季節はずれですが怖かった話
このnoteにてフォローさせて頂いているtomadoさんの作品…
憑いて来る 憑かれた男の独り言|tomado|note(ノート)https://note.mu/tomado/n/n90ed7fe33a37
これを読ませて頂いて自身の怖かった経験を思い出した。いつも楽しませて頂いているtomadoさんへの感謝も込めて書いてみます。
30年くらい前の話なんだがな、当時していたアルバイトが終わり電車で家に帰って来るのは0時半くらいだっただろうか?
俺の家は車の往来も多い片側2車線の国道を渡り100mほど歩いたところにあった。
国道から入る細い路地は乗用車が普通にすれ違える程度の幅で、十字路がひとつ…ふたつ…三つ目はT字路になっていてどん突き…そのどん突きまでを見渡せる直線の道だった。そのふたつ目の十字路を左に曲がった先に俺の家があった。
何も変わらぬいつもの帰り道だったよ。
国道から路地に入るとひとつ目の十字路の真ん中に立つ女性らしい姿が見えたんだ。
髪は肩まで届くくらいの30~40歳くらいのラフな格好をした女性だった。こんな時間だし「昼間には出来ない犬の散歩でもさせてるのかな?」なんて思っていた。
距離が縮まってきて十字路の視界が開けてきた頃に強烈な違和感を感じたのよ。
「あれ?犬の姿が見えない…」と…
さっき考えた犬の散歩ではないのなら何?
あわせて気付いたのはその立ち姿が少しおかしいこと。右足に体重がかかる感じで身体全体が右に傾いた感じで立っている…
「楽な感じの姿勢じゃねぇな…えっ…そういえば俺がこの路地に入ってからこの姿勢をこの人は崩していない…」
ここからモーレツに怖くなってしまった。こんな夜中にたった独りで十字路の真ん中に不自然な格好で立ったまま動かない…
って思った時点で彼女との距離は5~6m…
目の前過ぎてどうにもならん!
俺は恐る恐るその女性の脇を通り過ぎる。
まだ彼女は動いていない。すれ違い様に横目で彼女の顔を見ると…
「ギロッ!」と目だけをこちらに向け、目があってしまった!
「ひええぇぇぇぇ!」
心の中で絶叫だよ!
とりあえず次の十字路を曲がり50mほどで家に着く…と思いながらも声も出せず、走り出したい欲求にもかられたが向こうも走って追っかけて来られたら怖さ倍増じゃん?振り向いたら歩いてついて来られてたらどうしよう?いやいやもうすぐ左に曲がれる…曲がり際にチラッと確認してみりゃいいか?ちょっと待てよ、もし左に曲がってみたらその先の十字路にまた立ってたら…俺失神してまうな。とかそりゃもう怖さが頭から離れないわけよ!
勿論曲がった時にも確認など出来ずそのまま一度も振り返れず家までまっしぐらに歩いた。鍵を取り出そうとする手も“あわわわわ…”家まで辿り着いて玄関に鍵をかけた後も怖くて仕方なかった。窓を開けることも出来なかったよ。2階の自分の部屋の窓を開けて下に立ってたらどうしようとかな。
その後その女性が何だったのか確かめる術もなく、いつしか忘れてしまい俺もその家を離れてしまったが…
これは本気で怖かった…
今でもあの「ギロッ!」が忘れられない。