うそのある生活 4日目

6月2日　晴れのち曇り　風のない日

娘がはさみをずいぶん上手に使うようになった。以前から、プラスチックでできた子供用のはさみを与えていたけれど、近頃は大人用のはさみもきちんと使いこなす。まだ3歳になろうというところなのに、工作が好きなたちなのか、はさみや糊に限っては使うのがめきめきと上手くなっていく。

親にかまってほしい盛りの娘も、はさみを使うときには集中して黙っている。黙々と、いつまでも真白のコピー用紙を5ミリ角くらいの大きさに切り刻んでいるので、何かに使うあてがあるわけでもないのにね、と妻に言うと、そんなことないのよ、と言うので驚いた。なんでも、娘が切り刻んでいる紙は、演歌歌手の紙吹雪になるのだという。

演歌業界も長らく不況なので、最近になって保育園を通してそんなことを子どもたちにお願いするようになったようだ。演歌歌手のほうでも節約になるし、子どもたちは好きなだけ紙を切り刻めるというのでうれしがっているらしいが、家がますます片付かないというので親たちには評判が悪いのだという。