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うそのある生活 20日目

12月21日 晴れ カラカラと乾いた日

昨日は久しぶりに、一番親しい友人に会いに行った。ほとんど一年ぶりなので緊張したけれど、会うと以前と変わらない彼なので安心した。

八重洲のあたりに待ち合わせると、どこも混んでいて、なかなか入れる店がなかった。そういえば忘年会シーズンの金曜日。うかつな日と場所を選んでしまったなと言いあっていたら、あてずっぽうに入った路地裏のいわし料理のお店に席が残っていた。

古くて小さい椅子に落ちついて話しだすと、やはり長く仲の良い友人のこと、どんなことでも話が合った。悩んでいることや感じていることがことごとく一緒で、そうなんだよ、となんでも共感する。ただ、あまりに意見が合うので、ふと違和感を持った。あれ、これはほんとうに友人だっただろうか。そう思って顔を上げると、そこにいたのは友人ではなくて、いぶかしげな顔をする自分だった。

相手が自分なら、これだけ話が合うのも納得できる。ただ、これだけ面と向かって話していたのに、どうしてずっと自分だとわからなかったのだろう。そういえば、目の前の自分は思っているよりも老けた顔をしている。この間、すこし苦労したからだろうか。

気がつくと、店には二人だけになっていた。「老けたね」とこちらが言うと、向かいの自分は「きみもな」と笑いながらいわしの刺身をつまんだ。思えば、自分とじっくり話をしたのも久しぶりのことだ。なにしろ、ずいぶん慌ただしい一年だった。

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