ハゲ小説#6 心のままに 04
「状況はどうです?議長?」
「光については記憶が鮮明に蘇ったぞ。だが、愛というものについては、
まだぼんやりとしか理解できないな」
「それは当然です。ケナーシ星の我々は全体を光で守護することが目的で在るもの。愛というものは光とは似て非なるものです。ケナーシの愛と地球の愛もまた似て非なるもの。言うならば地球人が最も理解しているものでしょう。元来在ったものが、複雑な闇を知ったが故、さらに深まり極まったものですから」
「役割が違うと?」
「そうです。議長がそちらへおられる間、一瞬ではありますが少しばかり感じるだけで十分です。愛を感じるのは地球人の役割。我々のような光、地球でいうならば希望を与えるだけの存在が、愛にどっぷり浸かってしまっては、本来の目的を果たす場所に戻れなくなりますからね。我々は光、違う勢力は闇、干渉しすぎないようバランス取りをするだけの役割です」
「承知した。愛に対する違和感が少し抜けたのを感じる、感謝する。ところでテカよ、ときにミルミルが飲みたいのだが・・・」
「それは、そちらで買って飲んでください!」
「え~、つめたいなお前・・・物質化して居間3に届けてくれよ」
違う勢力。ここ地球にも複数存在するが、彼らもまた「バランスと調和」の役割として存在する。その中でも、ある種の役割は、ここ地球に人類を誕生させることが役割だった。はるか昔、心のままに彼らは遺伝子実験を行い、現生地球人を誕生させた。
その彼らの闇の支配はまだ続いているが、闇といえども彼らなくして、今あなたの隣にいる愛すべき人との体験はあり得なかった。干渉しすぎるがゆえの善と悪の発生。彼らもまた善でも悪でもなく、原理・原則として、そこにただ存在するだけの、永遠の心の探求者なのかもしれない。あらゆる経験・体験のために全ては存在する。たとえ星が死んでも場所を変えてまたそれは続くだろう。
なぜ在るのか?
個の正解はあれど、全の答えはまだ見つかっていない。
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「議長!もうひとつの一元が確認されました!」
「!?」
「ほぼ、こちらの一元と同じパターンですね。次もお願いしま~す」
「おいおい、勘弁してくれ!テカ、今度はお前がそっちへ行けよ!」
「いえ、心の声が聞こえませんので遠慮します。ではでは、心のままに」
「おまっ!?ちょっ待て!!」
―――――― ピー!プツンッ ――――――
ハゲ小説#6 心のままに 04
完
愛ゆえに愛が愛に愛という光を・・。 あなたにいつも拈華微笑💖