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うそのある生活 2日目

5月30日 ー 晴れ からりとした気候

今日は、早朝から会議があるので早く起きるつもりが、少し寝坊してしまった。会社には間に合うけれど、いつも朝にしている風呂掃除はできそうもない。しかたなく、お風呂は水だけを抜いて、妻も娘も眠っているうちに家をでた。

会社に向かう電車に乗っていると、妻からメールあった。娘が「お父さんとタッチできなかった」と泣いているのだという。

娘とは、毎朝出かけにハイタッチをする。いつからはじめたのか、なんとなく習慣になっているのだが、それが今朝は起きるともう父がおらず、ハイタッチもできなかったので悲しかったようだ。何かメッセージを、と妻がメールを送ってきたので、掌の写真を撮り「これにタッチを」とつけて送った。しばらくしてから、喜んでます、と返信があったので、どうやら娘はそれで満足したようだった。

夜はさほど遅くならずに帰宅した。妻に話を聞くと、娘ははじめ「写真じゃやだ」といっそう泣いたのだという。娘がしきりに泣いて朝の準備がすすまず、そろそろ遅刻しそうな時間も迫っている。妻がいよいよイライラして娘を叱ると、それを見ていた掌が哀れに思ったのか、むくむくと盛り上がり、ついには写真から出てきて、娘とハイタッチしたのだという。娘はそれでずいぶん喜んで、そのあとは素直に着替えて保育園の準備をしたらしい。

ちなみに、娘とハイタッチしたあと、掌はすぐには写真に戻らずに、そのままお風呂場に跳ねていったのだという。ぴょんぴょん飛び跳ねながら器用に風呂場を掃除して、それからやっとスマートフォンの画面に戻ったのだというから、我ながらずいぶん風呂掃除ができなかったことを気にしていたようだ。

掌のおかげで妻は遅刻せず、風呂掃除もできたのだから万事うまくいったと思ったが、妻は結局少し遅刻したらしい。すぐに出れば間に合ったらしいのだが、お風呂場にいる掌をそのままにして良いのか分からず、風呂掃除を終えるまで待っていたのだという。もとはと言えば自分が寝坊して、風呂掃除をできなかったからだと思うと、妻に申し訳なかった。

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