八木辰

やぎたつと読みます。小劇場で十年ほど役者をやっておりました。

八木辰

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マガジン

  • 詠書つづる君 by 八木辰

    野良歌人の八木辰が感銘を受けるたびに開く秘密の扉。アクセスフリー。

  • しなしな日記

    しなしな日記にはしなしな日記くらいの意味しかありません。

  • 脚本「ドラゴン・マリリコ」

    S1グランプリにて最終選考までいきましたが特に賞は取れなかった脚本です!加筆修正しました!

最近の記事

ジョン・ウィック:コンセクエンスを詠む

  「ジョン・ウィック:コンセクエンス」を観てきた。大好きなシリーズの最新作なのでハードルかなり高めだったけど面白かった!     まず良い映画は冒頭がいい。キアヌ・リーヴス演じるジョン・ウィックがいきなり空手の伝統的稽古方法「巻き藁突き」を無心にがっつんがっつんやっている。その一方で、ローレンス・フィッシュバーン演じるキングが長々とクソデカい声でしゃべっている。これは2023年秋の時点で考えうる最もシンプルなカオスのひとつだとおもう。  毎回のことだけど、今作もやけっぱ

    • ゴジラ×コング 新たなる帝国を詠む

       ゴジラ-0.1の公開から約半年……はやくもゴジラの新作がやってきた!しかもハリウッドから!予告ではすでにゴジラとコングがめちゃくちゃに謎の空間を駆け抜けている。となれば、観客たちも自重に膝をきしませてでも劇場に殺到するべきだ。そういった不文律をシナプスに受信した。普段は上映中なにも口にしない派だが、ひさびさにコーラとホットドッグを買って電撃的に着席した。  物語はコングの地下空洞における日常生活からはじまる。一仕事終えたゴリラはシャワーを浴びて、飯を食う。すると歯が痛い。

      • 君たちはどう生きるかを詠む

         君たちはどう生きるかを観た。ジブリの新作だが秘密主義が徹底されていて作品内容が明かされず宣伝すらまともにされていない。見えないものは余計に見たくなる。そういった人間心理を利用した新手の宣伝ともおもえるが、実は作品を鑑賞するにあたってその効果を高めるための必然的な施策ではないかという気もしていて、しているからこそその「気」を説明することはネタバレになるからこうして駄文に駄文を重ねて逃げ道を作っている。去れ、ネタバレ避けたき人々よ。あなたたちは巨匠の新作をまっさらな脳みそにねじ

        • ザ・フラッシュを詠む

           先日、クールな印象のある職場の同僚がものすごくあせって全力疾走していたのだが、腕がピンと伸びてアラレちゃんみたいだった。人間、全力疾走する姿を見るまではなにもわからない。大人は疾走感を隠匿して生きている。子供ならば突然全力疾走をはじめる。スタートラインなんてない。世界を区切っていない。成長と共に僕たちは全力疾走を忘れて、たまに電車の時間に間に合わないとおもいだす。走らされてしまう。本当は世間の鎖から解き放たれて足元の一歩目から全力疾走をはじめたい。僕たちはザ・フラッシュを観

        ジョン・ウィック:コンセクエンスを詠む

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        • 詠書つづる君 by 八木辰
          7本
        • しなしな日記
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        • 脚本「ドラゴン・マリリコ」
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        記事

          縁路はるばるを詠む

           自宅から映画館に向かうのにドア・トゥ・ドアで2時間かかるのは長いのだろうか。埼玉のだいたい真ん中あたりから都心に出ると1時間半はくだらない。それは通えない距離ではない。実際のところ、僕は職場まで1時間半かけて出勤しているし、学生時代は大学へ2時間かけて通っていた。都内に住んでいた時期もそれなりにあるが、僕と都心との距離感は1時間半〜2時間がデフォルトである。よって、2時間以内で到達できる新宿はギリギリ映画を観に出かけていける場所じゃないだろうか。    以上のような逡巡を経

