家族との未来が見えない
私は、夫と二人で暮らしている。
私の強迫性障害のせいでたくさんの紆余曲折がありながらも、なんとか今まで一緒に生活してきた。
でも、最近どうにも衝突が絶えない。
夫の、楽観的な性格。「足るを知る」というより、「最低限は足りてるんだからいいでしょ」という態度。それが私の神経を逆撫でるのだ。
今回はそのことで私の愚痴っぽい話をつらつら書いていく。
彼は、結婚する前から私の強迫性障害のことは知っていた。(というか付き合っている間に発症してしまったので、誰よりも先に知っていた)
精神疾患の知識がほとんどない彼だったが、同時に偏見も無かったので、私が発症したあとも態度を変えることなく一緒にいてくれた。
私はもともと、悲観的な性格のわりには妙にアクティブで、遊びや物事の主導権はこちらが握っていた。
彼は温厚、優しい性格で、そんな私を後ろから支えてくれた。
「ゴーゴー!」と私が手を引き、夫は引っ張られながら笑ってついてくるような関係性だった。
お金のこと、住む家のこと、結婚式関連は私がすべて決めたようなものだ。
私が悩めば後ろから支え、立ち直るのを見守り、時にはポロッと斬新なアイディアを投げて私を驚かせてくれた。
我ながら、とてもバランスの良い二人だと思っていた。
それは強迫性障害が悪化してからも変わらない…
と思っていたのだが、そうではなかった。
強迫性障害は、自分の意思とは関係なく「嫌なイメージ・強烈な不安」が湧いてきてしまう脳の機能障害。
ゴーゴー!と夫を引っ張ってきた私は、その勢いを完全に失い、迷いと不安に飲み込まれてしまった。
そして夫の「サポートする」スタイルは変わらない。
するとどうなるか?
未来への見通しが完全に停滞するのだ。
夫はサポートが得意な人だが、主導して物事をすすめたり、先を見通すことが苦手らしい。
だから以前はその役を私が自然と引き受けていた。でも、私が停止してしまったからといって「よし今度は俺が」とはならなかったのだ。
なんとかなるさ!的な元気いっぱいの楽観主義ならいいが、夫の場合は、なりゆきでどうにかなるだろうの精神だ。これが私にとっては相当まずい。
結婚後もなりゆきでどうにかなってきたのは、私が先回りして調べ、手を打ち、未来を見据えて行動してきた結果だ、と『私自身が』思っているからだ。
未来にまつわる小さなことから大きなことまで、すべての歯車が止まってしまった。
私はそれが不安で不安で仕方ない。もともとが悲観的だからである。
日々の暮らし、老後の計画、健康。それらに夫は無頓着だ。
そう、無頓着。楽観的と言えば聞こえはいいが、つまるところ無頓着なのである。
「私は昔と違ってきちんと管理したり把握できないから、申し訳ないけど代わりにやってほしい」と何度も頼んだ。
でも、元来の無頓着さゆえに、何もピンとこないのである。
彼は、来たボールを返すことや、良いトスを上げることには秀でているが、自分からボールを投げ始めることはできない。(その自覚があるらしい)
私が何かをやり始めないと、ぜんぜん動いてくれない人だということが分かってしまった。
ならば指示を出せばいいじゃないかと思わるかもしれない。
だけど私は病気のせいで頭のほとんどを支配され、今まで気が回っていた部分に目が行き届かなくなり、重荷に感じるようになった。そして、自己決定の何もかもに不安がつきまとう。(加害恐怖の症状だと思う)
そんな状態で指示を出し続けるパワーはない。けっこう気力・精神力のいることなのだ。世の中にアンテナを張っていなければならない役もきつい。
大人を相手に、正直やっていられない。
(これも説明したが、彼は変わらなかった)
その結果、いつまでも私は「不安担当」で、彼は「まあなんとかなる担当」の構図が常態化してしまっている。ちなみに彼は、病気に関しても、いつか治ってほしいとは思っているよスタイルだ。これもまた無頓着。
バランスの良い二人だと思っていたのは、いったい何だったんだろう。
自分には無いものを持っている同士がうまくいく?そんなことはない。
無為な時間だけが過ぎていく。
今、私たちの未来は、何も見えていない。夫婦の目標もない。夢も楽しみもない。
私が強迫性障害になったせいなのかな。まあそれを言われちゃおしまいだ。
「いま生きていて、家があって、食べるものに困らない、今のところ仕事もある。それでいいじゃないか」
そう言われたらそうなのかもしれない。
だけど、その状況に満足して先を見ようとしない考え方は…私は嫌なのだ。
未来が不安で仕方ない。
自分ではどうすることもできず、力を貸してほしいと泣いて頼んでも、動いてはくれない。
何か緊急事態があっても、夫は私の判断に頼るのだろうか。重い。怖い。
となりで生きることが負担にすら思えてくる。
この日々が最近ほんとうにつらい。病気そのものよりもしんどく感じることがある。
彼は何を思っているのだろう。これからどうしたらいいのだろう。
大の大人同士なのに、こんなに行き詰まるものなんだなぁ…と、悲しい気持ちだ。