瀬村みき、裸足の若者ホームレスと会う②
瀬村みきから裸足でいる理由を問われ、路上生活者の男はしどろもどろになった。耳が真っ赤になっている。無理もない。艶やかでシャンプーの香りのする髪、染み一つない白い肌、品の良い眼鏡の奥から覗く知的なまなざし、控えめな淡いピンク色をした唇。この優しく美しい女性を前にして、生まれてからずっと貧困の中に育ち、童貞として三十路を迎えた裸足の男は、初めて自分が裸足であり、不潔にしていることを恥ずかしく思ったのだから。
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