森田七海

酒飲みの旅人です

森田七海

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「星のや 軽井沢」

「母なる海」という人は言う。しかし森もまた、ひとつの小宇宙。海が母性の象徴だとすれば、森もまた生命を育み、生命が還る場所。緑の息吹に包まれ、無心に森の中を歩くのは楽しい。でも、川のせせらぎと雨音を聞きながら、深い森に包まれて眠りにつく以上の幸せはない。心も身体も浄化され、まるで新しい自分に生まれ変われたかのように思えてくる。 先日、「星のや 軽井沢」で過ごした一夜の記憶があまりに強烈過ぎて、まだ消化できないでいる。東京で過ごす日々は享楽的で楽しいけれど、空虚でもある。それを

    • 【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑨】スリランカのアーユルヴェーダで身体も心もデトックス

      鳥の声で目を覚まし、海風を感じながら朝ヨガ。南国のフルーツやエキゾチックなスープの朝食後は、アーユルヴェーダのトリートメント。 あとは、ビーチをお散歩したり、椰子の木陰でお昼寝したり、プールサイドで本を読んだり。水平線に沈む大きな夕日を眺めたら、瞑想の時間。 食事は毎食スリランカカレーとサラダだが、日替わりなので全然飽きない。いや、毎食おいしすぎて食べすぎる。 かのアマングループもお手本にしたという建築家ジェフリー・バワが手掛けたコロニアル調の優美な空間はどこを切り取っ

      • 【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑨】「人が優しくて食べ物がおいしくて物価が安い!旅人の天国…ジョージア編(終)」

        ジョージア(当時はグルジア)に初めて興味を持ったのは、90年代に見たニコ・ピロスマニの展覧会だった。そして、のんしゃらんとした独特の作風が大好きだった映画監督のイオセリアーニもまた、ジョージアの出身だ。 ジョージア最終日は国立ギャラリーで、ピロスマニと再会。改めて見ると、クヴェヴリとか水牛の角でできたワイングラスとかが描かれた絵が多く、ジョージアの暮らしにワインやスプラ(宴会)が根付いていたことが、よくわかる。 それを改めて実感したのが、ジョージア最後のランチだ。 トラブ

        • 【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑨】「ジョージアの豊かな食卓編」

          ジョージアのご飯は本当においしかった。宿の朝ごはんからして、シンプルながら大地の豊かさを感じられるものばかり。 名前もかわいい「ハチャプリ」は、ジョージア版ピザといったところ。チーズをのせたもの、はさんだもの、巻いたものとスタイルもさまざま。 巨大な小龍包のようなジョージアの国民食「ヒンカリ」も、たっぷりとジューシーなフィリングがいろいろ。私はきのこのヒンカリが好きだった。 香草やナッツを多用するジョージアの料理は重層的ながら、素材の旨味がたっぷりで、どこかほっとするよ

        • 「星のや 軽井沢」

        • 【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑨】スリランカのアーユルヴェーダで身体も心もデトックス

        • 【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑨】「人が優しくて食べ物がおいしくて物価が安い!旅人の天国…ジョージア編(終)」

        • 【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑨】「ジョージアの豊かな食卓編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑧】「雄大なるコーカサス山脈へ…ジョージア編」

          2日目はジョージアワインの郷カヘティへ。タクシーを強力に勧められたが、お金がないので乗り合いバスでテラヴィへ向かった。バスの出発を待つ間、隣にあった市場をのぞく。ハーブやスパイスは豊富だが、魚は冷凍か塩漬けで、肉も冷凍が多い。 何より、バスに乗る前に行った市場のトイレが衝撃だった。表とはビニールカーテン一枚で仕切られた掘立小屋。中には個室がふたつあるが、ドアがない!次の人がカーテン開けて入ってきたら、外から丸見え。隣ではおばさんがうなりながら大の途中。使用後はバケツの濁り水

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑧】「雄大なるコーカサス山脈へ…ジョージア編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑦】「がーまるちょば!人とワインに、ほっこり…ジョージア編」

