
— Hiromichi Hagihara (@hagiharahiro) January 5, 2021
DevSci誌|2歳児は「マスクなし」「白マスク」だと発話された語を聞き取れるが,「透明フェイスシールド」だとうまく聞き取れないそうです。直観に反するかもしれませんが,フェイスシールドは反射などでかえって視覚情報が適切に伝わらないのではとのこと。#論文紹介#幼児https://t.co/cEcXgk1ZQd
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) May 11, 2021
基礎研究ではありますが,現場の保育者にとっては非常に重要な知見ではないでしょうか。子どものためにあえてフェイスシールドを使っている園もあるでしょうし。
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) May 11, 2021
※あくまで語の聞き取りに関する研究なので表情認識などはどうなのか不明です…。
この手の知見は今後どんどん蓄積されると思います!
Cognition誌|他者の顔に比べて,自分の顔は大きく知覚されるそうです。
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) May 19, 2021
発達研究ではないですが,自己身体の知覚は歪むという点は面白いですね (確か,痩せているか太っているかの知覚でも,自己身体に関しては歪むという研究があった気がします)。#論文紹介#身体知覚https://t.co/NEiNQn5jI2
DevSci誌|特定の語の並び ("we can go") を聴く頻度が高いほど,子どもは誤った語順でWh疑問文を発話してしまう ("Where can we…"ではなく"Where we can go today?"*などと言う) そうです。子どもは複数の語をまとまりとして覚えて発話に使うようです。#論文紹介#幼児期https://t.co/DDwigE7vfU
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) June 9, 2021
DevSci誌|一定のリズムの音を聞いた後だと,ある文が文法的に正しいかどうかを判断する課題の成績が向上したそうです。この効果は,語彙課題や非言語Stroop課題では見られず,文法処理課題に特有だったとのこと。ハンガリー語圏の5-7歳児の研究から。#論文紹介#言語発達https://t.co/XRtwcMDWVC
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) June 9, 2021
リズムと文法は脳内の処理領域が重複していて,前者の活性化が後者に影響するのでは?といった解釈が挙げられています。
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) June 9, 2021
臨床的にも興味深い知見だと思います。リズムと言語処理の関連をみた発達研究,増えてきている印象です。
Video abstractもあります。https://t.co/mnapi4JInB
発達科学の論文紹介 No.36~40
PsycholSci誌|モノ語の習得に「形の類似性」が手がかりとなること,この手がかりの利用が1歳半頃に学習できることはよく知られていますが,もっと複雑に見える「機能 (≒用途) の類似性」も,同じ時期の子どもにとって利用できる&学習できる手がかりなんだそうです。#論文紹介#言語発達#乳幼児期 https://t.co/PmlTUKdM7F
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) June 12, 2021
ChildDev誌|スマホに触れながら親子遊びをすると,そうでない場合と比べて,養育者の発話量や子どもへの反応性の質などが低下するそうです。#論文紹介#スクリーンタイム#幼児期
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) December 6, 2021
The effects of maternal smartphone use on mother–child interaction https://t.co/4WpWXSgC7s
ただ,「子どもと関わるときはスマホを使わないように!」と安易には提言できないと思っています。スマホはほぼ生活必需品ですし,養育者のストレス発散や社交のツールでもあるからです。
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) December 6, 2021
Kotoboo @Kotoboo1 でもこのテーマに関わるコミックをいくつか発信してきました。https://t.co/Aa8Ysz9LV6
もし私が親御さんにお話しするなら,
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) December 6, 2021
・可能なら1日10分でも20分でもスマホを置いてお子さんと関わる時間を!
・難しければスマホを使ってお子さんと楽しく遊ぶ方法の模索を!(撮影ごっこ,動画を一緒に見るなど)
といった感じかと。親御さん自身のストレス発散や,頼れる先があるかも重要です。
DevSci誌|9~12ヶ月児は,馴染みのある曲であれば歌っている人が自分の親でなくても (歌のトーンやテンポが違っても) 興味を示すそうです。#論文紹介#乳児期
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) December 6, 2021
The song, not the singer: Infants prefer to listen to familiar songs, regardless of singer identity https://t.co/Mci7HfXaKc
パンデミック下の子どもの社会性発達に関する縦断研究 (2020.4-2021.2) の論文がSciRep誌に掲載されました。京大・山本希さんとの共同筆頭論文で,京大・森口研 @moriguchiy の皆さんと一緒に取り組んだ仕事です。
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) January 25, 2022
日本語概要はこちら!https://t.co/WyDAzBxsMw#論文紹介#社会性発達#子ども
「くつ」が《履く》から自由になるとき
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) May 31, 2022
博士課程で取り組んだメインの研究,ようやくお披露目です!Cognition誌で50日間フリーで閲覧できます!https://t.co/CCknQBGPvT
共著者の山本さん@bowalone422,森口先生@moriguchiy,阪上さんに感謝!かわいいイラストは@223440さんに描いていただきました! pic.twitter.com/TEnQfMccw5
実践への示唆も少し:
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) May 31, 2022
◆同じ単語でも,その意味は大人と子どもで違うかも。さらに単語の意味は発達に伴って変化する
◆語彙発達の程度に応じた声かけや支援があるかも。未分化ながらも単語の意味形成を促したいのか,意味のより細かな分化を促したいのかで関わり方が違うのでは
発達科学の論文紹介 No.41~45
石橋さん,森口先生@moriguchiy,新屋さん@seenya428との共著がJ Exp Child Psychol誌から出ました!
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) June 7, 2022
動詞の語彙数が増え始めた時期に限り,「これで遊ぼう」よりも「車で遊ぼう」と教示した方がスケールエラーが誘発されやすいことを示しました。
50日間フリーアクセスです https://t.co/MAx2iXTMw5
PhysOccupTherPediatr誌|お座りができるようになる5~8ヶ月児のモノ遊びを観察した研究。ASDの兄姉をもつ子どもは,クッションでの座位サポートの有無で玩具を掴んだり両手で持ち替えたりする時間割合が異なったそうです。定型発達児ではサポートによる違いはなかったと。https://t.co/uHd7WiRfmO
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) June 15, 2022
DevSci誌|6-18ヶ月児が親と音楽コンサートを聴いたときの反応を調べたところ,曲調や親の行動,音楽イベントへの参加経験の有無によって乳児の反応が異なったそうです。#論文紹介
— Hiromichi Hagihara, PhD (@hagiharahiro) July 26, 2022
A concert for babies: Attentional, affective, and motor responses in an infant audience https://t.co/UNfvL3gKqL
日仏比較オンライン調査の論文が出版されました!
— Hiro Hagihara, PhD (@hagiharahiro) November 7, 2022
マスク着用下と非着用下で,対子ども or 対同僚とのコミュニケーションがどのように変化したかを調べました。
Mask wearing in Japanese and French nursery schools: The perceived impact of masks on communication https://t.co/bIj5FHLQyw
Cognition誌|大人の研究ですが,表情や身体全体の情報がなくても,人は手の情報から感情を読み取れる,という論文です。乳児の視覚体験も,顔よりも手の方が主要になっていきますが,手は相手の意図や感情を知る上でも重要な情報源ということかもしれません。#論文紹介https://t.co/b2VFudN60q
— Hiro Hagihara, PhD (@hagiharahiro) November 26, 2022
ちなみに,乳児の視覚体験 (顔から手へ) についての論文はこちらです。
— Hiro Hagihara, PhD (@hagiharahiro) November 26, 2022
From faces to hands: Changing visual input in the first two yearshttps://t.co/BEIAJgL8ua
ゆるゆると更新していきます…。