          縁路はるばるを詠む

          クリード 過去の逆襲【特別短編付き】を詠む

           死角から鼓膜へ鋭く叩き込まれた「SHINJIDAI」の響きによって半日分の記憶が吹き飛んだ。特別版アニメ「クリード SHINJIDAI」の幕開けである。  タイトルコールですでに豪速球デッドボールという感じなのにSHINJIDAIは止まらない。「200年後くらい(記憶は定かではない)の人々が宇宙に進出した世界(記憶は定かではない)ではサイバネティクスを利用したボクシングのようなスポーツ(だったとおもう)が盛り上がっていた。その競技者の中にはクリードの血を引く者か何人かいて

          クリード 過去の逆襲【特別短編付き】を詠む

          詠書つづるは(よみかきつづる)とよむ

           先日、文学フリマという文芸同人誌即売会に参加してきたのですが、その際に配っていたフリーペーパー「詠む鑑賞者」がけっこう評判良かったんです。その内容は僕が映像作品を鑑賞してコメントをつけ、短歌5首添えるってやつだったんですけど、同じフォーマットでネット上になにか放ちたいなという気分がありまして。ついにこの詠書つづるという記事を書きはじめたんですな。こちらの内容は、劇場に観にいった映画に関することがメインになる気がしてるんですが、唐突に神社とか、公園とか、菓子パンとか腹痛とか、

          詠書つづるは(よみかきつづる)とよむ

          文学フリマ東京35の宣伝をしているはずの文章

          「ペラペラと喋っている暇はないのだが、ペラペラと喋らずにはいられないのだ」 ーーまだ誰のものでもない格言ーー  つまり、回り道は嫌だ。  なるべくだったら目標に向かって深い溝を跨いだ一本橋を渡してしまい、最短距離で物事を済ませていきたい。多少労力がかかっても時間さえ短縮できれば御の字で、というか、時間との戦いこそが最大の宿命で、殴れさえすればいつだって硬い拳をぶつけてやって弱らせたい相手、それが時間だ。  ところが、いざ一本橋をこさえてその上を渡りはじめると、まさに渡りはじ

          文学フリマ東京35の宣伝をしているはずの文章

          しなしな、7月5日、午後10時頃

           笹井宏之さんの歌集「えーえんとくちから」を読み始めて、しょっぱなから引き込まれた、というか巻き込まれたのかな?ロッテリアの二階からすっと環境音がひいて、目で言葉を聞くように感覚が紙面に総動員された。なかなかの衝撃。すごいものを目の当たりにすると「僕の方が!」とか「僕なんか……」なんてついつい自我がでしゃばってしまうのだけど、笹井さんの歌はそんな感情を一瞬で解きほぐして「ありがとう、ありがとう」って出会えたことに感謝したくなるばかり。言葉の質って磨いたから変わるというものじゃ

          しなしな、7月5日、午後10時頃

          しなしな、7月4日、午後11時頃

           僕は日々コンテストに向けて脚本を書いたり孤独を短歌に転じたりしているから、たまにエナジードリンクを欲する。実際に効いているのかはよくわからない。安易に心の隙間を埋める行為としてエナジーをドリンクしている可能性は否めない。  そんな日々の中を自転車で疾走していると、先ほど最寄りの駅前の自販機で怪しいエナジードリンクが売っていることに気がついた。しかも100円で500ml。安くてでかいんだ。今日は夜も遅いし飲むことはないと思うけど、明日以降のために一本買っておくか、と自転車を

