キャラクターの内面と外観の表現【漫画の描き方】(レシピNo.2)
上の3枚の画像を見てください。1ページ目の漫画「初めての水族館」と、これをどう描いたかの漫画の描き方のページと、同じ方法で描いた3種類の漫画の説明ページです。
内側の塗りと外側の塗りを反転させるという単純な構図の入れ替えで、キャラクターの内面と外観を表す。と、いうことを漫画や絵や文章で説明しました。小学生にも分かるよに分かりやすく簡単にしたつもりです。
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補足を入れつつ、3ページの内容を下に全部説明します。まずは目次をご覧ください。
使う素材を説明します
下の絵を見てください。この漫画で使う素材は、水模様の背景にいる「女の子」のシルエットの絵の流れと、「目(鏡面)」の中に映る水模様の背景の流れです。
この2つは外側と中側の塗りの部分を反転させた構図です。背景は同じ水の中の模様を使っています。クローズアップやアウトを使い、色々なサイズの絵を使います。
使う漫画技法を説明します
下の図がこの漫画を描くために使った漫画技法です。下の説明の中に出てきますので、覚えておいて下さい。
交互(カットバック)は2つの絵の流れを交互に組んでいくことです。鏡面(目)は目に映る背景を効果的に使うことです。固定アングルとは、同じ角度から見た絵のコマ割りのことです。簡単で基本的なこれらを使います。
素材を組み合わせていきます
提示した2つの素材をこれらの漫画技法で組み合わせていきます。2つを組んでどういう風に見えるか、確かめながら描くのがコツだと思います。
まずは、混ぜ合わしてみましょう
上の図のようにまずは2つの素材を交互(カットバック)に組んでどう見えるか確かめます。女の子は、どうやって水槽の前に立っているかで、目(鏡面)はどんな水の中を見ているかです。交互にラフを描いてこの2つを混ぜてみます。
“私”という関係性ができます
混ぜますと、目(鏡面)に映る背景が、“私”が中から見たものに見え、女の子が外から見た“私”になります。2つの私が重なります。私がここに居て、何かを見ている、という関係性がこの2つの素材の間にできます。
ストーリーを考えラフを描く
次に、この関係性を使ってストーリーを考えながらラフを描いていきます。「大きな魚が目の前を通り過ぎていって感動する」と考えました。動く魚が目に映り、感動しているそぶりを描きます。2つの素材を色んな風に交互に組んで、どんな感じになるか試しながら描いていきます。
この時、読者にどう見えるのか考えて上の図にしてみました。キャラが見ているものを読者も見ています。キャラを見るのと同時にそのキャラが見ているものをキャラと同時に見る。と、いう感じになると思います。見ているものが内面になります。
固定アングルを使う
コマ流れを調節しつつ、固定アングルの技法で動きを追加します。上の絵に説明を描きました。固定アングルとは同じ角度から見た絵のコマ割りのことで、小さい範囲の動きを目立たせることができます。漫画の6と7コマのキャラが水槽の中の左右を見る動きがそうです。8と9コマの瞳に映った通り過ぎる魚の動きもそうです。面白くもなります。出来たら下書きしてペン入れをします。
バリエーション見本
漫画とは別の風景を使ってバリエーションを3つ作ってみました。漫画と同じように、見ている私とどこで何をしているのかの私が、2つ重なります。1つづつ説明します。
目(鏡面)と鳥が飛んでいる風景を交互に合わせました。女の子は鳥が左に飛んでいくのを見ていて、その前に立っています。見ている私と立っている私が2つあります。コツは反転させることです。
目(鏡面)と森の中の風景を。交互に合わせました。森の中の動物を目にしながら、女の子は森の中に入っていきます。見ている私と歩いている私が2つあります。動物の目を描いて、女の子を移動させると見られている感じが出ると思います。絵が下手でもこういう表現はできると思います。
目(鏡面)と星空の風景を交互に合わせました。星を見ながら女の子は落下していっています。星を見ている私と落下していく私が2つあります。女の子はクローズアウトで、鏡面(目)はクローズアップで絵が逆に拡大縮小されていっています。2つがすれ違うような効果が出来ると思います。
まとめ、型抜きクッキーに見立ててみるというアイデア
この漫画は型抜きクッキーの柄を見て、思いつきました。プレーンの白い生地とチョコレートの黒い生地のクッキーの真ん中を型で抜いて、それを入れ替えたクッキーです。
それは、内側と外側の模様の白黒が反転した2つのクッキーです。これを見て、同じ絵柄が反転することと内面&外観の表現がぴったりと収まるのではと、アイデアを閃きました。
ですので、こんなクッキーを並べたみたいになるように、漫画では背景の模様が反転しているようになるようにコマ割りしています。ですので、こういう内面と外観でもって“私”を表現するような、漫画を描きたい時、このクッキーのように絵柄の色が反転して見える、ということを意識したらうまく出来るのではと思います。
この記事はノートのマガジン、「サイレント漫画の作り方レシピ」の記事の1つです。1ページのサイレント漫画と、その漫画の描き方についての記事を書いて、まとめています↓
お役立ちリンクです。漫画技法「カットバック」を使った、作り方レシピはこちらです↓
漫画技法、「固定アングル」を使った、作り方レシピはこちらです↓