岡田 雪

デザイナー&ライター。アート・工芸・写真・音楽・育児のことなどを、能登半島の生え際から、気の向くままに。

岡田 雪

デザイナー&ライター。アート・工芸・写真・音楽・育児のことなどを、能登半島の生え際から、気の向くままに。

マガジン

  • 200サロン島便り

    • 96本

    #200サロン に集う、個性豊かな面々のnoteを集めました。海の向こうにはこんな島があったんですね。

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あの日の後悔、明日への希望

こんなにも会えないのなら、あのときのあの時間を、もっと楽しんでおけばよかった。 ドタキャンした飲み会、ちょっと無理してでも行けばよかった。 うるさいなー、バラエティ嫌いなんだよねってスカしてチャンネル変えたバカ殿、素直に笑って見とけばよかった。 あのとき、酔いつぶれて寝たりしなきゃよかった。顔を合わせて他愛無い話に花咲かせるあの時間を、もっと大事にすればよかった。 月に一度しか開かない店、今月でも行けるけど来月でいいやって行かなかったのに、来月も再来月もやってこないじ

    • 2020年、春。

      愛でられることなく落ちた桜を、拾い集めて水に浮かべる。 今年の桜は今年にしか咲かなかった。 2020年の春、高校3年生だった女の子が書いたnoteが目に留まった。 彼女は管弦楽部で、部活動に青春を捧げているタイプの高校生だった。 3年生になれば、最後の演奏会に向けて練習三昧の熱い日々が待っている。 どんな結果でもやり切って、清々しく感動の涙を流し、悔いなく引退するのだ。彼女も、当然のようにそう思っていた。 しかし、3年生になった春、コロナがやってきた。集大成である演

      • あの夏の夜、車内で起こった小さな革命の話 #私のイチオシ

        「MOROHAって知ってる?私、あの人たちのライブにも行きたいんだよね」 2019、夏。朝から晩までおどり揺られて楽しんだフェスの帰り道だった。車で友人を送り届ける道中、楽しかったねぇ、またライブ行こうねと話していた流れで、友人が言った。 モロハ?聞き覚えのない名前。知らないと答える。 「ラップの人とギターの人なんだけど、めっちゃいいんだよ」 「へー」 信号待ちでiTunesを起動。検索するとすぐに出てきた。「革命がいいよ」との友人の言葉に、Top Songsに表示

        • 「わたしがお嫁に行くときは、この筆で紅をさしてね」

          なんて、3歳の次女がいうわけはないんですけども。 長女が生まれたころ、友人からこんな話を聞きました。 「こないだね、友達の結婚式に行ったの。 その友達はね、結婚式が始まる前に、お母さんに口紅を塗ってもらったんだって。 赤ちゃんのときに初めて切った髪で作った紅筆で」 な、なにその感動的な儀式は…!! そんなシーン、想像しただけで泣いちゃう。 初めて切った髪の毛で作る筆を、胎毛筆というらしい。 美容院で「赤ちゃんの筆」が作れることは知っていたけど、 「それ作っていつ使うの

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        あの日の後悔、明日への希望

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        • 200サロン島便り
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          晩夏の宵、おわらの夢が見たい。

          今年も「おわら風の盆」が終わりました。 この祭りに魅了されて以来、毎年8月末から9月頭は、狂ったように毎晩富山へ通うのが恒例です。 今年も、前夜祭11日間、本祭3日間。それはまるで、靄の中に浮かび上がる夢のような2週間でした。 〜〜〜 おわら風の盆の舞台は、富山市八尾という小さな町。 積み上げられた石垣の上に町家が連なる、風情ある宿場町です。 この時期、八尾は一帯を「おわら」の空気に包まれます。 情緒、静寂、哀愁、妖艶、哀調、気品、優雅、叙情… 多くの人が、おわらの空気

          晩夏の宵、おわらの夢が見たい。

          金沢から岡山へ、女ひとりリトルカブで走った2日間450kmの旅路 ~後編~

          10年前の夏、女子大生だった私は、思い立って金沢から岡山までカブで帰省しました。大きなザックを荷台にぐるぐるとくくりつけ、地図片手に原付ツーリング。トラブルを人情(?)で乗り越え、なんとかたどり着いた中間地点の琵琶湖。48時間の旅の後半戦、そしてその後のお話です。 前編はこちら。 峠を越え、眼前には琵琶湖。450kmの旅も折り返しです。 日も暮れてきたので、琵琶湖沿いでひとやすみ…が、しかし! 宿は漫画喫茶。なのにうっかりリゾート温泉施設へ1日目の宿は、琵琶湖沿いの漫画