          お金とカードがないとこんなにも心細いものか。トビリシ空港で10ユーロだけ両替し、空港から市内までバスで1時間。でも、バス代はたった0.5ラリ(20円!)。ああ、助かった~ しかも、コインが0.3ラリしかなくて困っていたら(お札はあったけど両替ができない)やりとりを見ていた女の子が「私が出すわ」とお財布を取りだし、それを制して運転手さんが差額を払ってくれた。人の悪意に落ち込んでいただけに、感激しきり。 さらにバスから降りて宿へと歩く中、階段でスーツケースを持ち上げようとした

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑦】「がーまるちょば!人とワインに、ほっこり…ジョージア編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑥】「すっかり油断してました…アテネ編」

          サントリーニを朝6時50分に出て、8時にはアテネ着。次のフライトは深夜便なので空港に荷物を預け、パルテノン神殿を見に行こうと街へ出る。アテネには、トリエステ時代にご一緒したお友達が住んでおり、10年以上ぶりにお会いできることを楽しみにしていた。 ところがこの日は独立記念日で、神殿はクローズド…なんてタイミング悪いんだ。その代わり博物館には無料で入れたが、やっぱりアクロポリスに立ってみたかった。 11時から町の中心で独立記念日のパレードがあると聞き、わくわくしながら場所取り

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑥】「すっかり油断してました…アテネ編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑤】「風も人も冷たかったサントリーニ島編」

          セドナから空港まで車で2時間。フェニックスからロンドンまで10時間、ロンドンで5時間トランジットして、また4時間飛行機に乗り、アテネ到着は深夜1時過ぎ。サントリーニ島行きのフライトは翌朝10時。深夜に街に出るのも怖いので、またもや空港泊。心地よさそうなところは全部占領されていたので、空港ホテルのロビーへ潜入し、ソファーで座ったままうとうとした。 宿は、サントリーニ島で一番フォトジェニックなイアの街。青い空と白い壁。3月ですら、眩しいほどのコントラストは、どこを切り取っても絵葉

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅⑤】「風も人も冷たかったサントリーニ島編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅④】「光と影が織りなす幻想の世界~アンテロープキャニオン編」

          セドナ2日目はアンテロープキャニオンへ。車がないのでツアーに入ったら、まだ真っ暗な朝5時半にスタートし、高度2000m超の大平原をひたすら突っ走る。朝はヒーターが必要なほど冷え込むのに、昼はクーラーがないと暑くてしょうがない。さすが砂漠。 最初に訪れたホースシューベントは、高所恐怖症にはスリリングすぎて顔がこわばる。 幻想的な写真であまりにも有名なアンテロープキャニオンは、現物よりも写真のほうがずっと美しい。ナバホ族のガイドさんが教えてくれた設定にして、指示された場所に立つ

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅④】「光と影が織りなす幻想の世界~アンテロープキャニオン編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅③】「聖地というよりディズニーランド~セドナ編」

          イースター島からサンチアゴまで4時間半、さらにサンチアゴからロサンゼルスまで11時間。入国に並び、荷物チェックインに並び、セキュリティで並びを繰り返し、LAXからフェニックスへ飛行機で1時間。そこからまたシャトルタクシーで2時間かけてようやくセドナへたどり着く。 少しでも安くと乗り合いシャトルを選んだところ、ぐるりと遠回りされたのには参ったが、ホテルが高いセドナでAirbnbを選んで大正解。センスのいいお部屋に、地元のクラフトビールまで用意してくれていた。 ただ、セドナの

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅③】「聖地というよりディズニーランド~セドナ編」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅②】「やっぱり島が好き~イースター島編②」

          2日目は、島の南東部を回るツアーへ。私と同じ日に到着した卒業旅行中の大学生(バイトではなく、「株で」60万円貯めて南米に来たそうだ)も免許がないとのことで、一緒にツアーに入ることにした。ファンキーなガイドに、サルディーニャから来た女性とマドリッドから来た男性、ベルギー人夫妻など8人でこじんまり楽しかったが、80ドルもする高い入園料をとっておきながら、さほどきれいでもないトイレに500ペソ(80円)をとるとはけしからん。 巨大なモアイが15体、海を背に並んだイースター島最大の

