はばたき市にあるレストランに帰りたい。
2014年3月16日。
大学の卒業式間近だったか、それとも卒業式の後だったかは定かではないけれど、もうすぐ新社会人になる季節だったことは覚えてる。
その日、私は舞浜にあるアンフィシアターに向かっていた。
「ときめきメモリアルGirl´s Side」のイベント「ときめきメモリアル Girl´s Side DAYS 2014 ~ホワイトデート~」のチケットが取れたからだ。
私はそのイベントの帰りに興奮のまま、ときめきレストラン☆☆☆をダウンロードした。
きっかけはイベント中に流れたPV。
その時に見たX.I.P.の『E→motion』のライブ映像に釘付けになり、夢中で慣れないペンライトを振った。
それまでもときめきメモリアル Girl's Sideシリーズと同じ『はばたき市』を舞台としているということで、ときめきレストラン☆☆☆の存在は知っていた。
周りの友人達もプレイしていたが、このイベントの直前まで私は今は亡きWindows phoneを使用していたので、ダウンロードができなかったのだ。
ちょうどiPhoneに変えた直後に見たX.I.P.のビクトリーライブ。それは、いままでの自分をひっくり返す出来事だった。
それまでも姉がジャニーズJr.にハマっていても、乙女ゲームや漫画でアイドル物が出ていることは知っていても、私は一切興味がなかった。
たぶん私には三次元でも二次元でも一生アイドルは縁がないんだろうと思っていた。
それが数ヶ月後にはアプリに課金して、数年後にはリアルライブに足繁く通うようになるとは思ってもみなかったのだ。
ときめきレストラン☆☆☆が特徴的だったのは、
ただアイドルとの恋愛を描いただけではなく、『レストランを運営する』という箱庭ゲームの側面があり、多様な遊び方が出来たことだったように思う。
現に私は、アプリ時代神崎透という推しに貢ぐ以上に、レストランのレシピを増やすことに執心した。期間限定レシピを増やすためにくじを引き、手に入ったレシピでチャレンジクエストを回してはレストランの家具を増やし、新しい家具が出る度にお店のレイアウトを変更した。
こだわりのレイアウトの自分のお店に、アイドル達がやってきてはご飯を食べていってくれるのだ。自分が作ったご飯を美味しそうに食べていってくれる彼らを見て、より一層親しみと好感度が増した。
箱庭ゲームという楽しみ方と、アイドルとの恋愛という乙女ゲームが融合したこのゲームに私はどんどんのめり込んでいった。
2014年8月7日。
私がときめきレストラン☆☆☆を初めて数ヶ月経ったころ、アプリが開発元のKONAMIではなく、コーエーテクモゲームスにサービス移管された。
当時はかなり不安に駆られたが、その後、コーエーテクモゲームスの元、たくさんのグッズ販売やリアルライブやイベントの開催が行われ、コンテンツの幅が広がることとなった。
2018年8月31日。
ときめきレストラン☆☆☆が5周年イヤーに沸く中、アプリとしてのサービスは終了した。
サービス最終日はあまりにもたくさんのアクセスが集中したため、ラスト2時間はサーバーが落ちてしまったほどだった。「繋がれぇぇぇ!」と念を送りながら、トップ画面を連打し、カランコロンというベル音を聞き続けたことはいまも忘れられない。
その後5年間、アプリとしてはサービス終了しても、リアルライブを基幹としたコンテンツでときめきレストラン☆☆☆は私たちファンを楽しませてくれた。
時にはアイドルと結婚式を挙げたり、オケコンで彼らの楽曲を楽しんだり、ジョイポリスやカフェとのコラボで盛り上がったり、春と夏にはホームであるDMM VR TEATERで約1ヶ月のライブに通い詰めたり。
私自身、そこで新たな出会いや経験をたくさんして、ときめきレストラン☆☆☆というコンテンツと過ごした思い出は、どれもかけがえのないものだ。
そして、2023年3月31日。
この日は前述のサービス最終日と並んで、一生忘れられない日となった。
コーエーテクモゲームスによるサポートが終了したのだ。
この日をもって、ファンから『インフォちゃん』として親しまれていたTwitterは動かなくなり、アイドルの『今』を知る手立てが無くなり、コーエーテクモゲームスのグッズショップであるKT SPOTに、ときレスの新グッズが並ぶことも無くなってしまった。
ときめきレストラン☆☆☆を初めて10年、
アプリのサービス終了から6年、
コーエーテクモゲームスのサービスサポートから1年。
今は思い出を無くさぬよう、ライブDVDを何度も見て、CDを流して、メモリアルブックを読んで……そんな日々を過ごしている。
この1年間で、シリーズ元のときめきメモリアル Girl's Sideの過去作がSwitchに移植されたり、コーエーテクモゲームスの伝説的ゲームである初代アンジェリークがNINTENDO Switch onlineでプレイできるようになったりもした。
そうして今日、ときめきレストラン☆☆☆とコラボをしたこともあった夢色キャストは買い切り版のアーカイブアプリが発売された。
そんな各コンテンツの動きを見ていると、
ときめきレストラン☆☆☆も、コンシューマゲームや買い切り版のアプリが出ないだろうかと切望してしまう。
あの雨の秋の日、彼は何を言っていたか。運動会はどちらのグループが勝ったんだっけ?またお正月のおせちを作って、ひよこの着ぐるみを着たい。あのサービス終了の日、たった2時間だけれど自分のお店に入れなかったことが忘れられない。
思い出せなくなってしまったイベントをまた見たいし、彼らの仕事にかける情熱に触れたいし、クエストに追われてたくさん料理を作ったり、自分好みのレイアウトのレストランを作りたいのだ。
数奇な道筋を辿ってきたコンテンツだからこそ、
難しいのだろうとは思う。それでも、諦められずに願ってしまう。
いつかまた、はばたき市にある、あのだいすきなレストランに帰れることを。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?