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追いかけアクションシーンに関する補足
サイレント漫画の作り方レシピ「赤い木の実」で追いかけアクションシーンの描き方をやってみましたが、誰かが誰かを追いかける「追いかけ」という方法には特殊な効果があると思います。
下の2つの漫画で説明しようと思います。
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「1匹の猫」と「白猫と黒猫」2匹の漫画です。下のが「追いかけ」表現になっていますね。この2つの漫画が同じ構図になっているのにお気づきでしょうか。
この漫画はある漫画の技法の考察をしようと同人誌を書いたことがありまして、そこに載せた漫画の1つです。そこにこの漫画の説明文を書きましたので、そのまま下に載せます。
「子猫の追いかけっこ」 によるデータの圧縮
上の段の作例〈一匹の猫〉は、1匹の猫が動いていく様子を残像というオノマトペを使って 1コマに2視点で描いたものです。下の段の〈白猫と黒猫〉は、タイトルどおり白猫と黒猫 が動いていく様子を1コマに2視点で描いたものです。
この2つの作例は、何が同じで何が同じでないでしょうか? 答えは、構図と猫が動いていく動きの道順は同じです。違うのは 猫の数が1匹と2匹であるということです。 いったい何が起こっているのでしょうか?
動きの量で考えると〈白猫と黒猫〉は2匹になっていますので、〈1匹の猫〉の2倍です。 ですが〈白猫と黒猫〉では1匹分の動作を〈1匹の猫〉の半分、 1視点分のみで表現してい ます。それでも、白と黒の猫達は〈1匹の猫〉と同じ動きをしている様にみえます。
さら に漫画ですから、〈白猫と黒猫〉ではキャラクターとしての心の動きも2つ追って読むことになります。
このように〈白猫と黒猫〉では沢山の情報の省略、データの圧縮の様なことが起こっています。 左の作例〈2視点の流れ〉の上の段でも使っています。何かが何かを追いかけるというこのような構図は、うまく使うと沢山の動きを省略できます。
以上です。レシピ漫画「赤い木の実」では、リスが木の実を追いかける表現に、パズルつなぎ(仮)という技法で素材の絵を繋いだと描いていますが、「追いかけ」るという方法になんか、色々見方や、やり方があるみたいです。
なんの漫画を読んで描いたのかは、もしかして再アニメ化された作品なので分かる人がいるかもと思います。高橋留美子先生「うる星やつら」です。この漫画を読んでびっくりするのは、本当に追いかけているという表現でキャラクターの関係性が描かれているところがあるなと思ったことです。
話は、変わりますが、「うる星やつら」では、キャラのこともよく考えて、いつか何か書いてみたいと考えています。具体的な「追いかけ」表現で描かれるキャラ相関の曼荼羅に、新しいキャラが放り込まれて‥といったちょっと呪術的にも思える表現をどうやって書いてるのかとかなんとかかんとか、よく考えていつか書いてみたいです。
「サイレント漫画の作り方レシピ」というマガジンをコツコツ書いてます。追いかけアクションシーンを使った「赤い木の実」というのはこちらです↓
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