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅②】「やっぱり島が好き~イースター島編②」

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅】「やっぱり島が好き~イースター島編①」

          チリの首都サンチアゴから飛行機で6時間。タヒチとチリのちょうど真ん中にあるイースター島は、まさに絶海の孤島。南国の濃い緑に囲まれた空港に降り立つと、アメリカ大陸にはない湿度と暑さ。どこか懐かしさに包まれる。空港の雰囲気もゆるくて、まるで沖縄に来たようだ。 イースター島には信号がない。映画館もない。本屋もない。道端には野良犬や野良猫だけでなく、野良馬や野良鶏がうろうろしている。いっそ人を見かけるより、動物の方が多いくらいだ。島で唯一の「メインストリート」ですら見事に何もなく、

          【Life is Journey:世界一周癒しの旅】「やっぱり島が好き~イースター島編①」

          【Life is Journey:世界一周~心と身体、癒しの旅】②トランジット

          羽田を12日の朝出てニューヨークに同日着、そのままマイアミへ飛び、(パッカー時代のように)ドミトリーで一泊。また8時間飛行機に乗って、ようやくチリの首都サンチアゴへたどり着いた。 イミグレ抜けたのが夜の9時、イースター島へのフライトは翌朝6時半なので、(パッカー時代のように)空港で一晩過ごすつもりでいたが、スーツケースは午前4時まで預け入れできず、搭乗券は持っているのに、安全な搭乗エリアに入れないのは想定外だった。仕事するつもりだったのに電源も机もチリ人に占拠され、なによりも

          【Life is Journey:世界一周~心と身体、癒しの旅】②トランジット

          【Life is Journey:世界一周~心と身体、癒しの旅】①プロローグ

          ワインと洋酒の業界紙記者をやっていると、繁忙期にはアポが一日5件ということも珍しくない。もちろん駆け回って取材するだけでなく、それを翌日に間に合うように記事にしなくてはならない。 「なんでこんなに忙しいの~」が口癖になり、昼は取材に駆け回りながら夜は原稿に追われ、夜も「to do list」を考え出すとほとんど眠れず、気の休まる時がない毎日。「働き方改革」なんてこの日本では絶対にありえない。 いろいろあってたまりにたまった代休と有給を消化するために、せっかく世界一周を企画

          【Life is Journey:世界一周~心と身体、癒しの旅】①プロローグ

          ラオス~メコンの流れにたゆたう時間⑥

          ラオスではどこへ行っても鮮やかなオレンジ色の袈裟をきた僧侶たちを目にする。ラオスにストリートチルドレンや物乞いがいないのは、お寺が貧しい子どもたちの受け皿になっているからだ。 まだ日の上がる前の早朝から家々を回る托鉢は、ラオスの風物詩で、中でもお寺の数が多いルアンパバンが有名だが、今朝出かけてみてあまりの変わりように衝撃を受けた。 メインストリートに一分のすきなく並べられたビニールシートとプラスチックの椅子。煌々とライトが連なる下にずらりと並ぶのは、すべて欧米や中国の観光

          ラオス~メコンの流れにたゆたう時間⑥

          ラオス~メコンの流れにたゆたう時間⑤

          4日目の朝はラオ人に誘われて、なぜか見知らぬ人の結婚式に参列。にぎやかな音楽と友人らに囲まれた新郎が新婦の家に到着し、ありがたいお言葉を聞いたあとは、幸せを祈る「バーシー」という糸を参列者に巻いてもらう流れだが、儀式に参列する人はごくわずか。儀式が始まる前から、屋外では盛大に用意されたテーブルで皆、大いにビアラオ飲んで料理を食べて大騒ぎというのがラオ式らしい。 お昼前からじゃんじゃんビアラオが空く。新郎の叔父によると、一人あたり大瓶5本計算で30ケース用意したが、足りないか

          ラオス~メコンの流れにたゆたう時間⑤