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銭湯日記 16

最寄り駅の商店街のはずれに、その銭湯はある。

連休も終わりに近づいたころ、いつもの銭湯を訪れた。
その日は端午の節句ということで、思いがけず菖蒲湯が用意されていた。
豆絞りの手ぬぐいの端を縫い合わせて作ったような袋に、菖蒲がぎっしりと詰め込まれている。それが5〜6袋くらい、ビニールひもでつながれて、湯船にぷかぷかと浮かんでいる。
菖蒲湯だからといって、特に賑わっていることもない。むしろいつもよりすいているくらいだ。

菖蒲湯にすこし浸かってから、低温サウナへ。10分弱を、4セットほど繰り返した。
こめかみや首すじから、汗がぽたぽたと流れるのが、言い表せないほど気持ちいい。
心の底にへばりついていたもやもやしたものも、汗とともに流れ出るようだ。

またしばらくたてば、もやもやもするだろうし、疲れもたまるだろう。
しかし、そんな時また気軽に訪れることができるというのが、銭湯のありがたいところだ。
続けることによって、何かが変わる、ということはたしかにある。

外へ出ると、少し風が強かったが、ぺらぺらのカットソー1枚でもむしろ心地よいくらいの、立夏の夜だった。


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