パラレルでの仕事
その男はその時空においては、最高レベルの存在だった。
全ての能力に秀でており、霊的に必要な精神パーツも充実している。誰も敵わないような魂であり、同時にその時空において問題児でもあった。
かといってあまりにも秀でた存在なので、誰も彼を諌めることはできず、彼自身良くも悪くもその状態に苦しんでいた。
そこで私が派遣された。私が特別秀でているというわけではない。ただその時空内ではもう完全に行き詰まっており、別次元から手を入れなければどうにもならないという状態であった。
そして実際に彼に対峙してみると、美しい男であった。こちらの世界で例えれば窪塚洋介っぽい雰囲気のオシャレな男だった。
そして抜群に頭も良く、私に魂的論戦というか、精神的勝負のようなものを挑んできた。そして確かにたちが悪かった。完璧なのだ。私はつい逃げた。
しかしその時空内において私がどんなに逃げても、ずっと追ってくる。私は逃げるのは得意なのだが、その時空内でのさらに小時空に逃げるプチ時空間移動という、いつも100%逃げ切れる私の18番でさえも通用しなかった。
プチとはいえ時空間移動を追ってこれる魂はめったにいない。今までの他時空の経験でも1例あっただけだ。宇宙全体でもそう多くないハズだ。
確かにこれは問題児であり、この時空で誰も彼を諌められないというのも納得がいった。
善悪で言うならば彼は悪ではなかったが、とにかく暴れん坊でみんな疲れていた。
そして私もかなり疲れた。逃げても逃げてもしつこく追ってくる。魂的勝負を仕掛け続けてくる。そして勝負しても勝てない。魂の世界は勝ち負けという単純なものではないが、上下は部分的には確かに存在する。
そこのこだわりが強ければ強いほど修羅界寄りとなり、時空自体は高くならないのだが、へたに能力が秀でている魂ほどよくそこに陥るのである。
とはいえ、その時空内においての彼は完全な存在であり、もうどうにもならなかったので、私は天井を指差した。
それだけでどうやら伝わったようだった。彼は追うことをやめ急に黙った。
一言で言うなら完璧な彼の概念の中にも「神の存在」というものが認識としてあったのだ。神というのはどんな時空のどんな存在であっても「理解を超えた存在」という共通の認識があり、それは「自身を超える存在」でもある。
完璧な彼の中にも「自身を超える存在」というものが概念としてあった。
優秀であればあるほどあって然るべきものだ。自分を神だと思っている存在でさえ「神の概念」は無限にあるのだ。
私は、自分以上の者はいないと信じる彼自身の中にある「神の概念」を示唆したのだ。
それでようやく終わった。彼自身が自身で認め、修羅的な部分が溶解し始めてきた。能力が高いだけあってそれは一瞬の出来事だった。
とはいえ疲れた。あーやっと終わったと思ったら目が覚めた。
目が覚めたが手はしびれていて、変性意識状態のままだった。瞑想やヨガなどで達するひとつの状態だ。これはカラナプロジェクションが起こったいつものサインである。30代前半ごろから数ヶ月に一度くらいのペースでずっと続いている。話すと長いので割愛するが派遣的なものになったのはここ数年だ。それまではずっと自分の調整でいっぱいいっぱいだった。
そしてそのタイミングでスマホのオーディオブックから、瞑想の話が流れてきて、
「自分や他者の幸せを祈る時は、個々一人づつ祈るのではなく、団体写真のように全体的に祈った方が良い。さらには生命全体のように大枠で祈った方がさらに良い。個人レベルで祈るとエゴや雑念が入りやすい」
みたいな箇所がちょうど再生されてスッと入ってきた。これがおそらく今回の仕事的なものの報酬というか、シンクロニシティ的なメッセージなのだろう。
この時点ではもう変性意識状態から三次元意識に戻りつつあったが、確かに言霊や祈りをする時には、個々人でやるべきか全体でやるべきか常に迷いがあった。おかげで個々人が悪いわけではないが全体のほうが良いという確信となった。
相変わらず突飛な内容であったが、ここはサーバー的に消えないだろうから私的メモ的な要素もあるのでご容赦していただきたい。
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