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私を例にした具体的な症状・困りごと

強迫性障害にはさまざまな種類があります。
確認強迫、加害恐怖、縁起強迫、不潔恐怖、不完全恐怖など…。ものによって「強迫」「恐怖」と、表現がまちまちです。どっちでも大差ないんですけどね。
「どんなときにどんなふうに困るのか」を書きたくて、私を例にした生活上の具体的な困りごとを綴っていきます。
あれもこれも困難です、という内容ですが、「これが強迫性障害の症状ですドヤ」という意図はありません。ありのまま書くことを優先しました。

※症状の具体的な内容が書かれているので、不安の影響を受けやすい方や知りたくない方は読むのをお控えください。


確認強迫

戸締りを過剰に心配してしまいます。
家の玄関、窓の鍵、ガスやコンセントなどの確認が止められなくなります。
声出しや指差し確認を繰り返しても、どうしても「できた」と思えないのです。
玄関のドアに鍵をかけ、ガチャガチャと何度もドアノブを回し、音を聞いても感触を確かめても、信じることができません。
「ちゃんと見たでしょ」と自身の脳に訴えかけても、脳は「見た気がするけど見てない気もする」と言ってくる感じです。自分の脳や行動が信じられず、異常な回数を繰り返して「さすがにもういいだろう」と思えるまで確認がやめられません。「これ以上やったら壊れる・遅刻する」という自制心が働いてようやく終われることもあります。
やっとその場を離れることができた頃には、冷や汗をかき、呼吸も荒くなっていたり…。
ピーク時、補助のために紙の確認チェックリストを作っていましたが、今度はそのチェックリストの丸印が本当についているかを確認する始末でした。確認するものが増えてしまい、泣きました。
また、仕事にも支障をきたします。書類の確認も同じく大変だったので、一人での最終チェックなどの業務があると地獄のようです。戸締りが終わらず、帰宅が遅くなることも日常でした。(現在は退職しています)

加害恐怖

「自分の行動により誰かが怪我や病気になったらどうしよう」
「自分の行動の結果、とんでもないことに発展したらどうしよう」
などの強烈な不安感に襲われ、スムーズな行動ができなくなったり、過去の行動の振り返りがやめられなくなります。
悔やんだり後悔したり、いつまでも「自分はまずいことをしたのではないか」という気持ちから解放されないのです。
趣味やほかのやるべきことがあっても手につかず、万が一に備えた対策をスマホで調べ続けたり、今からでも取り戻す方法はないか探ることに必死になって、憔悴していきます。

私の加害恐怖は、先に書いた確認強迫とつながっていると思います。
多分これは軽いほうで、もっと深刻だと「無意識に人を怪我させてしまい逮捕されるのでは」と恐怖を感じる人もいらっしゃいます。

感染恐怖(不潔恐怖)

菌やウイルス・目に見えない汚れを過度に恐れ、人との接触・物の共用ができなくなります。電車の吊革、店のドアノブなどがよくある例でしょうか。
触ったりして、汚れたと感じるたびに手を洗わないと不安で頭がいっぱいになります。汚れがどんどん周りに広がってしまう恐怖を感じ、手を洗うまでは他の行動がとれなくなります。
基本的に手洗いばかりしているので、いつも手荒れ状態です。ちゃんと洗えた気がせず、同じ手順を繰り返すこともあります。※水道代が死にます

家の中でのきれいと汚いを分け、きれいな場所を「聖域」とし、せめてもの安心できる場所として扱うようになります。(私のトップ聖域はベッドです)

そして、人とのスキンシップが困難になってしまいます。これは、相手のことを汚いと思っているのではなく、相手の手についている何かしらの「見えない汚れ」への恐怖心です。普通の人は自分のように頻繁には手を洗わない、と分かっているからです。
スキンシップが起きそうになったら、さりげなく誤魔化したり、適当な嘘をついて回避してしまいます。
親しい人でも家族でもそれは変りません。ふれて、「あ、汚れてしまった」と思うと、その箇所を洗いたくなります。相手が事情を理解してくれているとしても、失礼すぎますよね。
罪悪感…。なぜ普通にできないのかと自責の念を抱いています。

また、暮らしに関わる買い物についてもたくさんの問題がありますが…
それはまた別の機会に書けたらと思います。

誤解されやすい潔癖との、大きな違い

この感染恐怖(不潔恐怖)ですが、潔癖との決定的な違いがあります。
強迫性障害だと、汚いと思った場所の掃除ができないケースがあることです。

私の場合、汚いと思った場所は触ることも近づくこともできなくなり、放置されます。
物でも、汚れたと思ったら洗浄行為をしないといつまでも聖域に持ち込むことができないのです。
それが服でもバッグでも、頂いた素敵なプレゼントでもです。
洗浄するとなると大仕事で、洗いすぎて品物をダメにしてしまうリスクも考えると手がつけられず、結局放置となります。
家の中は、行き場に困った物たちがあちこちに置き去りに…。
最近は引っ越しや訓練によって多少マシになりましたが、以前の家では玄関回り~リビングが物で溢れ、そこだけゴミ屋敷のようでした。
日にちが経つと嫌悪感が薄まり、どうにか対処できたものもありますが、だいたいのものは処分していたと思います。

そして、洗浄と言えば体の洗浄=お風呂ですが、こちらも大仕事です。
症状の重い人は、やりたくないのに数時間かけて体を洗い、息も絶え絶えに浴室から脱出するケースがあるほどです。
体への負担が重く、水道代もかさむことから、入浴を避けるようになっていきます。

このように、潔癖と似ているようで全然違う性質を持っています。
症状を簡単に説明しようとすると「家すごくきれいそう!」「きれい好きなんだから良いことじゃん」などの誤解をされやすいです。
また、相手に正しく認知していただくためには、このような自分の「恥ずかしい状況」を説明しなければなりません。それが更なる苦悩になっている人も多いのではないでしょうか。

☆潔癖と不潔恐怖の違いは、こちらのサイトで分かりやすく解説してくださっています。
https://ocdsup.net/ocd/12keppeki/

どの症状も、とにかく過剰で異常で、コントロールができない状態になってしまいます。
そして、本人が恥ずかしさや情けなさを感じていることが、強迫性障害全体を通しての深い悩みではないか…と私は思っています。

長くなりましたが、読んでくださりありがとうございました。