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お金で測れないランドマークの「価値」

どうもハヂメだす。

僕が基本的に生活のベースにしている
「いちき串木野市」という町がある。
鹿児島県の左側(薩摩半島)の
だいたい真ん中よりちょい左上あたりにある町だ。

いわゆる平成の大合併で生まれた町で
旧市来町と串木野市が合併した町だ。
ちなみに「東市来」という地名は
隣の「日置市」に位置するということで
県民の中でも混同してしまっている人が多い。

人口は三万人を切っていて、
過疎化・高齢化も進んでいる。

さつま揚げとか焼酎とかマグロとか
「特産品」とか「食」に強い町だ。
最近では「ふるさと納税」にも力を入れている。

そんな「いちき串木野市」にある伝統行事の中に、
『さのさ祭り』というものがある。
五島列島等でも親しまれる「さのさ節」の派生とも言える
「串木野さのさ」という踊りのイベントだ。
歌詞は漁師の哀愁を歌っていて、曲調もどこか寂しげな歌だ。
古くはマグロ漁業者が歌ってきた、哀歌であり、
旧串木野市の港町を中心とした漁業文化でもある。

さのさ祭りの総踊りでは2000名超が市内を踊り歩く。
前夜祭は夏祭りで多くの露天が立ち並び、
市内イベントでもTOPクラスの集客率があるらしい。
(普段は閑静な商店街も、この日ばかりは歩行者天国になり大混雑する。老いも若きも大集結する。)

ちなみに前夜祭の方が本祭よりも盛り上がってる、と揶揄する地元の人もいるらしい。盛り上がり方の質がそもそも違うので比べるのもおかしな話ではあるのだけれども。地元の方が言うには、「昔はもっと盛り上がっていた」らしくて、花火なんかも上がっていたらしい。

「串木野さのさ」は、上の写真の衣装のような「傘」と、振付上で両手を上にかざすのが特徴だ。実はこの辺りは、この「串木野さのさ節」に併せて、景観を整えてあって、街灯も先述の振付の形になっている。
そして写真上部に大きくある「天蓋」は、
言うまでもなく「串木野さのさ」の傘を模して作られている。

ドリームキャノピー(夢の天蓋)という名が付いている。

下から眺めてみるとなかなか面白い。
(個人的には究極まで肉抜きをしたミニ四駆のボディを思い出してしまって、それだけでワクワクする。)

1991年に竣工されたもので、総工費もエグい金額らしい。
だいたい時代でイメージ出来ると思うが、
「ふるさと創生事業」とかそのへんの時代のことだ。

ちなみに夜はこんな感じでライトアップされて
めちゃくちゃ綺麗になる。
テキトーに構えて撮るだけで写真映えする。
光の加減が絶妙に美しいと思う。

いわゆる箱モノ的な、バブリーな時代の建造物。
まだ建築されて20年程度でしかないものではあるが、
ランドマークとして立派に機能しているのではないだろうか。

「ドリームキャノピ-」という名前で認知されているかは置いておいて、まちの景観としてそこに「在る」というのが大切なことだと思う。なにより、一つの祭り、そして文化の象徴であり、きっと僕らのような平成生まれの世代からすれば「あって当たり前」の景色になってる訳だから、おそらく地元の人の中には夏祭りの景色とこの建物が紐付いて刷り込まれている人だっているのだろう。それって凄く僕は素敵なことだと思う。
この20数年の中だけでも色んなドラマがあったはずだ。

もちろん、メンテナンスも含めた修繕費用やライトアップの光熱費なんかも、馬鹿みたいに値段もかかるのだろうし、普段から有効活用出来ているのか?と聞かれると、微妙なところだろう。収益性のある建造物というわけでもないだろうから、間違いなく費用対効果も良くないだろう。
「税金の無駄使い」と評されるのも致し方ないといったところか。

しかし、それでもこの建造物は「まち」のシンボルであり、デザインなのだと思えば僕は非常に価値があるものだと思っている。

お金という概念で測ってしまうには、少し惜しい。
むしろもっと、親しみを込めて愛してやって欲しいし
ランドマークとして大切にされていくことにこそ、
「価値」があるような気がした。
心の在り処とでも言うのだろうか。

僕は地元出身ではないけれど、
この「さのさ祭り」のイメージとして、
しっかりこの建物が結びついた。

出来れば年をとって、また来たときにも
残っていてほしいものだなぁ・・・

平成最後の夏、今年始めての夏祭り。
そんなちょっとノスタルジックな気分を楽しみながら
少しだけ真面目に考えたのだった。



※余談
そして、マジでカラキチさんの
唐揚げがめちゃくちゃ美味しかった。


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