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うそのある生活 8日目

6月14日   曇り  生ぬるい空気

娘の保育園で内科検診があった。娘も診てもらったというので、どこの病院の先生なのかと妻に聞いてみると、どこの病院の先生でもなく、野良医者なのだという。

野良といっても、腕前はたしかなうえ、子どものあやしかたも上手だと評判のようで、保育園では毎年その先生にお願いしているのだという。そういえば、昨年このあたりに越してきて以来、野良医者をよく見かけるようになった。どうやら野良の先生が多い土地のようで、最寄の駅前でも、聴診器を首から下げ白衣を着たお医者さんがよくうろうろとしている。

野良だと疎まれるというのはよく聞く話だが、この辺りでは事情が違うらしい。みんな野良医者の先生を見れば挨拶をしているようだし、一度は会社員風の男性が道端で聴診器を当ててもらっているのを見たこともある。偏見がないということなのだろうが、それも内科検診の先生のように、きちんとした野良医者が多いからだろうと思う。

我が家では近頃、娘を連れて行く病院に少し悩んでいる。これまでいくつかの小児科に連れて行ったのだが、先生が無愛想だったり、薬をやたら出したりと、どこも一長一短というところだ。

それならば、いっそこれからはその野良先生に診てもらえばどうだろうと妻に提案してみたが、野良なのでいつもどこにいるのかわからず、普段お願いするのは難しいのだという。せっかくいいお医者さんが見つかったと思っただが、なかなかうまくいかないものだと思う。

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