          しなしな、7月4日、午後11時頃

          しなしな、7月3日、午後4時頃

           下半期と聞くと下り坂を自分の体重を感じつつずりずりおりていく印象。そんなこんなで今月3日目にして日記の方は初投稿です。みなさんお元気でしょうか。  僕はというと今月末の引っ越しについてようやく焦り始めたところです。「なんだかいらないものが随分と増えたなあ」なんて思いつつ部屋を見渡してばかりいたここ数年。そのツケを一気に清算する役目を、どうやらこの時空に佇む「僕」が担わなければならないらしい。まったく辟易するぜ!  とはいえ、世界の存亡くらいの重荷ならまだしも、たかだか1

          しなしな、7月3日、午後4時頃

          しなしな6月の歌(19首)

          6月はこちらで19首詠みました! 雨が降ったり日傘をさしたり紫陽花が咲いたり蛍が飛んだり・・・ひそひそと夏が近づいてきていた一ヶ月でしたね・・・。 理科室の隅で倒れて継ぎ目より言葉こぼれる人間標本 帰る場所なくしたような朝焼けを眺めつつ避け新宿を出る 蓮の葉が水を飲み太陽を追いつい人になり夕暮れに立つ こうすれば日よけの効果が倍増と日傘をくるくるくるくるくるくる 琥珀色プツプツグラスに弾けるを相手に語るジュラ紀白亜紀 ナメクジはシンク這いつつ惑いつつ窓越しの雨を聞

          しなしな6月の歌(19首)

          しなしな、6月30日、午後11時頃

           今日で今年の上半期が終了……  とても信じがたいが事実だ。本格的に世の中がやばいなと感じ始めたのが二月頃だったのでそれからまだ半年は過ぎていないけどそれでも随分と時間が経った。世の中の意識もだいぶ変わった。思えば遠くへきたもんだ。  だけど、下半期も油断ならない。もうすっかり身近なウィルス的なやつもそうだけど、個人的には引っ越しというイベントが控えているのでしょっぱなからあれこれ整理しなきゃ。ただ単に契約更新のタイミングに合わせただけだからあんまり意識していなかったけど

          しなしな、6月30日、午後11時頃

          しなしな、6月27日、午後11時頃

           6日ぶりの更新だ。  「この時間、完全に空いてるなー」と自然に感じられた時に更新するつもりでいた結果、過ぎ去った時間が6日だった。緊急事態宣言が出ていた頃は毎日更新していて、解除後も一日以上は間隔をあけていなかったから、ずいぶんご無沙汰な感じ。  じゃあ今日何か特別に書くことがあるかと言われると特に何もない。っていうか、毎日更新していた時だってそんな日はあったんだろうけど。きっとあの頃は緊急事態宣言って言葉とか、人通りの絶えた景色とか、毎日マスクする習慣だとか、それらの

          しなしな、6月27日、午後11時頃

          しなしな、6月21日、午後7時頃

           6月も下旬に入り、今日は夏至。これから日がだんだん短くなっていくというタイミングに雲の裏では部分日食。生きていく上ではこういった現象を吉兆と捉えるのが良いと思うんだけど、面白がるには「終わりの始まり」とかそういった文言をついついつけたくなりがち。僕はどちらも気まぐれに思っていく。  そんな本日はコメダ珈琲店にてミニシロノワールとアイスカフェオレのセットを頂いている。さすがに一人でレギュラーサイズのシロノワールをいく勇気はなかったなあ。しかし充分すぎるくらい舌は喜んでるよ。

          しなしな、6月21日、午後7時頃

          しなしな、6月18日、午後11時頃

           来月実家に帰ることになった。なった、といってもさっき決まった訳ではなく、先週くらいからそういうことにはなっていたのだけど、気分的に記事にするのは今日かな?と思ったのでこうして書いている。  実家にもいろいろな実家があると思う。僕の家の場合、両親は熟年離婚してそれぞれ別々の場所に住んでいるので、実家には弟二人だけが住んでいる。来月僕が戻ると実家で息子三人がそろって同居することになる。  真ん中の弟は起業してウェブデザインをやっている。一番下の弟はイベント関係の会社に勤めて

          しなしな、6月18日、午後11時頃