デンマークの年金受給年齢は69歳
日本でいろいろ物議をかもしている年金制度ですが、超高齢化社会の日本において、年金の受給開始年齢が65歳って早くないですか?
それどころか、いまだに定年退職を60歳に設定している企業も多いと聞いて驚きです。
デンマークに限らず、多くの欧米先進諸国では、職場における定年退職年齢 (mandatory retirement)は、すでに撤廃されており、年齢を理由に退職を強要するのは違法とされています。
ただし、デンマークであっても、実際には60代後半になると自発的にリタイヤする人も結構います。たとえ自らそうしなくても、雇用者側はいろんな理由をつけて(リストラとか組織改正とか)年長者から切り捨てていくので、よほどのハイ・パフォーマーでない限り、淘汰されていきます。
私の印象では、手厚い年金があるのにもかかわらず、たいていのデンマーク人は少しでも長く働きたがる感じがします。それぞれ個人的な理由はあるでしょうが、結局のところは、物価・生活費が高いからではないかな、と思います。(そんな単純なことではないかもしれませんが)
ちなみに、デンマークにおける現行の公的年金受給年齢は以下の通りです。 1955 年 1 月 1 日 - 1955 年 6 月 30 日に出生した人:66歳6ケ月
1955 年 7 月 1 日 - 1962 年 12 月 31 日 出生:67歳
1963 年 1 月 1 日 - 1966 年 12 月 31 日 出生:68歳
1967 年 1 月 1 日以降:69歳 (将来の物価指数による)
とすると、私がデンマークで働き続けた場合、年金がもらえるのは69歳からになります。あと 10年以上もある…。
働くのはいいんですよ。学術職を続けられるのであれば続けたいです。
それに、仕事をしなくなったら退屈そうだし、ボケそうだし、早期リタイヤとかにもあまり魅力を感じません。
心配なのは、はたして69歳まで現職を続けられるか、です。
以前にも書いたように、デンマークは、雇用者にとって従業員を解雇しやすい仕組みになっています。中途半端な年齢で失業したら一大事です。なにせ、年金で生活するには 69歳まで待たなくてはいけませんから。(日本同様、受給開始の前倒しもできますが、そうすると年金額は激減します)
この状況を知らずしてデンマークを理想郷のように語るなかれ、って感じです。
繰り返しになりますが、日本は超高齢化社会で、その上、人手不足なのに、年金の受給開始年齢が65歳って早すぎる気がします。日本こそ、定年制度を撤廃して、年金受給開始を遅らせるべきなんじゃないかと思うんですが、まぁ、なにもかも経済理論だけで決められることではないんでしょう。
とくに、日本のように、長時間労働や待遇格差が激しい労働環境だと、一刻も早く仕事を辞めてリタイヤしたい、という人が多いのも分かります。
でも、多くの人は、社会と関わり、かつ、何らかの役に立っていたいという思いを持っています。ようは、「やりがい」や「生きがい」を何に見出すか、に尽きるんじゃないでしょうか。
働き続けるにせよ、リタイヤするにせよ、必要なのは、60代や70代でも選択肢がある状況と、生きがいを感じられる生活だと思います。
これらは、特定の国に存在するというわけではありません。北欧だろうがデンマークだろうが、選択肢も生きがいもなく窮々としている人はいます。
結局は、自分で作り上げていくべきものです。
60代というのは、自分がそれまで生きてきた歩みと、今後の展望を見つめ直す時期なのかもしれません。私にとってはまだ数年先ですが、心して迎える準備をしたいと思います。