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【漫画の読み方】2つの視点の重なり

漫画の読み方が分かる解説用の漫画を描きました。題材は“2つの視点の重なり”です。キャラクターが2組でてきて2組分の視点(空間や心情)が重なり合うというものです。漫画は全部で12ページあります。以下少しずつ説明していきます。まずは下の漫画を読んでください。

キャラクターの変身とキャラデザイン

上の漫画は冒頭の2ページです。女の子と猫のペアが2組います。それが猫になったり人間になったり入れ替わっています。交互に変身し合っています。そう見えるのは猫耳が付いてたり、同じ色の髪や服、同じ風船を持ってたりと変身したように見えるキャラデザインをしているからです。変身したようにキャラデザインするのは楽しいです。

1視点から2視点へ

上の漫画は続きの3、4ページです。って、あれれ?変身しているのではなくなりました。女の子と猫のペアは別々の空間に2組あることになりました。今まで1つの空間だけの1視点でしたが、実は2つの空間がある2視点のお話ということになりました。

連続する背景とキャラクターの関係

この視点といのは何でしょうか?世の中には沢山の種類の視点というものがあります。その中でも、作中で使ったような、連続する背景とキャラクターで作られる視点について説明します。

説明するためにまず、連続する背景の絵を用意しました。それはこのような誰もが知っているだろう絵の組み合わせのことです。これにキャラクターを合わせると、

このようになりました。連続してる背景がキャラをコマ送りしてるように繋ぎます。コマ間に走っている間の距離や急いでいることなど感じられるのではないでしょうか。このように連続する背景とキャラクターを合わせると色んなものが発生します。そういう空間を視点と呼ぶのだと思います。

キャラクターを増やすと視点が増える不思議

上の例と同じ場所の絵にキャラクターを1人増やしてみました。すると不思議なことにキャラクターごとに視点が2つある感じです。理由は2人のキャラクターがそれぞれに背景の絵を繋いでいてそこにキャラごとの前後のお話があって、そこには心があるから?と考えますが、わかりません。解説用の漫画の1〜4ページも2組のキャラがそれぞれに背景を繋いでいます。

写真をそのまま使いました

1〜4ページの漫画では背景に実際の風景を撮った写真をそのまま写しています。地下鉄改札から外に出るまでです。ですので実際にある、連続性を持った組み合わせの背景です。それに2組のキャラクターを合わせました。なので説明しましたように、視点が2つあるようになりました。

リアクションとノーリアクション

ここからは、続きの漫画に使っている表現方法を先に説明します。それから漫画の中でどこでそれらが使われているか探してもらおうと思います。まずはリアクションとノーリアクションです。

上の例を見てください。リアクションは上の段のように、キャラの表情の変化でコマを繋いだものです。対して下の段のノーリアクションはキャラの表情は動かさないでコマを繋いだものです。下の続きの5、6ページに両方使っていますので探してみて下さい。

見つかりましたでしょうか?黒い女の子がリアクションで、青白い女の子がノーリアクションです。黒い女の子は表情を変えるというテンポでしゃべっています。対して、青白い女の子は表情を動かしていませんが、背景が彼女の心情に見えるように頑張って描きました。ノーリアクションでも背景と合わせると多くの物を物語るんだと思います。

カットインと追いかけ

引き続き先に、次のページで使っている表現方法を説明します。

まずカットインです。カットインとはコマ絵の流れに別の絵を挟み込むことです。上の例のベタで区切った所のように色々な情景や感情など挟めます。

次に追いかけです。追いかけとは、キャラがもう1人のキャラを追いかけるという構図のことです。上の例のようにコマの中を動き回っているような効果が出ます。この2つの方法を使って下の7、8ページを描きました。探してみて下さい。

見つかりましたでしょうか?カットインは7ページの2コマ目に使っています。聞こえてくる音の表現としてドットの記号を挟んでいます。追いかけは1コマに女の子と猫のペアを描いてあるのがそうです。1コマで進行方向と2人分の動きを表すことができるので、動き回っていると感じるのではないでしょうか。

カメラアイと2種類の文字パーツ

また引き続き先に、続きの9、10ページで使っている表現方法を説明します

まずカメラアイです。上の例がそうです。カメラアイとはカメラの目です。ものを見ているアップの顔と、それが見ているものです。不思議なことに見ていると示した絵の後に、対象の絵を見せると。その対象を見ていることにできます。

次に2種類の文字パーツです。2種類の文字パーツとは上の例のように2種類の思考バルーンが1コマの中で重なることです。同時に2人のキャラの考えていることを表せます。漫画ではこんな事が簡単にできて凄いと思います。では、この2つの方法を使って次の9、10ページを描きました。探してみて下さい。

見つかりましたでしょうか?9ページではキャラが何かを見ている顔や目のアップです。対して10ページではそれが見ているもの、人魚になった自分の尾ひれです。カメラの目が9ページで、見ているものが10ページです。2種類の文字パーツは集中線と四角の思考バルーンの重なりが1コマに入っている所です。2人のキャラの感じ方の違いが重なり合うものとして同時に表せます。

以下最後の11、12ページです。

連続性のある絵の繋がりについて

この漫画の背景は自分で撮った写真から描いています。散歩しながら撮った写真をほぼ撮った順にはめ込んでいきました。なので道順に繋がった背景になりました。その繋がりが2組のキャラの2つの視点や、上記に説明してきた表現を繋いでいます。つまり連続してる背景の中に色々な表現を試すことができました。それは風景でなくても良いのではと考えます。例えば物や情景や記号や考えている事の絵の繋がりでもいいと思います。

2つの視点の重なり

これで終わりです。題材である“2つの視点の重なり”を感じてもらえたでしょうか。2視点が面白く見えるよう対比したり重ねたり考えて描きました。ここまで読んでくれてありがとうございます。

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