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英語のフィラー(つなぎ言葉)
前回、「しっかり」という言葉が、会話中の合いの手というか、つなぎ表現になって濫用されている、と書きました。
ですが、「間(ま)」を取るためのつなぎ表現として最たるものは、多分、「あのー」とか「えーっと」でしょうね。英語でもこれはあります。「フィラー (filler words)」と言います。
結論から言うと、使わないほうがいいです。プレゼンテーションの時だけでなく、日常会話の時でも、最小限におさえるべきです。
フィラーは、本人は気づかなくても、聞く方からすると、かなり気になります。とくに、プレゼン慣れしていない中年男性にフィラーを多様する人が非常に多い。どういうわけか、これは国籍を問いません。
あと、英語圏でよくあるのが、語尾の「you know?」。これは、くだけた会話の中では普通に使われますが、たまに、これを使いすぎる人がいます。
文字通り、「知ってる?」という意味で使うこともありますが、同意を求めて「わかる?」「わかるよね?」というニュアンスで使われる方が多いように思います。
たまについ口をついて出てしまう、とか、一つの表現法として意図的に使う、というのなら構わないでしょうが、多くの人はたいてい無意識に言ってしまっています。それも結構ひんぱんに。
知人のイギリス人男性がそうでした。そこそこ年配の人でフレンドリーなのは良いのですが、機嫌よく話し出すと、なんならすべての文章の末尾に、いちいち「you know?」をつけて承認を求めてきます。
その口癖があまりにひどいので、私が一度、会話の途中で、
「Sorry, but I-DON'T-KNOW」と噛んで含めるように返事をしたら、ハッと我に帰ったかのような表情をして「ごめん、家族からもよく言われるんだよね…」とバツが悪そうにしてました。
いや、謝らなくたっていいのよー、なにもそれを指摘するつもりじゃなかったしぃ(つもりだったけど)。
一方、英語圏の若い子が最近よく使うフィラーが、「like...」です。日本語だと、「~みたいな」という若者言葉に相当すると思います。
デンマーク人の学生の中には、それをマネして同じように「like...」を頻繁に使う子がいて困りものです。
映画やテレビの影響なんでしょうが、若い世代はどうも、その言葉使いが適切かどうかをよく考えずに、流行りの言い回しを猿真似しがちです。とはいえ、それって外国語を習得する早道でもあるので、いっさいがっさい否定する気はないですが。
なぜフィラーを使ってしまうのか
日本語でも英語でも、会話やプレゼン時にフィラーが多い人は、単なる口癖である場合のほかに、「自信がない」、「話す内容をよく理解していない」、あと、「沈黙が怖い」というのがあると思います。
これらの要因は訓練や練習で確実に克服できます。訓練とまでいかなくても、ちょっと心持ちを変えるだけでも、かなり改善されると思います。
その心持ちというのは、「沈黙は怖くないし、むしろ普通の会話の中では、しばし沈黙する時間があって当然である」。
「間(ま)」は、話し手だけでなく、聞き手にも必要です。耳から得た情報を消化・把握するためです。
現在のような情報過多の時代に生きていると、void (空白)はとにかく埋めないといけないような強迫観念に見舞われがちですが、そういう考えは捨てましょう。
話が続かない時は無理して続けなくてもよい、と開き直るくらいで調度いいんじゃないでしょうか。