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キャリコンことば辞典その11:「自己効力感」と「自己肯定感」どちらも自己に関する概念…違いは?

「自己効力感」や「自己肯定感」、最近どちらも色々なところでよく聞きますよね。
子育てや自分のマインド維持などだけでなく、時には恋愛相談や婚活の現場で言われることもあります。

キャリアコンサルティングの場でも、クライエント(相談者)の「自己効力感」と「自己肯定感」はとても大切なキーワード。
直接的にこのことばを使うことはないとしても、概念としてキャリア理論の中に出てくることもあります。

この記事では、キャリアコンサルタントの視点から「自己効力感」と「自己肯定感」の違いと効用について考察します。


「自己効力感」と「自己肯定感」の違いって?

「自己効力感」と「自己肯定感」は、どちらも自己に関する重要な概念。似たような意味に思われがちですが、それぞれ異なる意味を持っています。

自己効力感と自己肯定感の違い

・「自己効力感」は自分を信じる力、すなわち自信

「自己効力感」は、特定の課題や目標に対して「自分ならできる」と信じる力のこと。
自分が何らかの行動を起こすことによって、望ましい結果を得られるという確信を持つことだと言えます。

例えば、仕事で会議の前に「このプレゼンなら成功できる」と思ったり、入試や資格試験で「私はあの試験に合格できる」という風に、具体的な行動に対する自信のことを「自己効力感」と言えるでしょう。

・「自己肯定感」は私は私…自分を肯定的に捉えること

「自己肯定感」は、「自分は価値のある存在だ」と自分自身に対する肯定的な感情のこと。
自分の存在を認めて受け入れることであり、特定の行動や能力に限定されません。どんな状況でも、「私は私で良い」と思える心の状態が、高い自己肯定感と言えるでしょう。

例えば、自分の意見を堂々と話したり、失敗してもポジティブに捉えて前に進むことなどが挙げられます。
迷惑をかけない常識的な範囲で、自分はこのままでいいと短所も含めて受け入れられる度量のある状態です。

キャリアコンサルティングにおける「自己効力感」と「自己肯定感」

キャリアコンサルティングでは、「自己効力感」と「自己肯定感」はどちらもとても重要。
クライエント(相談者)が自身のキャリアを主体的に考え、行動していく上で欠かせない要素となるからです。

・目標設定と行動変容

「自己効力感」は、クライエントが新たなキャリア目標を設定し、それに向けて行動するための原動力に。
「自己肯定感」は、新しいことに挑戦する際の不安を軽減し、目標達成に向けて積極的に行動できるようにサポートするための鍵となります。

・キャリアの選択

「自己効力感」は、自分の能力や適性に基づいたキャリアを選択する際に、自信を持って決断できるように支援するために。
「自己肯定感」は、自分の価値観やライフスタイルに合ったキャリアを選択し、満足度の高いキャリアを築けるようサポートする鍵です。

・困難な状況への対応

「自己効力感」は、キャリアの転換期や困難な状況に直面した際に、問題解決能力を高め、乗り越えるための力に。
「自己肯定感」は、困難な状況でも自己を責めることなく、前向きに未来を見つめることができるようにサポートするために必要です。

・マズローの「自己実現理論」のピラミッドが当てはまる

国家資格キャリアコンサルタントの試験に、マズローの「自己実現理論」が出てきます。
その5段階のピラミッド(気になる人は検索してみてください)、自己肯定感が高まるにつれて、自己実現→自己尊重→自己受容→自己認識と段階が上がっていくイメージはまさに「自己肯定感」がキーワードとなってると言えるのではないでしょうか。

「自己効力感」と「自己肯定感」の関係

「自己効力感」と「自己肯定感」は、それぞれが独立して存在するものではありません。相互に影響し合っているものです。

例えば高い自己肯定感は、新しいことに挑戦する意欲を高め、自己効力感を育むことにつながります。
逆に、自己効力感が高まると、成功体験が増え、自己肯定感がさらに高まるという好循環が生まれることもあります。

片方だけじゃ足りない「自己効力感」と「自己肯定感」

「自己効力感」と「自己肯定感」は、似ているようで異なります。
その一方で、片方だけでは成り立たない一面も持っている概念です。

それぞれの違いを理解し、どちらを高めることが自分にとって大切なのかを考えることで、より充実した生活を送ることができるでしょう。
まずは「自己効力感」からかもしれませんね。
興味のある方は、たくさんの本が出ているので探してみるといいかもしれません。

ただし、キャリアコンサルティングで大切なのは、こうしたことばを使うよりもクライエントの発言であり、表現です。
キャリアコンサルタントとして、常にクライエントの発することばを大切にしていきたいものだと、いつも思っています。


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