          金沢から岡山へ、女ひとりリトルカブで走った2日間450kmの旅路 ~後編~

          金沢から岡山へ、女ひとりリトルカブで走った2日間450kmの旅路 ~前編~

          ちょうど10年前、大学4年生の夏のこと。 ふせんだらけのツーリングマップル片手に、金沢を出発しました。目に映るのは、朝なのに黄昏時のような感傷的な景色。ジェットヘルメットに付けた、オレンジ色のバブルシールドのせいです。 カブに乗れば、どこにだって行ける。排気量50cc、赤と白のリトルカブ。 スーパーカブより丸っこく、かわいらしいボディの原付バイクです。 運転免許を取得した翌日、中古車ショップで買いました。 きゅっ!と右手のアクセルをひねり、ガチャコン!と踏み込んでギアを変え

          金沢から岡山へ、女ひとりリトルカブで走った2日間450kmの旅路 ~前編~

          デザイン心理学で解き明かす「インスタ映え」。1秒で「いいね」を判断する「流暢性」とは?

          本当に「良い」写真って、どんな写真なんでしょう。 解釈は見る人の自由です。しかしその真意は、その写真の撮影者にしか分からないものだと思います。 ではなぜ、インスタグラムでは「いいね」がたくさんつく投稿と、つかない投稿があるんでしょうか。 それは、「処理流暢性」の差。 つまり「理解しやすいものに好感を持つ」という人間の心理(というか脳)によるものなんじゃないでしょうか。 気になっちゃう「いいね」の数私はカメラオタクなんです。 日々、街中で持ち歩いていると二度見されるレベルのご

          デザイン心理学で解き明かす「インスタ映え」。1秒で「いいね」を判断する「流暢性」とは?

          ダークサイドから帰還して覚醒した話。

          2018年11月、人生うまくいかないもんだなと思っていました。 中小企業の会社員として働きながら感じていたのは、そこはかとない物足りなさと、未来への不安。ちょうどこのころ、会社で人事異動があったことも重なりました。内情がガラリと変わってしまい、社内での自分の立場も揺れ動いていたのです。 自分の力ではどうしようもない。自分がひどくちっぽけで価値のない人間に思えて、どうしようもなく落ち込む日々でした。定期的にダークサイドの住人になる私ですが、今回はどうやら数年に一度の深淵。この

          ダークサイドから帰還して覚醒した話。

          父の死で人生観が変わった話

          ちょっとした身の上話です。 私の実父は、47歳で亡くなりました。私が高校3年生のときでした。 父の突然死は、私の人生に多大なる影響を与え続けています。 葬式くらいは行ってやるよ私が10歳の頃、両親は離婚し、私は母の元で育てられました。 しばらくは父との面会もありましたが、私が中学生になる頃には会わなくなっていました。 父はすこしばかり、暴力的な面がある人でした。 だから私は当時、両親が別れて良かったとすら思ったんです。 それでも、血のつながった生みの親。 もう会うことはな

          父の死で人生観が変わった話

          言語化は自分にとって原点回帰である、という話

          ライター業を始めて3か月が経ちました。 文章を書くということは、私にとって本当に楽しいことです。 ふと、もしかしたら昔から「書くこと」って自分の中では大きな軸だったのかも?と思い始めました。 今思えば、特技だったのかもしれない小さい頃から、文章を書くことが好きでした。 学校のテストでは算数は10点、国語は100点。(ザ・文系) 受験科目でも、小論文は得意でいつも高評価をもらえていました。 そういえば、創作の物語を書いていた時期もあったっけ…(根暗な中学生時代) でも正直、

          言語化は自分にとって原点回帰である、という話

          ライター業を始めて、キッチンドランカーを辞めた話

          キッチンドランカーを卒業しました。キッチンドランカーだったのです、私。 お酒が好きです。 とくにビールが。 毎日、17時に会社を退勤し、娘たちを保育園に迎えに行きます。 17時半に帰宅して、ざっと片付けて、キッチンに立つと同時に缶ビールをぷしゅっ。 ほろ酔いで夕飯を仕上げ、家事を済ませて娘たちを寝かせます。 娘たちが寝たら、ハイボールへ移行。 ウイスキーを炭酸とレモンで割り、そっと混ぜます。 沖縄の海を思い出す青の琉球グラスに、琥珀色のブラックニッカ。 自分で作ると、つい

          ライター業を始めて、キッチンドランカーを辞めた話