詩 〜梢の葉音が消える時〜
秋が深まってきた、と感じていたところに牙を剥いて冬がきた。
居場所を変われ、おまえの役目はもう終わりだ、と秋の耳元で囁くように。
秋の喉には鋭い爪が突き立てられ、先端からは冷たい雨が滴り落ちる。
そんな想像をしても、冬にとってはただの戯れかもしれない。
もしくは一足早く、世界を白に塗り替えるイベントの準備に入ったか。
空気の重さを操り、白銀の塵を舞い踊らせる時が近づいてくる。
いつの間にか木々は葉を落とし、静かに少し長めの眠りにつこうとしている。
次に自分たちが主役になるまでには時間はたっぷりある。
夢の中で「新緑の季節」を奏でる練習をたくさんしよう、と企んでいそうだ。
互いの温度を重ねたい僕たちは目を合わせ、手を繋ぎ肩を寄せ合う。
吐く息はもう白く塗られ始めている。
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