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いくら親しい相手でも、お金を預けてはいけない

大リーグの大谷選手が巻き添えをくったとされる最近のニュースで、自分が経験したことを思い出したので書いておきます。(大谷選手と彼の通訳であった水谷氏については、今後どういう展開になるかわからないので、ここでは特にとりあげません)

私には姉が二人いるのですが、子供の頃は、圧倒的に下の姉と仲が良かったです。まぁ年齢が近かった(2つ違い)というのもあるし、下の姉は人当りもよく、誰にでも合わせられる人です。つまりは私と真逆で、誰にでも好かれるタイプです。どんな話でもうんうんと聞いてくれ、つらい時には励ましてくれたりもしたので、自己中でお姫様タイプな上の姉よりも、下の姉のほうが好きで信頼もしていました。

とはいえ、私は大体において家族とは疎遠で、大学を卒業後、会社づとめを始めてすぐに一人暮らしをはじめ、ほどなくシンガポールに移り、その後、実家には立ち寄らずにシンガポールから直接イギリスに移住しました。疎遠というか、縁が切れた状態ですね。家族内での揉め事に関わりたくなかった、というのもあります。

まぁそんな状況だったので、はじめて実家に帰省したときは、家を出て以来10年くらいたっていました。(その辺については、別ページの過去記事で書いています。)

その記事には書いていませんが、この時、私が久しぶりに帰ってくるというので、地方に嫁いだ下の姉も実家に帰省していました。実家では、上の姉が旦那さん(私の義兄にあたる)と彼ら夫婦の子供達とともに、私の両親と同居してくれていました。

で、この、久しぶりに葉隠家が一同に集まった際、私は、当時まだ持っていた日本の銀行口座の通帳とカードを下の姉に預けています。20年以上前のことです。


なけなしのお金を姉に使い込まれた

当時、私はまだイギリスで博士課程の真っただ中でした。給付型奨学金をもらっていたとはいえ、すでに30才を過ぎていて先行き不安な状況でした。日々の生活は、現地の手持ち資金でまかなって、日本に残してきた貯金には手を付けまいと、かなり必死でやりくりしていました。

それならば、実の姉とはいえ、なぜ通帳とカードを渡すなどどいう軽卒なことをしたかというと、わたし宛にたまに日本に届く郵便物を、私のイギリスの住所に転送してもらっていたからです。

イギリスで購入できない書籍なんかはネットで買って日本に届けてもらい、それを下の姉が他の郵便物とまとめて、定期的にイギリスあてに送ってくれていました。定期的に、といっても、年に1,2回あるかないか程度ですが、結構助かっていました。

なので、それまでにかかった郵送料分については、その帰省した際に、下の姉には現金で多めに手渡して返金した上で、「今後、わたし宛に海外配送することがあったら、その送料は、私の口座のお金で払っていいからね。」そう言って、通帳とカードを下の姉に渡しました。

その後、私は博士号を無事取得し、イギリスのとある大学でポスドク(博士研究員)の職を得ました。イギリスで生きていこう、生活の基盤はもう完全にイギリスに移し、自分のものは全部手元で管理しよう、そう思いました。

そこで、下の姉に連絡し、「預けてあった通帳とカードを返してほしい」とメールしたところ、姉から返信は、一言、「なんで?」

は? 「なんで」ってなんで? 私の通帳じゃん。
生活が落ち着いてきたから自分で管理したい旨を返信すると、数週間後、姉から、私の通帳とカードが普通郵便で送りつけられてきました。なんのメッセージも同封されずに。Eメールでのフォローも一切なしです。

なんかいつもと様子が違うな、と思いつつ、何気なく通帳を開くと、少額ながらも、めっちゃ頻繁にお金が引き出されてる。5千円から1万円単位で引き出しているところをみると、買い物に使ってるっぽい。

なにこの使途不明金…。それも、通帳とカードを渡した直後から始まって、2年足らずのうちに合計30万円くらい。この期間に、日本からの海外発送や手数料がかかるようなことを彼女がしてくれたことは一切ないです。

30万円程度でガタガタいうな、とおっしゃる方もいるかもしれませんが、ここでの問題は金額だけではありません。

最も信用していた人に裏切られたショックで、私は彼女に直接連絡して説明を要求することすらできず、しばし混乱したまま、通帳の記録を呆然と見つめていました。

所有権を理解しない人に金銭を委ねてはいけない

ちなみに、ドジャースの大谷選手の収入からすると、彼の口座から無断で送金されていたとされる6億8千万円は、庶民の収入レベルに換算すると、30万円くらいに相当するそうです。どういう計算か知りませんが。

ただ、繰り返しになりますが、ここでの問題はむしろ心理的なショックです。

下の姉は、私が当時金銭的にカツカツであることを知っていました。そもそも、仕事を辞めて外国で孤軍奮闘している妹にたいして、そんなことする?と疑問ばかりがわいてきて、いまだにこの件について下の姉に言及したことはありません。

もちろん銀行口座には名義がありますが、お金そのものには名前が書いてないし、ネット上での金銭は数字にすぎないので、所有権の認識が乏しい人は、お金の管理を任されると、その信頼につけこんで、「管理を任された」イコール「自分の判断で勝手に使っていい」と拡大解釈します。

親しい人・関係が近い人ほど、「長い付き合いだし」、「いろいろしてあげてるし」、「仲いいから」、だから使っても許される、なんなら自分にはその権利がある、と思う人すらいます。まさか信頼していた下の姉が、このタイプだとは思っていませんでしたが。

思うに、問題に気付いた時、すぐに問いただせばよかったんだろうと思います。今となっては時間がたちすぎて、ほじくり返すのもはばかれます。

残念なのは、私の中で、もはや下の姉は「信頼できない人」のカテゴリーに分類されてしまっていることです。これは多分もう変わらないです。

でもまぁ、彼女の失態をここでさらしたわけなので、そろそろ水に流すべきだろうな、とも思います。私自身の精神衛生のためにも。


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