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RPGの冒険者になりたかったオッサンは代替行為として雀荘に行く
子供の頃憧れた職業は?
俺は、「殺し屋」と「海賊」だった。絵本や漫画の影響だ。
小学生なんてそんなものかもしれないが、俺は一般的な職業に就きたいと思ったことがない。
言ってしまえば、ガキの頃からずっと厨二なのだ。
ファミコンを親に買ってもらうと、俺はゲームに夢中になった。いろんなソフトを遊んだが、好きなのはRPGだった。
ただ、魔王を倒し姫を助けるような勇者には憧れなかった。
魔物を倒せば金品を得られるという世界に憧れたのだ。
敵を倒し金品を得るという点では、先述の殺し屋と海賊に通ずるものがある。
やがて麻雀を覚え、仲間内では飽きたらず、雀荘へ行くようになった。
勝ったり負けたりだが、「敵を倒し金を得る」のが楽しいのだ。
この快感は、公営ギャンブルやパチンコでは得られない。
負ければ悔しいから、研究して上達を目指す。
雀荘での俺は、冒険者だ。
友人が立ち上げたIT系の会社で働いたのが十数年前。経営が苦しくなり俺は会社都合で退職となったが、以来俺は非正規雇用の仕事しかしていない。
麻雀以外の趣味は創作。
漫画や音楽、いろいろやったが、最近は小説を書いている。
どうせなら、ただ雀荘に通うのではなく、好きなことを突き詰めて仕事にしようとか、大きな目標に向かって努力すべきなのかもしれない。
そうでなければ、冒険の書を閉じ、現実的な範囲で物事を考えるか。
しかし、同じ配牌は来ないと言われる麻雀は、まるでランダムにダンジョンが生成されるローグライクゲームのように俺を虜にする。
ひと昔前は、ほとんど雀荘に寝泊まりしてるような人がいた。
彼らはひたすらダンジョンで探索を続ける冒険者のようだ。
——今日はどんな手をアガれるのかな。
そんなことを考えながら、俺は場末雀荘というダンジョンに潜り、ゴブリンと戦っている。
どうせなら、ドラゴンを倒しに行った方がいいのかもな。
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