0414 はじめてジャズを浴びた日
「誕生日を祝ってやるから飲みに行こう!」
ちょうど2日すぎた時に連絡がきた。
何日過ぎてからでも嬉しいものだ。
とりあえずお互いの予定を確認して13日に会うことを決めた。
そして、昨日は忘れられない日になったのだ。
新宿にて、お昼からの舞台を一本観終えて16:00頃。
「あ~いいお芝居だったな~」と心地よくなっているところで、彼からLINEが入る。
「今日どこにする?」
まあよいではないか。二人の間柄だ。
新宿をフラフラできるだけでもありがたい。
「適当に飲み屋探すわ~」返事を作っているとき。
「これみにいく?」
「もし興味あったら、チケットおごんで」
原文ままだ。
格好良すぎる誘いにびっくりした。
「ありがとう…めっちゃ嬉しい」
ジャズなんて生で聞いた事がなかった。
彼はすぐに電話で予約を確認した。
「18:00開演の会しかないけどよいかい?」
「すぐいく!!」
只今は16:30 青山までは30分もかからない。
すぐに丸の内線の電車に乗り込んだ。
そして青山。ここはお金持ちの匂いがする街だ。
ハイブランドの街を歩く。高級車とタクシーばかりが隣を横切る。
ココで暮らす人は、どんな生活をしてるんだろうか。
歩いて10分ほどで会場に着いた。
BlueNote TOKYO
別の国に来たみたいだった。
重厚な扉をあけると、大きな肖像がたくさん飾られていて地下に降りていく。会場内はとても広く、中央のステージをコの字で囲んでいる。
天板が美しい青色のテーブルがたくさん並んでいた。
最初はそこに座っていたがスタッフさんより「この席は相席になるので、よろしければアチラはいかがでしょう?」とボックス席をお薦めされた。
お薦め上手である。乗っかった!
彼は開始より少し遅れて到着するとのこと。
慣れない高級感と丁寧なスタッフ。
ドリンクを頼むのさえドキドキした。
しばらくして、奏者が入場する。
英語の挨拶を早々に。演奏が始まった。
力強いドラムの音。
メインはドラマーのマカヤ・マクレイヴンだそうだ。
前情報を一切仕入れずに会場に来たが、この人の舞台なんだとすぐにわかった。ほどなくして彼も合流。演奏が始めっているので一言も交わすことなく演奏に集中する。
知らない国の知らない人の知らない音。
奏者たちの熱が会場をつつむ。センター席でリズムに乗って頭を揺らす人々。端のボックス席の僕らもゆっくりと揺れていた。
最初はジャズの楽しみ方がわからなかった。
知らない国の、知らない人の、知らない音を最後まで浴びた。
おそらく60分程。トークなんかもちろんない。奏者の名前の紹介以外は全て音が響く。
正直に言えばとても疲れた。
いっぱい殴られたような重さ。
終わったあとも音が離れない。
格好よすぎたんだ。
これがジャズなんだ。
ジャズを浴びる。
自分に跳ね返る。
昼間の舞台俳優。そして夜のジャズ。
形は違えど芸で一本になる人間たち。
君はどうだい?君は何なんだい?
跳ね返りが強すぎてその日悪夢を見たよ。
最後まで最高の体験をもらった。
粋で素敵なプレゼントをありがとう。
さて彼の誕生日にはどんなお返しができるだろうか。
俳優として舞台でお返しをしたい。頑張ろう。
前田隆成
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