「ぬりカメWEBばん」の心技体、第一話「心」
こんにちは、はっきんぐパパです。
4月27日に公開しました「ぬりカメWEBばん」、お楽しみいただけてますでしょうか。
テレビ朝日さんやねとらぼさんなど、様々なメディアに取り上げていただいたおかげもあって、この3週間で作成されたぬりえは5,000枚を突破。
Webページの注釈欄にも書いてあるとおり、みなさんがアップロードした画像は一切保存されないよう作っため、日々どんなぬりえが産まれているのかわからないのが残念ですが、「子どもたち、大喜びしてます!」なんて声が届くたび、みなさんに使っていただけているんだなととても嬉しく思います。
細かなバージョンアップも少し落ち着いたので、「ぬりカメWEBばん」の心技体と題して、3部作で開発の裏話を書き留めておこうと思います。
第一話は「心」、経緯と想いについて。
COVID-19の波は本当に唐突にやって来ました。3月末、まさかこんな事態になるとは思っておらず、外出自粛ももっと一時的なものだろうと考えていました。
自粛が長引くにつれ、はっきんぐパパたちの家庭でも「子どもたちのストレスがヤバい」と、それはもどかしさなんてレベルではなく、切迫した問題と変化していきました。
子どもたちがおままごとの中で「きょうはコロナでお店はおやすみなの」なんて言うんです。信じられませんよね。何が起きているかはわからないまでも、何かおかしいことにはちゃんと気づいています。
そんなある日、誰ともなく「ぬりカメをWebに移植できないだろうか」という話題があがりました。1月末に渋谷QWSで発表したぬりカメのハードウェア版はRaspberry Piという小型のLinuxボードを使っていて、内蔵のカメラとプリンタですぐにその場でぬりえを楽しめるのが特長でした。
1号機を完成させる前から、Webアプリケーションやスマートフォンアプリケーションにも派生できることは気づいていましたが、ハードウェアならではの「すぐにその場でぬりえが産まれる」ことがポイントだと思っていたので、あえて積極的に派生させようとはしていませんでした。
しかし、ハードウェア版の最大の欠点は、そのデバイスがなければ何もできないことです。「ぬりカメ 1号機」は1台しかありません。しかも私たちはその1号機が子どもたちをめちゃくちゃ喜ばせることを知っています。
「2週間でWeb版を作って、全国の子どもたちに届けよう」
4月11日、開発がスタートしました。(開発の技術的なお話は第二話「技」にて)
現在のはっきんぐパパは10余名です。中にはCOVID-19の荒波の只中にいるパパもいます。そう言った事情も考慮して、すぐにコアチームが組成され、
・完全無料、広告もつけない、稼働費はあとで考える
・アップロードの心理的抵抗をなくすべく、画像は一切保存しない
・それでも気になる人がいるかもしれない、全国のパパたちが自分で動かせるように、ソースコードも公開しよう
と瞬く間に要件が決まりました。
「ソースコードを公開する」、ついでに「開発過程も公開する」、これは私たちにとって初めての試みで、一つの冒険です。はっきんぐパパは言わば趣味の集まりで、本業が別にありながらの有志の集いです。「私たちのソースコードがひとさまに見られても恥ずかしくないものになっているだろうか」、という気遅れは今でもあります。そこでソースコードのライセンス(使用条件)にひと工夫を加えることにしました。
GOOD HACKING PAPA LICENSE
あなたの子どもを喜ばせるために利用してください。
Please use for whatever your children would be happy about.
たった1行のシンプルな使用条件です。しかし、これを読んでくださった方には、はっきんぐパパが子どもたちのことだけを考えて公開しているとちゃんと伝わるだろうと思いました。
開発期間を振り返ると、どこからともなく不思議なパワーをもらっていたように思います。仕事と違って、納期があるわけでも売り上げが上がるわけでもないのに、いつも以上に真剣で、チームがギクシャクするほど喧々轟々となったこともありました。徹夜しても取れないバグが何個もあって、2週間では間に合いませんでした。
それでも「子どもたち、大喜びです!」という声を聞けば苦労は全て忘れられますし、なにより「はっきんぐパパってなんだっけ?」と自分たちの社会的存在意義を確認できたのが大きな収穫だったと思います。
いつもどおり、子どもたちのためのモノ/コトづくり、世界中のパパたちがやっていること、その想い。それとなんら変わらないことを「はっきんぐ」を軸に行うはっきんぐパパ。
ある人が言いました、「娘目線、父親からなんか作ってもらっても恩着せがましいというか、気持ち悪いんだよね 」
なるほど、確かに。そうかもしれません。
でも、それがたとえ世界的な危機状況でも「パパはがんばってるぞ」という姿を見せられたこと、それが「ぬりカメ WEBばん」を作って一番良かったことだなと思います。