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キャリコンことば辞典その6:「自己紹介」と「自己PR」…どちらも面接で聞かれるけど違いって?
キャリアコンサルティングの相談に限りませんが、就活する上で避けて通れないのが「自己紹介」と「自己PR」。
学生ならエントリーシート(ES)で、社会人でも転職する際には職務経歴書などの書類に記載しているでしょう。
さらに、面接では…
「自己紹介をお願いします」
「あなたの自己PRは?」
「あなたの長所・短所を教えてください」
と聞かれたことがあるのではないでしょうか。
でも、一見すると「自己紹介」と「自己PR」はどちらも同じような内容に感じます。その違いを説明するのは、人事担当者でも案外できないことばです。
この記事では、キャリアコンサルタントの視点から「自己紹介」と「自己PR」の違いについて考察します。
どちらも自分について伝えるのは同じだけど…
「自己紹介」と「自己PR」は、どちらも自分のことを伝えるものという点では同じ。しかし、その目的や伝え方が異なります。
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・「自己紹介」は自分の基本情報を伝えること
自己紹介は、面接に限りません。
新たに進学やクラス替えをした時、入社した時や異動・転職した時、初めての場所などでする機会も多いでしょう。
「自己紹介」は 相手に自分の基本的な情報を伝え、知ってもらうことです。
どこで「自己紹介」をするかにもよりますが、名前・所属・経験・出身・趣味など、相手に知ってほしい基本的な情報を簡潔に述べるのが一般的。
いわば「はじめまして、私はこういう者です」という挨拶のようなもので、相手に自分という存在を知ってもらい、良い第一印象を与えることが重要です。
・「自己PR」は、自分の価値を伝えてアピールすること
「自己PR」は、相手に自分の強みや能力をアピールし、自分の価値を伝えることです。
そのため、面接で聞かれた場合は自分のスキル、経験、実績などを具体的に説明し、なぜその企業で働きたいのか、どのように貢献できるのかをアピールすることが求められます。
多くの求人には、その企業が求めている人材像などが記載されています。
企業が求める人物像と自分の強みを結びつけ、どう貢献できるのか具体的に説明することが重要です。
数字やエピソードを用いて、より説得力を持たせることも求められます。自己紹介で述べた内容を深堀りして説明するケースもあります。
「自己紹介」と「自己PR」の具体例
では、具体的にどんな点が違うのか例文を使って解説します。
※あくまでも簡潔なものなので、実際に面接等で使う場合はしっかり作り込んでください。
・「自己紹介」の例文
「〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇と申します。〇〇を専攻しており、〇〇に興味があります。普段は〇〇をすることが好きです」
所属・名前・学生時代の専攻や勉強してきたこと・興味のあること・趣味などを簡単に述べ、それぞれの内容については深く話しません。
あくまでも簡潔に自分の存在を相手に知ってもらい、認識してもらうことが目的です。
・「自己PR」の例文
「私は、〇〇という経験を通じ、〇〇というスキル(経験)を身につけました。
このスキル(経験)を活かして、貴社の〇〇という業務に○○を生かして貢献したいと考えています。特に、〇〇という実績は、私の〇〇経験が発揮できると考えています」
自分の身に付けた経験やスキルなどを通して、志望企業でどのように貢献できるのか、どのように生かせるのかを分かりやすく説明しています。
抽象的だと、採用担当者は「もし採用しても、うちの会社で活躍してくれるだろうか?」と想像しづらくなり、選考突破が難しくなることも…。
場面で使い分けるのが基本だけど…
「自己紹介」と「自己PR」はどちらも重要です。
ただ、面接の場では「自己紹介をしてください」と言われたとしても「自己PR」だと考えたほうがいいかもしれません。
企業は、あなたのスキルや経験が、その企業の課題解決にどのように役立つのかを知りたいからです。不安な場合は、模擬面接などをやっておくと安心です。
「自己紹介」も「自己PR」も自分を伝える大切な手段。うまくできるようになろう!
「自己紹介」と「自己PR」の違いを解説しましたが、「自己紹介」はいつ、どこで求められるかわからないもの。
例えば、営業で新たな取引先担当に会った時、誰かから友人などを紹介された時…面接での「自己PR」は準備して臨むものですが、「自己紹介」はいつ必要になるか分かりません。
せめて、簡潔でもいいので「自己紹介」はある程度のテンプレートを持っておくと役立ちます。
私たちキャリアコンサルタントは、クライエント(相談者)の「自己PR」を一緒に考え、その人らしい素敵ないいところを見つけ、言語化するお手伝いも大切なことの1つです。
クライエントに向き合い、全力でその人らしさを見出し、クライエント自身が気付けるようなサポートをしていきたいと考えています。